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売るだけでは意味がない?!ブランドを紐解こう

毎週水曜日にYouTubeにて放映している「カイコクアカデミー」のインタビュー記事の第六弾です。

今回は、株式会社MIKATAでクリエイティブ・ブランド立案を担当している真辺皓介さんのインタビュー記事です。様々な業種業態の企業をクライアントとする中で、実績に裏打ちされたブランディングは必見です! 

世の中に対してのブランドの価値を定義する

ご自身のキャリアについて教えてください。

美大卒業後にデザイン畑を歩み、広告代理店で何年かキャンペーンを行った後に、今の会社・株式会社MIKATAに移りました。MIKATAではクリエイティブを担当しています。

MIKATAはどのような会社ですか?

ブランディングを主軸に広告やデザインの仕事をしていて、少数精鋭のクリエイティブエージェンシーです。保険会社のフコク生命や有名スポーツブランドのナイキ、大手化学会社の帝人などクライアントの業種は様々です。

その中で、具体的にどんなお仕事をされているのですか?

基本的にはコミュニケーション戦略から立案まで担当していて、ほんとにブランドのコアから創らせて頂いています。例えば、ミッション・ビジョン・バリューや会社の進む目的から考えて、その目的から紐解いた商品の位置づけ、コミュニケーション、デザインまで、ブランドの上流から落としていくイメージですね。なので、デザインや広告に入る前の戦略領域からご提案していくのが当社のワークフローになります。

世の中に対してのブランドの価値を定義して、それを世の中にどう伝えたら、どのようにコミュニケーションしたら一番伝わるかなっていうのを考えて、それを表現する人に渡すという仕事になります。

ブランディングはときに企業の未来も示唆する

ブランディングを紐解く上で、意識していることはありますか?

ターゲットや市場、時代感を理解することを大事にしています。頂くご相談は様々で、例えば「広告キャンペーンをやりたい」だったり「最近、売上が上がらないんだけど」といった相談もあれば、単純に「パッケージデザインをお願いできないか」なんていう相談もあります。

入り口は何であろうとブランドから紐解いてしまうので、そういう意味では戦略部分でマーケティング要素というのは重要になっているのかなと感じていますね。お客様には「そんなところから説明するの!?」と毎回ちょっと驚かれますが(笑)。

なるほど(笑)。今までで印象に残っているお仕事はありますか?

帝人株式会社とのお仕事はとても印象に残りましたね!2018年に帝人株式会社は100周年を迎えたのですが、「100周年を機に何かやりたい」というご相談だったんです。

でも、「会社の100年をまとめて、次の100年に向けてのメッセージを考える」って、それはもうイベントを考えるレベルではなくて、完全にその企業の今後を示唆するブランディングだというふうに解釈をして、実際にそのイメージでプレゼンもさせて頂きました。

「帝人」と「ブランディング」というのは少しイメージギャップがありますよね

はい。実際に、帝人は湿布の間にあるフィルムを作っていたり、高級車のボンネットにも使われているカーボン素材を作っていたり、すごくモノに寄った業務が多かったです。僕たちも普段手に触れるような発明をたくさんしているのですが、それが社会や「世の中に対してどういう価値を生み出しているのか」ということをあまり社外に対して発信する機会の少ない業種でした。

なので、100周年を機に社外に対しても社内に対しても「次のイノベーションを起こしていく帝人」というイメージを持ってもらうために、我々がご提案したのが「THINK HUMAN EXHIBITION」というものでした。

あまり聞き慣れない言葉ですね?

“化学とはつまり、人間のことを考えなくてはだめだよね“という落とし込みにしたんです。細かいフィルムやカーボンの先には、今後人間はどうなっていくのであろう、もっと豊かになるためにはどうなるべきなんだろうという科学者の目線があって、その未来のために帝人は人間のことを考え続けますというストーリーにした訳ですね。ヒューマンケミストリー・ヒューマンソリューションズというのはもともと帝人が持っている言葉があって、そこから紐解いて、人間のことを一番に考える化学会社というポジショニングを取りましょう、という感じでした。プロジェクトが始まってからは1年を通じて週3〜4日くらいは帝人社員の方と打ち合わせをしてました(笑)。

社内の人からは「ブランディング(コミュニケーション)する意味ってどこにあるの?」という声もたくさんありましたが、社外に向けてイベントをすることで、外部の人からは「人間のことを考えるって良いテーマだね」と言われたりして、逆にその外部の声によって社内の人が賛同してくれるようになりました。

(帝人の事例では、東京大学の教授やオランダの研究者まで興味をもってくれましたね!(笑))

社内のインナーブランディングで説得するというよりは「帝人は人のことを考える会社になります!」と外部で発信することで、外部から社内に説得が働く形を取りました。

真辺氏にとってマーケティングとは?

真辺さんのお仕事をマーケティングという言葉を使わずに再定義すると、どのようになりますか?

僕の仕事は、ブランドのコミュニケーションを整理したり、意訳したりすることです。そういう意味で、“ブランドトランスレーター”と定義したいと思います。やはりセールスマーケティングだけでは今の時代生き残っていけないと思いますし、全部ブランドから紐解いていくことが大事だと感じています。

貴重なお話、本日はありがとうございました!

マーケターという職種を再定義すると…

ブランドトランスレーター

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