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グロースハックマーケティングに必要なユーザー行動分析

毎週水曜日にYouTubeにて放映している「カイコクアカデミー」のインタビュー記事第19弾です。

今回は、Amplitude,Inc.でカントリーマネージャーを務められる米田さんのインタビュー記事です。グロースハックマーケティングについてお話を伺いました!

GAFAMでの導入実績を持つAmplitude

ご自身のキャリアを教えてください。

最初は、実はエンジニアでとしてメーカーで働いたのちに、外資に移りました。そこからしばらく外資で働いているのですが、最初実はテレビ関係、テレビの技術を提供する場、EPG(電子番組表)など…そういったところを携わらせていただきました。そこからテレビ業界のビジネスが急激に変わったのでマーケティングに移ってきたといいますか、2019年からマーケティングオートメーションの会社、今在籍しているAmplitude, Inc.のグロースハック関係のデータを扱っているソリューションカンパニーに入っております。

Amplitude, Inc.とはどんな会社でしょうか。

Amplitude, Inc.なんですが、面白い会社でしてDX(デジタルトランスフォーメーション)で、ビッグデータで集めた内容をオートメーション化して統計的分析をするというような会社です。


既に実績もございまして、4万サービスで使っています。GAFAM(ガーファム)でも使われているアメリカの会社になります。

日本というより、今の時点ですと海外の方が導入されている方が多いイメージでしょうか。

そうですね。本社がサンフランシスコ(アメリカ)にありますので、海外の方で先に入っていて、マーケティングという観点、一般的にいうデジタルマーケティングでいいますと、どうしてもアメリカが3~4年先に進んでいるというところがあります。ですので、そういった観点からすると、アメリカの方がスキルが多い状態になります。

日本の場合、同じ領域でいうとやはり「Google Analytics」が一番導入されがちで、ユーザー行動分析まできちんとできている企業様がまだ少ないと思っています。GAを導入することに対してAmplitudeを導入するメリットや違いがあれば教えてください。

ありがとうございます。

このご質問をたくさんいただくんですが、実はグローバル(海外)におきまして、三つのAnalyticsを使っていることが多いです。

一つ目がいまご質問いただきました、Google Analytics…いわゆるWeb解析です。

二つ目が、TableauさんやDomoさんみたいなかたちで、ビジネスインテリジェンス…BI。

そして三つ目。われわれのところはプロダクト解析と言われているのですが、BIとGAとAmplitudeがどう違うのかと言いますと、BIもGAもアクセス解析も、「昨日のデイリーアクティブユーザーどうだったのかな?」「昨日の売上はどうだったのかな?」「先月のページビュー はどうだったかな?」と過去の状況を見るんですが、Amplitudeは実は過去のユーザーの行動を見ながら、「購買に至った購買変容をトラッキング」しているので、そこから行動分析および統計学を使いながら「ユーザーが何を以て購入したのかな」といったような先行指標を求めるのが、Amplitudeでございます。

事前にページを拝見させていただいたのですが、 Amplitudeの場合ですとユーザー軸で分析ができるのでこういった解析ができると思うんですが、具体的にユーザー行動分析をするために、どんな指標を取得すべきかなどありますか。

実は”そこ”からAmplitudeは統計的に求めるんです。

少し事例を入れさせていただきますと、Instagramが今とても流行ってると思います。ご存じの通り、写真を撮って写真を共有するというかたちなんですが、Instagramはもともとは写真を共有するのが軸としたサービスでなかったんです。

実は途中で写真を軸にしたというかたちなんですよね。これには一つきっかけがございまして…「行動分析」なんです。

もともとチェックインのようなかたちでInstagramは位置情報を共有していたんです。

それだと、なかなかユーザーが定着していなかったので、定着してるユーザーの行動を見てみたら、「位置情報の共有」よりも「写真を共有」している人たちが多かったということが分かったんです。

それで、写真を共有するところを尖らせたところ、急激に普及したと。

これが実は、Amplitudeのコンセプトと一緒でして。 「じゃあ、ユーザー行動分析するために取得する時に必要なデータはなんなのか」ということから、あらゆるタッチポイントをとりあえずAmplitudeに投げていただく、お気に入り登録であったりとか、番組への会員登録であったりなど。そうするとそこから、何かしらのユーザーの行動との相関関係を求めて「こうじゃないの」 という試算を自動的に求めてくるので、それを指標にしているかたちになります。

とても分かりやすい事例、ありがとうございます!行動分析をするとなると、ある程度サイトにボリュームがあるような企業様やサービスでないと、いい結果が推測できないのではと思うのですが、だいたいどのくらいのUUが月間もしくは日間や週間あれば、その価値のある行動分析ができるというような感覚を持てば良いのでしょうか。

ありがとうございます。これもよく聞かれるんですが、実はですね…デイリーアクティブユーザー50名くらいからで大丈夫です。

精度の違いは確かにn数によって、多ければ多いほど確実、確率は上がります。ただ50名くらいからで大丈夫でして、これ何でかと言いますと、アメリカで有名なYコンビネータというスタートアップに投資をしている会社がございまして、Yコンビネータの中でオススメしているAnalytics、「まずAnalyticsを入れなさい」と言っているんです。PMFするために。先ほどのInstagramの例ではないですけど。その時に、AnalyticsをとにかくDAUが少ない段階から入れなさいと。

ちなみに余談になるのですが、Yコンビネータのスタートアップの塾のなかで「Amplitudeがオススメですよ」と言っていただいているんですよね(笑)なので、わたしたちのものが結構スタートアップでも使われているんです。

日本の企業様で、今に限らずAmplitudeを導入した事例はありますか?

はい。まだ公に公表してないのでお話できないのですが、大手キャリアや大手ゲームメーカーで使っていただいて、あとはECさんでも使っていただいているので、「行動分析のデータを集めたので、そろそろ違うこともやろうかな」と考えている企業様も日本でも増えてきました!

どちらかというと、日本でいうMA(マーケティングオートメーション)のような立ち位置でしょうか。

はい。われわれもMAの一つになるので、それでマーケティングなんですけれども。

少しお話させていただくと、日本はやはりユーザー獲得でフォーカスしていましたので、

ユーザー獲得は最初は良いのですが、ある程度サービスが普及してしまうと獲得は難しくなってしまいます。それで質の高いユーザーを獲ってくるといったときに、CPIやCPAが上がってしまいROASが合わないと。

ではどうするかというと、LTVをフォーカスしたときには一般的なマーケティング理論における、獲得したユーザーをエンゲージメントさせた方がよっぽど効率がいいわけですよね。そのときまだヒットするマーケティングオートメーションがない!という状況になって、「あぁ、これがプロダクト 解析か、プロダクトAnalyticsか」という状況になってきてるみたいな風潮になります。

「タクソノミー」とは

データ分析をされ、示唆出しをされる際に大切なことはありますか?

やはり最初は、いくらアルゴリズムがあったり、AI 使ったり、われわれもAIを使ってユーザーの予兆をするのですが、一番重要なのは「データをどういう風に、トラッキングするのか」。

いままでは簡単に、タグを埋め込んでページビューだけを見て、分析の粒度などをあまり気にせずにたくさん入れとけばよかったのですが、行動分析をするうえにあたって、より深い 分析をするためにはデータのどういうトラッキングをするのか、「イベント設計」がとても重要になります。

これには新しい言葉がありまして「タクソノミー」というのですが、例えば「購買」といった「アクション」があるとします。Webのときの購買は「購買ページに遷移」、アプリのときは「購買ボタンを押した」、オフラインの場合もデジタルでデータをとってくることができますが、それはレシートを出しておくんですね。POSシステムで。

デジタルデータ的にはそのまま渡してしまうとそれぞれ違うアクションになってしまいます。

これを概念的にすべて「これは購買だよ」とアクションで考えて、そこに実際のイベントを紐づけする概念なんですね。

「タクソノミー」は国内ではあまり聞き慣れないですね

はい。結局一般的なところで、クロスチャンネル、マルチチャンネルなどいろんな話がありますが、ウェブやアプリでの体験…「これがいいかな」と思って店舗に行ってものを買うというかたちで、そういう風に複合的にマーケティングを行っていかなければならないという状況になっていると思うんです。

そうするとどのキャンペーンが一番効果があったのかをみるのは、とても難しいんですよ。テレビのCMで効果があったのか、アプリのポップアップが効果があったのか、店舗へ出向いてレジで渡されたチラシが効果があったのか…これって計測が難しくなってくるんです。

単に「デジタル広告を出しました、それがクリックされました、それでやってみました」だけですと、そこが単発でしか見れないので、本当にそれが正しいのかどうか分からないんです。そういう面を見るうえで、タクソノミーのような概念が必要になってきているんです。

いわゆる「カスタマージャーニー」から、より細分化された本当に何が効果的なのかを見つけ出すということでしょうか。

そうです!

そうなってきますと、チャネルで見るのではなく、その上位概念に見なくてはいけないので、タッチポイントをトラッキングではダメなんですよね。

「アクション」で行わないといけないんです。

もう少し話しますと、AIも学習要素、パラメーターを入れておかなければならないんです。いわゆる説明変数です。説明変数がなければ、そこに対する目的変数に対して目的のことができないんです。

「購買」という「アクション」が細分化されていたとしたら、どの「購買」がAIに問わせて購買に至ったのかが分からないんですよね。なのでいまのAIはモデリングするときに、ちゃんとタクソノミーという概念をもって入れておかなければならないのに、それができていないので、日本のAIの精度はほかの国と比べるとものすごく悪いんです。

AIの設計にマーケティングの要素をしっかり入れておかないと、使えるAIにならないということですね。

そうです。AIであれば、学習する要素をきちんと吟味して入れておかないと、AI自体は違いがありません。アルゴリズムはあまり変わらないので、どのようにマーケターが学習させる要素を入れるのかでだいぶ変わってきますね。そこが日本はまだまだかなぁと感じます。

同じユーザーさんがオフラインとオンラインで同じものを購買した場合、紐づけがウェブのIDから持ってくると思うのですが、それもAmplitudeの中で実現できるようになっているのでしょうか。

アノニマスであったりIDが入ったときに、バックワードで「この人は共通の人間だ」などをちゃんと見ています。

ただやはり一番重要なところがなにかと言いますと、やはり「個人IDを作っちゃう」、オンラインで作るときも IDで、オンラインで購入するときも IDで、オフラインでもカードなどを見せて「わたしはこういうIDですよ」というかたちでデジタルデータを紐付けるようなことはマーケターとしては考えなくてはいけない状況では変わりはないです。

導入企業様に対して、ユーザー行動分析の必要性を説くマーケティング施策などはありますか?

マーケティングのときで例えば、訴求する、なにかしらプロモーションするうえにあたって重要なのはターゲティングだと思います。

ちゃんとセグメントを切って、どのタイミングで渡すのがコンバージョンが最も多いのかを見るかと思うのですが、そこで一番難しいのはターゲティングですね。

デモグラでターゲティングしてしまうと、極端な例ですが、アイスクリームをプロモーションしようとしたときに、アイスクリームは別に「女性で、20代だから」アイスを食べるわけでもなく、50代のおじさんも食べるわけですね(笑)そのときに、どうやってターゲティングするの?というお話でして(笑)それは「甘いものが好き」という行動が獲れておけばいいんですよね。ウェブサイトで甘いものをいっぱいお気に入り登録している、甘いものの写真を見ている、そういうかたちが重要ですので、 行動でターゲティングすると一般的に20%コンバージョン率が上がるんです。

ターゲティング精度が上がるということですね。仮説ではなく、行動からきちんターゲティングできるからということですよね。

はい、そうです!秘密はなにもないです!

デモグラみたいにふわっとしたものをターゲティングしてもふわっとしたものなので、それを行動でそのまま1stパーティデータでガツン!とやりましょうというだけで、コンバージョンがぐっと上がるような仕組みです。

未来思考を持って検証し続けることが重要

最後に、米田さんのお仕事をマーケターという言葉を使わずに再定義すると、どのような言葉になりますか?

やはりいまは、デジタルの時代ですのですので、こういう風に定義させていただきます。

「データから過去を語るだけではなく、未来を描ける人」

いまのところ、マーケターが見ているのは「CTRがどう”だった”」「ROASがどう”だった”」「昨日の売上がどう”だった”」「ページビューがどう”だった”」…これは過去なんですね。そうではなくて「未来につなげるために、どんな先行指標があるのか」を傾向と対策を見ながら、その先行指標を高めることによって売上をあげていくといいますか、未来思考でやらなければならない、そこがポイントだと思います。

マーケターのみなさまに伝えるならば、要は仮説をきちんと立てられるのかということですよね。

はい。過去のデータから統計的に、これも全部GAFAM(ガーファム)などをアメリカの会社ではしているので、これをいち早く導入したところがポイントなのかなって思っています。

今回はユーザーの行動分析の深いところまでお話を伺うことができました!貴重なお話をありがとうございました!

マーケターという職種を再定義すると…

データから過去を語るだけではなく、未来を描ける人

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