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成功するSNSマーケの王道戦略を問う

毎週水曜日にYouTubeにて放映している「カイコクアカデミー」のインタビュー記事第17弾です。

今回は、株式会社ホットリンクでプランニング部部長を務められる増岡さんのインタビュー記事です。SNSマーケティングにおけるKGIやKPI設計まで今回はお話を伺いました!

クチコミ@係長とは?

株式会社ホットリンクとはどんな会社でしょうか。

SNSマーケティング支援の会社です。わたしはその中で諸々SNS支援をさせていただいているのですが、プランニング部という部署で今はクライアント様のプロモーション周りの企画や、制作ディレクション周りをメインに取り組ませていただいているような形になっています。

ご自身のキャリアを教えてください。

キャリアですと、前職は全然違うことしていて、3年程商社で働いていました。そしてホットリンクに転職しました。

入社当初ホットリンクは分析事業をメインとしており、SNS調査や、弊社が提供している「クチコミ@係長」というSNS分析ツールの営業をしていました。その後いくつかの事業立ち上げに携わらせてもらい、今に至るというキャリアになっています。

増岡さんの日々の具体的なお仕事の内容について、教えていただけますか?

仕事内容は大きく三つあります。

一つは、プランナーとしての仕事。SNSプロモーションの企画提案をしています。

もう一つはコンサルタントとしてです。SNS活用戦略から入らせていただき、お客様へのアドバイスをさせていただいています。

そして三つ目がプランニング部の事業推進・マネジメントです。

「クチコミ@係長」というプロダクト、サービスについて簡単に教えていただけますか?

2008年からサービスを提供しているのですが、ソーシャルリスニングツールというカテゴリの1つになります。

例えば「ハロウィン」の口コミを対象とすると、SNSのなかで「ハロウィン」がどの程度口コミされていて、どの程度好意的・ポジティブ・ネガティブ、というところまでわかったり、どういう内容があるのか、というところの分析まで瞬時に抽出してくれるようなツールになります。

ホットリンク流 SNSの王道戦略

SNSマーケの王道の戦略はどういうものがありますか?

「一般ユーザーの方をSNS上でいかに動かしていくか」が王道のSNSマーケが目指すところかなと思っています。

SNSでよく聞く「これ王道だよね」というものは、「インフルエンサーマーケティング」や「フォロワーをどれだけ増やす」、「エンゲージメントをどれだけあげるか」「バズらせる」など、手法論によったものが多いと思っています。

マーケティングゴールから考えて手法に落としていく考え方が、当たり前ですが重要だと思います。

あるあるだと思うのですが、SNSを使ったブランディングをする時の成果指標は何が良いのかを教えてください。

そうですね。おっしゃる通りで、SNSだとブランディング目的にしてるケースがかなり多いのかなと思っています。とは言え、多くの企業が最終的なKGIにしているところは「売上」だと思います。

ブランディングがあって、そこから売上につながると思っていて、ホットリンクはその売上を真面目に見ますという提案の仕方をさせていただいています。

なので、その途中としてブランディングというものがあるイメージです。

指標で明確に言ってしまうと最上段に売上があって、その下にホットリンクは指名検索で変動するものを1個の指標として置かせてもらっています。そのもう1個下に、SNS上の色々な成果というところがあると思っています。


あともう少しお話しますと、他にもSNSの中で色々な指標があるのですが、ホットリンクが一番重要視している指標というのが「UGC」です。ユーザーからの口コミ、ブランドに対する好意的な口コミの数を指標にするケースが非常に多いですね。

お客様から「結局売上にどう影響するの?」と質問いただくケースがあります。実際にSNSをやる場合、SNSではなく売上を見るというときに、どういう見方をするのか教えてください。

そうですね、相関分析的なことをするケースが結構多いです。

先ほどの話に戻りますが、売上があって指名検索があって、その下にSNS指標という感じなのですが、SNSで良い認知、質の高い認知、興味感知ができてくると、多くのユーザーは指名検索行動に移っていくんですよね。

例えば、SNSで知った人は「これは分からないから、具体的に調べてみよう」となります。それが外食店舗であれば「ここが家の近くだから、このチェーン店はどこにあるんだろう」から、GoogleMAP上で調べることになりますよね。

ここまでユーザーさんが行動している、指名検索で行動していることはかなりアクションに近しい行動だと思っていて、売上につながるケースが非常に多いです。

それを売上と指名検索とUGCの数値でグラフをつくって、動きを見ていくようなことをしています。指名検索も上がっていると、連動して売上も一緒に上がっていくケースが結構多く、そこを目指しているというようなかたちになります。

先ほどのブランディングの話に戻ります。そういった指標を見ながらSNSマーケをしていくにあたり、投資対効果が良かった、悪かったというのは、どういったところで判断されるのでしょうか。

投資対効果…はめちゃくちゃ難しいですね(笑)

短期で投資対効果を見てはいけないと思っているので、中長期で見ていくイメージです。

指標としている数字の推移を見ていきながら、前月より伸びていっているかを見たり、指名検索数や売上などのSNS外の指標と照らし合わせて、同じようにジワジワ伸びてるかをチェックしますね。

ちなみに、SNS運用の話と、スポットでのプロモーションに関してはまた見方が違ってくるところはあります。プロモーションにおいてはもちろん短期での成果が重要にはなります。

大型プロモーションであればブランドリフト調査とかもありますし、単発の短期で売り上げにつながったのかというところを各指標の相関分析のかたちで見ていく、そこで投資対効果を計っていくケースもあると思います。

BtoB向けSNSマーケティングにおける効果的な施策について教えてください。

BtoBマーケティングとSNSって非常に相性は良くないので、やり方がないわけではないのですが、SNSで成果を出そうとするとめちゃめちゃお金がかかります。。

SNSはユーザー主体のメディアです。何かを探しに行くメディアではなく受動的に何かを受け取るメディアになってしまっているので、受け取る側にBtoBの企業様がターゲットを含めたユーザーさんに興味を持ってもらえるネタを提供できるかというと結構難しいですし、内容も堅いし合わないというところが、正直なところです。

効果的な施策でいうと、そういった背景があるので「ユーザーにいかに反応してもらえるか」というところのコンテンツをつくっていくしかないです。

直接的に紹介するのではなく、それを横にずらすと言いますか、「面白く」したりとかそういったかたちでやっていくのがいいのかなと思っています。

クチコミ@係長でプロモーション分析するときに、投稿内容に含まれるワードの関連性などが分析できると思うのですが、マーケターが活用しやすいようにするためにどのようなかたちで可視化していますか?

基本的には、可視化されて分析結果が出てくるものになっているので、そのデータをそのまま活用させていただいている企業様がかなり多いかなと思っています。あと加工するとすれば、色々な分析をしてみて、それぞれ出てきたデータや数値を別のExcelでまとめて、相関性であったり並べてみる、ということは、加工としてはあるのかなと思っています。

ネガティブブランディングを抑えるために「クチコミ@係長」を使う場合、どんな使い方があるのか教えてください。

ネガティブブランディングを抑える…、ネガな口コミとかを抑えるためには、正直もう使えないです。「ネガな投稿を発見するもの」として使うイメージです。モニタリングという意味合いが強いかなと思っています。

ネガな口コミとかを抑えるためには使えないです。ネガな口コミは何かしら火種があるわけなので、それに対して都度誠実な対応をすることが重要ですが、これはツールでできる範疇ではなく、対応を都度考えていくしかないかなと思います。

ネガなクチコミ対策としては「ネガ投稿を発見するもの」として使うイメージです。早期に発見して消化活動をするために役立つものと思っていただければと思います。

増岡さんがお客様に対してサービスを提供する際、必ず意識していること(ポリシー)はありますか。

「本質志向」をわたしは大事にしています。

本当にちゃんと売上につながるのか、クライアントさまのKGIにつながるのか、を考えていますね。

SNSって、「本質ではない話」が多くされているマーケティング手法だと思っているので、よくありがちなのが、売上につながらない施策を実施し続けたり「フォロワーを増やしたいから、キャンペーンをしてプレゼントで釣って1万人増えました」という、結局何の意味があるのかという手法が王道として認知されていると思っています。

ホットリンクとしても「それってお客様のためになるんだっけ?」みたいな議論は会社のなかで実際にしてて、特に気を付けているところです。

「UGC」の増やし方や、エンゲージメントの向上のさせ方についてコツはありますか。

コツはあります。ただすごく深いのでこの時間では話せないのですが、UGCは心理学に近いのですよね。「ユーザーが発言したくなる」というところなので、そのためにいろんな角度で色々なものを仕込んでいくという感じになるんですけど、すごくざっくり言いますと「表現欲求」と「承認欲求」とあとは「空気感」を重要視しています。

「表現欲求」は「わたしはこんな人間だよ」って言いたくなるものなんですね。

タイムラインだったら「わたしはこれ買ったよ」など、装備品として口コミするイメージですね。

「承認欲求」はそれをすることに何かこう返ってくる、企業が反応してくれるなどを刺激していく。

「空気感」は周りの人がそういう発言をしてるのを見ることで「あっ、何かみんな発言してるし、発言しよう」というそこの空気感をつくっていくことが、非常に重要かなと思っています。

SNSマーケティングにおいて「どのデータ」を軸に分析をするのがおすすめですか?

目的によって結構異なりますが、やはりUGC創出を目的とした投稿・企画をつくりたいときは、今口コミされている内容で「ユーザーはどんな口コミしやすいのかなぁ」というところを知るという意味で、データを見ています。
別の切り口ですと、例えば「このブランドだとどういうところにターゲット層がいるのだろうか」や「Twitterだとどこにターゲット層いるんだろう」みたいな分析をしてみると、結構意外な発見があったりするので、「反応しているユーザーってこんなことに興味を持っているんだよ」ということを分析することが多いです。

ちなみにその意外な発見とおっしゃってましたが、増岡さんが発見したなかで面白かった分析結果はありますか。

面白かったなぁ…。難しいですね(笑)

わたしは大手の飲食企業を担当しているのですが、その企業様で「過去に一度発売した商品を復刻させます」、というキャンペーンがありました。その商品がTwitterのなかでは「誰に愛されてるのか」を分析したときが結構面白かったですね。


手法としては、その商品と他の期間限定の商品をいくつか同じようにデータを出して、その商品の口コミをしている人、リツイートした人がどんなアカウントをフォローしているんだろうというのを分析しました。

結果的に、そのプロモーションを対象とした商品が、「アニメやゲームに興味がある層」というのが圧倒的に多くて、「この商品ってエンタメ系に好かれやすいんだ」と分かったんです。意外だったのは、その商品は実はカロリー重めなものだったんですよね(笑)。

この分析結果から見える本当のターゲットは頭で考えてもなかなか分からないことですし、データだと間違いないことだったので、そのターゲット層に刺さりやすい企画にしましょうと考えてプロモーションから立てた、という事例はあります。

カロリー高い商品ですと、運動している人や、バリバリ働いてる人向けのイメージが強いですが、調べてみるとエンタメ系好みの人向けだったということですよね。

そうですね!もちろんスポーツ系の人も見ると思うんですけど、Twitterのなかで行動喚起を起こすためには、意外とアニメ・ゲームだったという結果には驚きました(笑)。

複雑化しているからこそプロの意識を持つ

最後に、増岡さんのお仕事をマーケティングという言葉を使わずに再定義すると、どのようになりますか?

シンプルなのですが、「専門家」ですね。

これはわたしのようなマーケティング支援側の立場として回答させてもらっているので、事業者側だとちょっと違うのかもしれないのですが…。

背景としては、今マーケティングって、なんかとんでもなく複雑化しちゃっているじゃないですか。昔、4マスに順化したあとにそこにデジタルメディアがちょっといれてというような。

今SNSがたくさん増えてきて、且つSNSのトレンドも日々移り変わってしまうと感じています。会社側というか1人の人が全部のメディアを詳しくなることは無理だと思っていて、「全部詳しいです!」というのはかなり驕りだと思っています。

なので支援していく側としては、各領域のプロが力を集めて取り組んでいくことが今後どんどん大事になってくると思うんです。ホットリンクだと「SNSのプロ・専門家」としてそこに入っていかなければならないと思っているので、SNS領域だと一番詳しい、最新を知っている、ノウハウがあるというところになるべきだなとといところから「専門家」という言葉にさせていただきました。

今回はホットリンク様で実際に取り組まれているSNSマーケティングの”王道戦略”に関してお話を伺うことができました!貴重なお話をありがとうございました!

マーケターという職種を再定義すると…

専門家

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