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ビジネスを加速させる「フレームワーク」とは? 

マーケティングや開発に従事している方は、フレームワークというものを一度は使ったことあるのではないでしょうか。

  • ・そもそもフレームワークとは何なのか?
  • ・なぜフレームワークという考え方が存在するのか?

など、根本的に疑問に持っている方は少なからずいるかと思います。
そこで、今回の記事ではフレームワークの基本的な説明からビジネルで活用できるフレームワークの考え方を紹介していきます!

フレームワークとは

フレームワークとは、日本語だと枠組みや骨組みなどの意味を表し、内容を埋めるための外枠の部分を定義したものになります。と言ってもイメージしにくいと思いますので、具体例を記載いたします。

例えば、マーケティングにおいてよく聞くフレームワークだと3C分析というものがあります。これは、3C(Customor: 顧客, Competiter: 競合, Company: 自社)について分析を行うことで、自社の現在の状況を分析することを可能とするフレームワークになります。

こちらはCustomor: 顧客, Competiter: 競合, Company: 自社を分析すればいいという外枠の部分だけが定義されており、実際の分析内容については言及されておりません。
しかし、この枠組みに合わせて内容を埋めていくと、自然と自社の状況を分析しやすくなります。このように、ある目的に対して幅広い状況でも応用できる枠組みのことをフレームワークと言います。

これらは先人の知恵の結晶を抽象化したものであることがほとんどで、ビジネスの場でも大きく活躍します。ビジネスの場でフレームワークを使うことについての重要性については下記の記事で記載しておりますので是非ご覧ください。

マーケティングフレームワークプロ記事のリンク

フレームワークのメリット・デメリット

フレームワークを利用することによってどのようなメリット、デメリットがあるのかをご紹介いたします。

メリット

作業時間を削減できる。

目的に適したフレームワークを利用することによって、この目的を達成するためにはこれらについて考えればいいという枠組みが提供されます。そのため本来ならば作業として必要な、「何について考えればいいのかを考える」というフローを削減できるので、作業時間を削減することが可能になります。

費用対効果が期待できる。

先人の知恵の結晶によって作られた枠組みのため、それらに沿って作業を取り組むだけでも一定以上の結果を得ることができる。例えば、マーケティングについての知識が浅い人でも、3C分析に取り組むことで自社の状況を一定以上は明らかにすることが可能になる。

デメリット

フレームワークだけに頼ると革新的なビジネスを作りにくい。

フレームワークとは、既にある課題を解決してきた枠組みであるため、それだけを活用していると既存のビジネスモデルから大きく離れた革新的なビジネスを生み出しにくくなってしまう。
フレームワークただ利用すればいいというわけではなく、フレームワークを利用した結果を基に独自の仮説を立てることや検証を行うことも重要になります。

ビジネスでよく使われるフレームワーク

3C分析

上記で例として何度も出てきた3C分析ですが、既にご紹介した通り、このフレームワークは3C(Customor: 顧客, Competiter: 競合, Company: 自社)を分析することで、自社の状況を明確にしやすくするためのフレームワークとなります。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の内部環境とそれを取り巻く外部環境を正しく分析し、経営戦略を導き出す分析方法です。自社の内部環境に当たるのが、Strength(強み)、Weakness(弱み)。外部環境に当たるのが、Opportunity(機会)、Threat(脅威) になり、これら4つの頭文字をとって、SWOT分析と呼ばれます。

こちらにつきましても、詳細については下記でご紹介しておりますのでよろしければご覧ください。

SWOT分析から考える戦略設計|3つのステップ

4P分析

4P分析とは、どんな製品(Product)を、いくら(Price)で、どこで(Place)、どのように(Promotion)これらの頭文字が「4P」の由来であり、別名「マーケティングミックス」とも呼ばれています。

商品の新規参入を計画、もしくは既存商品のマーケティングを見直すときにこれら4つの領域で情報をまとめることで、自社商品が持つポテンシャルを把握するのに役立ちます。

例えば製品(Product)であれば、商品名、機能・品質、デザイン、アフターサービス、保証などを考える必要がありますよね。それぞれ4つの項目において競合にはどんな特徴があるのか、自社の強みは何かという視点で分析する必要があります。

STP分析

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)、の頭文字を取って名付けられた分析手法です。

セグメンテーションは、市場の細分化(ユーザーをニーズ毎にグループ分類すること)を意味します。次にターゲティング、これは細分化したグループの中から、どの市場(ユーザー)を狙うのかを決めるものです。そして最後にポジショニング。これはターゲットに設定した市場における、自社の立ち位置を明確にすることです。主に競合他社との差別化要因を見極めるために行う場合が多いです。

基本的に「全てのユーザーを狙った商品は、結果的に誰からも必要とされない」というのが、マーケティングを考える上で忘れてはならない前提条件です。それは、一つの商品やサービスで全てのユーザーニーズを満たすことができないからです。その前提を把握した上で、新たなビジネスやサービスを展開する際には、まず自社を取り巻く環境を把握してから、どの市場(ユーザー)を狙い、どのような立ち位置でアピールしていくか、最も効果的な手段を決定するために重要なプロセスがSTP分析なのです。

STP分析は、環境分析(3C分析・5F分析・PEST分析・SWOT分析など)と施策立案(4P)のちょうど中間に位置し、企業におけるマーケティング活動の中でも、要の分析だといえるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
本記事ではそもそもフレームワークが何なのかというものから、メリットデメリット、有名なフレームワークに至るまでご紹介いたしました。
本記事でご紹介したフレームワークや、ご紹介できなかったものについても本メディアの別記事でも詳しくご紹介をしておりますので是非ご覧くださませ。
本記事を読んでいただいた皆様が、先人の知恵の結晶であるフレームワークを上手く活用してビジネススピードを上げることができれば幸いです。

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発想力の向上効果があるマインドマップの書き方を解説!

新しいことを考えること、覚えることが苦手、今までになかったアイデアや解決策を思いつくのが難しい、と感じているあなたは、もしかしたら効率的な思考法をしていない可能性があるかもしれません。

マインドマップとは、人間の脳の仕組みに合った発想・思考法です。書き方を理解すれば、記憶力や発想力を高める効果が期待できるとされています。
しかし、マインドマップと聞いて、「実際どうやって行えばいいの?」という意見が多いと思います。
そこで今回はマインドマップの概要や書き方、メリット・デメリットについて解説していきたいと思います。

マインドマップとは

特徴

マインドマップとは、学習能力や理解能力を高めるための脳の使い方のことです。1970年代に活躍した英国人作家トニー・ブザン氏が「マインドマップ」という言葉を世に広め、現_在の使い方が確立されました。
マインドマップは、用紙の中央に議題となるメインテーマを配置して、テーマから連想されるアイデアや情報を線で繋げながら、分岐させるように放射状に展開していく思考方法です。
マインドマップの他にも「アイデアマップ」や「スプレー図」「メモリーツリー」など複数の呼び名が存在しています。

目的

マインドマップを作成するには、関連するキーワードを連想したり、想像したりしながら整理する力が必要になるため、作者の記憶力・理解力・発想力を向上させる目的として使われます。
また、頭の中にあるアイデアや複雑なテーマを、一枚の絵のように全体を俯瞰できる図形として可視化できるようになります。
作成した図は各要素が分解され、線で関連付けられた図形になりますので、複雑な発想や計画を理解するための資料として、他者を助ける目的にも利用可能です。

効果

マインドマップでは、脳にある意味記憶の構造に適した方法で頭を使うため、物事の記憶能力や理解能力を向上させる効果があります。
また、メインテーマを構成する要素を文章ではなくキーワード(2から3つの単語)で繋げていくため、複雑な内容でもコンパクトな空間にまとめて表現できるメリットがあります。
活用するすることにより、理解しがたい複雑な問題でも目に見える形にしながら理解する方法としてとても効果的です。複雑と感じる部分を具体化することで、行動に移すための意思決定能力も向上するとされています。

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マインドマップの書き方について

マインドマップの書き方

マインドマップ作成する際は、用紙の中心に議題となるメインテーマを書くことからはじめます。関わっているプロジェクト名や問題点、目標など、解決するべき事柄や学びたい事を用紙の中心に配置しましょう。

次に、関係するキーワードをメインテーマから木の枝が分岐するように線でつなげて追加します。マインドマップでは、各要素をつなげる線のことを「枝(ブランチ)」と呼びます。
例えば、「Webサイト作成」というメインテーマなら、「目的」「コンテンツ」「デザイン」など連想される要素をそれぞれひとつずつブランチで繋げ、その後は、追加した各キーワードをさらに詳細に分解していきます。
「Webサイト作成」→「目的」と繋がっている項目では、「集客」「自社紹介」「物件管理」など、連想されるキーワードを繋げてみましょう。ここで重要なのがテーマに関するキーワードを出し切るまで続けることです。

出し切った後は、重要度が高いキーワードをメインテーマの近くに再配置したり、すぐに行動に移せる事柄を末端に持ってきたり、関連性によって各キーワードを並べ替えて整理します。
情報を整理しながら全体を俯瞰して観察したり、各キーワードの関係性を考えたりすることで、問題に集中し記憶力・理解力・発想力が高まった状態になります。

マインドマップのルール

マインドマップを提唱したトニー・ブザン氏によると、マインドマップには以下の12のルールというものがあるとされています。

  • ・無地の用紙を使う
  • ・ブランチは曲線で
  • ・用紙は横長で使う
  • ・強調する
  • ・用紙の中心から描く
  • ・関連づける
  • ・テーマはイメージで描く
  • ・独自のスタイルで
  • ・1ブランチ=1ワード
  • ・創造的に
  • ・ワードは単語で書く
  • ・楽しむ

それぞれのルールには守るべき理由があるのですが、そもそもマインドマップとは情報を効率的に深く理解するための道具です。
いくら上記にある全てのルールに従ったマインドマップを作成しても「情報を深く理解できた」という効果がなければ無意味になります。

あくまでマインドマップを活用するということは、アイデア出しであったり、自分が考える思考の幅を広げることを目的としているため、自分が使いやすいルールに沿って行うことが重要となります。
ただ初めてマインドマップを作成する人はどの基本ルールを意識するかがわからないと思いますのでここでは最低限のルールをご紹介します。

・用紙の中心にテーマを書く

まずは用紙の中心にテーマとなるキーワードを書いてみましょう。なぜ中心にテーマを書くのかというと、ここから放射状に項目をつなげていくためです。たとえば、「今週の予定」「TO DO管理」「プレゼンのアイデア」など、思考を整理したいと思うテーマを書きます。

中心にくるテーマについては、連想を引き出すためにイラストをつけることや、カラーペンを使って簡単な図やイラストを描いてみたり、アプリでシート上に画像を挿入してみたり、テーマを視覚的にとらえられるようなイラストをプラスすることもおすすめです。
なお、真ん中にくるテーマは、「中心イメージ」「セントラルイメージ」「メインテーマ」などと呼ばれています。

・放射状に線でキーワードを繋いでいく

たとえば、「今週の予定」→「ドライブ」→「海」「山」「公園」といった具合で、連想するキーワードをどんどん線でつないでいきます。
簡単にいってしまえば、連想ゲームのようなものです。マインドマップではこの「連想」という要素が生きてくる点が特徴で、ふと新しい発想やひらめきにつながることも少なくありません。

・1つの線に、1つの単語

メモのようにして、あれこれと書き込みたくなることがあるかもしれませんが、マインドマップには「1つの線に、1つの単語」が原則となっています。
「文章」で書いてしまうとその内容に思考が引っ張られてしまいますが、「単語」ならばそこから連想できることが多いためさらに新しい発想やアイデアが生まれるかもしれません。

・主要な線を太くして強調する

マインドマップでは放射状に線を描いていきますが、そのときにメインとなる線については太くするというルールがあります。
線の太さを変えて描かれていると、何が重要なのか視覚的にとらえやすくなることが理由です。
主要な部分を強調する際は、まず最初にマインドマップを完成させ、全体を把握した上で、重要度に応じて強調する線を太くすることがおすすめです。

・色を使ってビジュアル的にわかりやすくする

マインドマップでは、単語を線でつないでいくだけでそれらしいものを作成できます。
しかし、色を上手に使うことで、よりわかりやすいマインドマップを描けると思います。
たとえば、「今月の予定」がテーマであれば、「買い物」「仕事」「趣味」など、カテゴリによって線の色を変えてみるとグルーピングしやすくなり、視覚的にわかりやすくなるため記憶力や想像力のアップにつながると考えられます。

効果的に作成するポイント

効果的にマインドマップを作成するポイントとして、以下の3点を意識して作成してみましょう。

・大きな用紙の中央から書き始める

用紙を大きなものにすれば、アイデアを書き込むスペースが増えます。マインドマップは、想像力を働かせながら内容を出し切ることで最大限に効果を発揮します。
書き込むスペースが少なくなると比例して発想力も縮小してしまいますので、スペースは十分にとりましょう。

・抽象的なアイデアから具体化する

枝を伸ばすときには、抽象的なアイデアから徐々に具体化していくほうがスムーズにキーワードを増やしていくことができるのでおすすめです。

・アイデアを追加して細分化する

最初は気付かなかったキーワードや関係性は後から記入することにして、どんどん枝を伸ばしたほうがマップの作成が簡単になります。
また、時間をかけて問題を細分化しながらアイデアを出したり、違う枝同士の関係性を矢印で繋げたりすることで、脳が十分に活性化されます。
新たなアイデアや今まで気づかなかった方法を発見できる可能性が増えますので、アイデアの追加や気付いた関係性はどんどん追加するようにしましょう。

マインドマップのメリット・デメリット

メリット

・キーワードで書くため時間がかからない

メモやノートをとるときに、文章で記録すると時間と手間がかかります。
しかも、ノートを書いても多くは記憶に結びつかないといわれています。
重要ではない言葉まで読む必要があるので、時間がもったいないという側面もあります。
マインドマップではキーワードで情報を整理していきますが、細かな文章まで記録しなくても、忘備録にはなるものです。
単語で関連性を示しながらまとめていく作業によって時間の短縮につながります。
また、文章で長々と記述するものではないので、紙一枚で済むというメリットもあります。

・放射状に広がるマップが視覚的にわかりやすい

通常、上から順に文章を追っていかなければ、必要な情報までたどりつけないと思います。
それに対して、マインドマップは放射状に広がった地図のようなものであるため、全体像をとらえやすくことやあとから必要な情報をいち早く参照できるようになり、視覚的にわかりやすくなる点がメリットとなっています。

・連想によって思考やアイデアが広がる

マインドマップでは単語ベースで放射状の図によって思考を整理していきますが、これを作る過程において「連想」が生じます。
単語ベースで頭の中にあることを書き出していくことや、それを放射状に線でつなぎながらマインドマップを作成していくことで、関連性のある事柄についての発想が広がり、新たな思考やアイデアが生まれるでしょう。

・覚えたこと、考えたことが記憶に残りやすい

マインドマップで思考を整理すると、視覚的なわかりやすさによって記憶にとどまりやすくなるといわれています。したがって「記憶術」のような形でマインドマップが用いられることもあります。
文章だけでキーワードを書き並べることに比べ、マインドマップは図形として認識できるため、視覚情報が手がかりとなり、記憶として定着しやすいと考えられています。

デメリット

・目標、目的がないと意味のないものになってしまう

マインドマップをきれいに仕上げたところで、「このマインドマップを活用して何がしたいのか」という目標・目的が欠落していれば、意味がないものになることがあります。
たとえば、マインドマップで「TO DOリストの作成」をしても実行に移していかなければ、せっかくリストを作成しても無意味になってしまいます。
この場合、「やるべきことの優先順位を見つけて、順番に片付ける」など明確な目標を持ち、実際にアクションを起こすことで、マインドマップの価値が感じられるようになります。
また「プレゼン内容に抜け・漏れがないように検討したい」「連想によって新しいアイデアを持ちたい」など、何か目的意識を持つことが大切とされています。

・慣れないうちは時間がかかってしまう

マインドマップを使うと思考の時間短縮・効率化にむすびつくのですが、最初のうちは箇条書きなどよりも、かえって時間がかかってしまうかもしれません。
また、イラストなどをつけて「きれいに作ること」を重視すると時間とエネルギーを要します。
美しく仕上げてビジュアル化することが大切と考える人もいますし、プレゼンなどの資料として活用する人は「走り書き」のように大雑把なものでも問題ないため、まずアウトプットイメージを考えてから作成する流れを取ることが良いでしょう。

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まとめ

上記でマインドマップの概要から書き方、メリット・デメリットをご紹介してきましたが、マインドマップを活用する上で一番重要なことは、情報を効率的に深く理解するための道具ということを忘れないようにしてください。
いくらルールに従ったマインドマップを作成しても「情報を深く理解できた」という効果がなければ無意味になります。
ですので、作成する前に「自分がなぜマインドマップを作るのか」をしっかり理解した状態で作成してみましょう。

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消費者行動の実態がわかる「AISASモデル」とは?

AISASモデルとは

AISASモデルとは、株式会社電通が提唱した「インターネット普及時代におけるユーザーの購買行動モデル」のひとつです。
購買行動モデルとは、消費者が商品を購入するまでの一連のプロセスを体系化したものを指します。
ASIASモデルは、別名「AISAS理論」や「AISASの法則」と呼ばれることもあります。
AISASモデルは、まだインターネットが普及していない1920年代に米国のサミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された「AIDMA」という購買行動モデルが元になっています。
AIDMAの購買プロセスでは、次の5つの行動プロセスで形成されています。

・Attention:認知・注意

・Interest:興味を持つ

・Desire:欲求

・Memory:記憶

・Action:購買行動

まずユーザーは商品について認知し、興味・関心を示す。その後、実際にその商品への欲求を感じることで商品を記憶し、購入するというプロセスで構成されています。
しかし、インターネットの普及により、消費者の購買に対する態度や心理は大きく変化しました。
そういった背景を受けて新しく登場したのがAISASモデルであり、次の5つの行動プロセスで構成されています。

・Attention:認知・注意

・Interes:興味・関心

・Search:検索

・Action:購買

・Share:共有

それでは、5段階の行動プロセスについて詳しくみていきましょう。

AISASモデルの五段階構造

  • ・Attention(認知・注意)
    ユーザーは、まず最初にテレビCMや雑誌、インターネットで広告などを見て商品やサービスについて認知(Attention)するところから始まります。
  • Interest(興味・関心)
    そして次に、認知した商品やサービスの「売り」に対してユーザーは興味・関心(Insterest)を示します。ここまでは、インターネットが普及する前のAIDMAモデルの「AI」の部分と同様といえるでしょう。
  • ・Search(検索)
    商品やサービスに興味・関心(Insterest)を示したユーザーは、そのまま購入に至るのではなくインターネット上で情報収拾を行います。商品やサービスの詳細情報や口コミを見ることで、本当にそれが自分にとって「良いもの」なのかを判断するためです。
  • Action(購買)
    情報収集を行った結果、商品の良さを感じてもらえた場合は購買に至ります。
  • ・Share(共有)
    購買で終わりではなく、商品やサービスを使った感想、体験をブログやSNSなどに共有(Share)します。もちろん、商品やサービスの良い点だけでなく、悪い点や不足している点も共有される場合があります。

AISASの特徴

AISASの主な特徴は大きく以下の2点です。

  • ① インターネットで情報収集をして購買に至るまでの意思決定を行う。
  • ② 購入した商品についての評価や感想、体験をインターネット上でシェアする。

インターネットの普及によって生じた「検索」と「共有」というプロセスを組み込んだことが、AISASモデルの特性です。
昨今ではユーザーによって共有された評価や口コミといった情報が第三者の購買行動プロセスにおける「認知・注意」や「興味・関心」、「検索」を喚起させる役割を担っています。
また、実物を手に取らなくても、インターネットの検索によって得た情報だけが購入の決め手になるなど、ユーザーの購買行動は日々進化していると言えるでしょう。

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AISASモデルの変化

Dual AISASモデルの登場

従来のAISASモデルでは、ユーザーの興味・関心(Interest)は購買に関する興味関心だけだと考えられていました。しかし実際は、ユーザーの興味・関心(Interest)は「コミュニケーションへの興味・関心」と、「購買への興味・関心」に分けられます。

そこで登場したのがDual AISASモデルです。
Dual AISASモデルでは、ユーザーのSNSやコミュニケーションアプリでの行動プロセスまでも捉えており、ユーザーの購買行動を従来のAISASモデルより正確に把握できるようになります。

前述した通り、Dual AISASモデルでは「興味・関心(Interest)」段階にあるユーザーを「コミュニケーション関心層」と「購買関心層」に分けて考えます。
「コミュニケーション関心層」呼ばれるユーザーたちは、商品やサービスそのものに興味があるわけではありません。面白いコンテンツを通じた「面白い、笑える、友達にも見せたい」といったコミュニケーションに興味があるのです。つまり、「拡散・共有はするけれど、購入にはいたらない層」であると言えます。

一方、「購買関心層」は従来のAISASモデルの通り、商品やサービス自体に興味・関心を持っており、購入を検討している層を指します。
このようにユーザーの購買行動を細分化して考えることで、AISASモデルではカバーしきれなかった部分を補完することができ、企業は効果的に商品やサービスをユーザーに届けることが可能になります。

AISASモデルの活用事例

①スターバックスコーヒー

スターバックスコーヒーは、 AISASモデルの中でもとくに「Share(共有)」に力を入れることにより、広告費をかけずとも多くの人に認知してもらえる状況を作り出しています。

  • ・Attention(認知・注意)
    写真映えする商品、コーヒーカップに書かれるメッセージ、といった演出で、ユーザーのShare(共有)を促進。広告費をかけずともユーザー間で認知を増やすことに成功している。
  • ・Interest(興味)
    次々と季節限定の新商品を発売することで、ユーザーに飽きさせない仕組みを構築。
    スターバックスのユーザー層はリピーターも多いため、新作を出すだけでも十分に興味を惹きつけることが可能です。
  • ・Search(検索)
    スターバックスがターゲットとしている若年層は、SNSで検索をする人が多いです。
    そのため、おしゃれなブランディングによってSNSでシェアされやすい状況と非常にマッチしています。
  • ・Action(購買)
    商品そのものの魅力だけではなく、居心地の良い空間を提供することで購買を。駅前店などではカフェで仕事がしたい人に対して、店内に電源やWi-Fiを完備。
    さまざまなユーザーが利用しやすいように工夫を施している。
  • ・Share(情報共有)
    SNSで共有してくれやすい若年層の女性に対し、非日常的な雰囲気を演出することで、自社をおしゃれなカフェとしてブランディング。前述したように商品自体も非常に見栄えが良く、シェアしたくなるような工夫が施されています。

②RIZAP

RIZAPは、 AISASモデルの中でもとくに「Interest(興味・関心)」に力を入れることにより、短期間の間にかなり世の中にインパクトを与えることができています。

  • ・Attention(認知・注意)
    耳に残りやすい音楽を使ったテレビCMを集中的に流すことによって、「RIZAPのCMを知らない」という人がいないほどに、多くの人に認知することができています。
  • ・Interest(興味・関心)
    著名人の起用、ビフォーアフターの映像、そして「2ヶ月でこの体」「結果にコミットする」というわかりやすいコピーで、ユーザーの興味・関心を惹くことに成功しています。
  • ・Search(検索)
    RIZAPは、CMによって興味を持ったお客さんを購入にスムーズに誘導するため、充実したHP設計をしています。さらに、自社のHP以外からも情報を得ようとしたお客さんに対してアフィリエイターを使い、「RIZAP 悪評」や「RIZAP 不満」などのネガティブなワードで検索しても、ポジティブな内容が出るようにしていました。
  • ・Action(購買)
    2ヶ月で29万8,000円という高額な料金設定。ここでユーザーの背中を押したのは、「30日間の全額返金保証制度」。もし不満があれば、料金が返ってくるという条件は購入へのハードルをかなり下げることができています。
  • ・Share(共有)
    SNSやブログへの「Share(共有)」も効果的ですが、強力な「Share(共有)」の後押しになるのは、RIZAPを体験したユーザー自身です。目に見える変化は、周囲の人への強烈な広告になり得ます。短期間で理想の体を手にしている知人を見て、RIZAPに興味を持った方もいることでしょう。

③メルペイ

メルペイが会員登録増加施策として行った「すすメルペイキャンペーン」では、 AISASモデルの中でもとくに「Share(共有)」に力を入れることにより、ユーザーを巻き込んだ大規模な拡散を実現しています。

  • ・Attention(認知・注意)
    動画広告をテレビCMとSNS両方で行うことで、広範囲での認知を拡大しています。
  • ・Interest(興味・関心)
    ターゲット世代にとって興味・関心の高い人気のYouTuberを動画広告に起用することで、Interest(興味・関心)にうまく繋がるように設計しています。
  • ・Search(検索)、Share(共有)
    このキャンペーンに参加したユーザーは、招待コードをTwitterなどでつぶやくことになるので、自身のフォロワーに拡散を行う仕組みになっています。このように、AISASでいう「Share(共有)」をうまく活用し、SNSでの拡散を誘発しています。

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まとめ

マスメディア時代にはAIDMAモデルが、インターネット時代に突入するとAISASやDual AISASというモデルが出てきたように、ユーザーの購買行動は、時代の変化と共に変わるものです。
特に、マーケティング業界は新しいモデルが次々に出てきます。ユーザーの購買行動にあった適切なマーケティング施策を講じるためには、常に最新の情報を手にすることが大切になってきます。

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ゲーム理論はどのようにマーケティングで活かされる?

ゲーム理論とは

 ゲーム理論とは、両者が影響し合いながら意思決定を行う理論を意味します。
ゲームと名付けられた理由としては、相手の意思決定によって自らの意志決定が影響する状況が、チェスや囲碁でもあるので、「ゲーム」と名付けられたと言われています。
このゲーム理論は、企業経営や必勝戦略を見つける手法と言われている理由として、現実の秩序に基づき、各自が互いに最適解な行動をとることを前提に分析する手法だからだと言われています。

ゲーム理論のはじまり

世界的に「ゲーム理論」が広まった原因は、1944年にフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが執筆した「ゲーム理論と経済構造」の出版によって世界的にゲーム理論が広まったと言われています。
その後の1950年にナッシュ均衡が定式化したことでゲーム理論の分析が標準的な均衡概念として確立されたと言われています。

ゲーム理論の代表例:囚人ジレンマとは

囚人ジレンマとは?

「囚人ジレンマ」はゲーム理論ではとても代表的なモデル例として取り上げられています。ここで、以下の状況を考えてみてください。

犯罪を犯した容疑者が2名います。(ここではA容疑者とB容疑者としましょう。)
各々別室で尋問を受けることになりました。二人の容疑者に与えられた選択肢は「自白する」または、「自白しない」の2択です。
そして、自白の状況によって彼らが受ける罪の重さが変わってくることにします。

  • ・A容疑者:自白する B容疑者:自白しない → A容疑者:無罪 B容疑者:懲役10年
  • ・A容疑者:自白しない B容疑者:自白する → A容疑者:懲役10年 B容疑者:無罪
  • ・A容疑者:自白しない B容疑者:自白しない → A容疑者:懲役2年 B容疑者:懲役2年
  • ・A容疑者:自白する B容疑者:自白する → A容疑者:懲役10年 B容疑者:懲役10年

上記の状況のように懲役の長さが変わる、ないしは無罪になる場合、各容疑者はどのような行動を取るでしょうか。
こういった状況の場合、一番魅力なのは「自分が自白して、相手が自白しない」状況だというのは明確だと思います。ですが、相手が自白をした場合には、お互い懲役5年になるリスクがあります。一方で、お互いが「自白をしない」選択をした場合、懲役年数は2年という結果になるのです。

容疑者AとBが違いの利益を考慮したら、「自白をしない」という選択肢をとり、懲役が最も短い結果になるのですが、自分しか利益を追求しなかった場合、「自白をする」をする選択肢をとると思います。その結果、「自白をしない」選択肢よりも懲役が3年長くなる場合があるのです。

お互いにとって、最適な選択をしたにも関わらず、協力した場合よりも悪い結果が生まれる可能性がある状況を「囚人のジレンマ」と呼ばれています。この囚人ジレンマをより深く理解するには、「パレート最適」と「ナッシュ均衡」も理解しておく必要があります。

パレート最適とは?

パレート最適は、お互いの不利益な状況を避け、全体の利益が最大化されている状態のことを言います。
言い換えると、これ以上にない利益を出すためには、誰かの犠牲も惜しまない状況とも言えます。
なので、「お互いが自白をしないで、懲役2年を受ける」ことが、この囚人ジレンマのパレート最適と言えます。

ナッシュ均衡とは?

一方で、ナッシュ均衡は、各自が自分の最適な戦略を選択肢をとり、自らの戦略を変更する理由がない安定的な状態(つまり、均衡)である組み合わせのことを言います。
先ほどの、パレート最適では、お互いが自白をしない状況が最適でしたが、もしも、相手が裏切っで自白をした場合、懲役10年を受けることになります。
その場合、お互いが「自白をする」選択肢を取り、自分の選択肢を変更できない状況だと思います。
ですので、この囚人ジレンマにおいての、ナッシュ均衡は、お互いが「自白をする」選択になるのです。

パレート最適とナッシュ均衡で考える囚人ジレンマ

まとめると、この囚人ジレンマは各々とっての合理的な選択肢であるナッシュ均衡と全体の利益を最大化したパレート最適の状況が一致せず、矛盾している状況を意味しているのです。

ゲーム理論はマーケティングでどのように活かされるの?

ビジネスの場面でのゲーム理論は、先ほどの囚人ジレンマのようなパレート最適とナッシュ均衡の矛盾から、ポーカーや宝くじといった親の利益が存在するようなギャンブルまで様々な種類があります。
ですが、どのビジネスにおいてもゲーム理論の上では、自分の行動が他の人に影響を与え、他のプレイヤーを気にすることで自分の行動も変わる状態が付き物です。

実際には、企業経営の中での意思決定やビジネスの交渉戦略を考える際に、ゲーム理論が活用されるケースが多々あります。
そして、それ以外にも社会生活や人間関係、市場経済にもゲーム理論を必要とする場面が存在します。
ですので、企業としてはゲーム理論の専門家などに企業戦略の策定から交渉をしてもらうことが多いそうです。

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実際にあるゲーム理論の活用例を紹介!

ここから、ゲーム理論を取り入れた実例を紹介していきます。

①大手携帯電話会社の例

 ここでは、大手携帯電話各社が提供しているサービスの料金体系が同金額な理由をゲーム理論と交えて考えて見ましょう。
国内の大手携帯会社と言えば、SoftBank、au、docomoが挙げられます。
この3社とも携帯料金の月額料金が8,000円だと考えましょう。こういった状況の際に、auが月額料金を7,000円に引き下げたとします。

すると、SoftBankもdocomoの利用者が料金の安いauに乗り換えるのは明白だと思います。
その結果、auが市場を独占する状態になる可能性があります。その状況を、考えた(ゲーム理論:自分の利益を最大化するために、相手の行動に応じて、自らの行動が変更すること)SoftBankもdocomoも月額料金を7,000円に下げます。
こうして、自社の利用者が他社へ乗り換えることを防ぎます。

ですが、1社が市場を独占したいが為に、価格を下げていくと携帯会社が得る一人あたりの利益がどんどん下がって行く状況になります。
企業側としても利益が下がることも避けたいために、他社の行動を考え、合理的に考えた結果どの他社も携帯料金を下げることをしなくなるのです。

②プラスチック製のゴミ問題の例

 近年、世界的にも注目されているプラスチックのゴミ問題も、先ほど紹介した囚人ジレンマの例を元に、考えることができます。
そもそも、プラスチックは便利で快適な生活をする上で欠かせない物ですが、環境問題を考えると脱プラスチックにする必要があります。
実際のところ、脱プラスチック化に向けた取り組みには多大なコストがかかり、企業は脱プラスチック化に向けた行動として値上げをせざるをえず、顧客を失うリスクがあるのです。
こういった状況も、ゲーム理論で考えると相反する行動を取るケースがあるのです。

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まとめ

いかがだったでしょうか。
ゲーム理論は、ビジネスをする上では欠かせない行動プロセスの一つです。
また、日常生活においても、あらゆる社会現象や経済現象の中で自然と適切な行動の選択を取っているはずです。

※参考記事:
https://www.macromill.com/research-words/game-theory.html
https://diamond.jp/articles/-/175827?page=2
https://orenocloud.tokyo/cloudinfo/useful/GameTheory.html

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ノンデザイナーにこそ知って欲しいデザイン思考とは

「デザイン思考」「デザインシンキング(Design Thinking)」
ビジネスの場において、最近このような言葉を耳にする機会が増えたかたも多いのではないでしょうか。

デザイナーによる、デザイナーのためにあるようにも見えるこの「デザイン思考」という言葉ですが、実はあらゆる世界で応用されている考え方なのです。
Appleや日立、富士フィルムなど、世界的な企業でも採用されています。
今回は、そんなデザイン思考が一体どのようなものなのか、どのように実行するべきなのかを解説していきます。

デザイン思考とは

デザイン思考とは、問題や課題に対しデザイン的な考え方と手法で解決策を見出す方法やプロセスのこと。
ユーザーにフォーカスして考え進めることを最大の特徴としています。
問題を解決に導くために用いられるマインドセット(考え方)のひとつで、行動しながら考え、より良い結果を追い求める方法です。
この言葉は、アメリカのスタンフォード大学と、世界的に有名なデザインコンサルタント会社のIDEOが広めたと言われており、具体的な特徴としては

  • ・ユーザーを起点に考える
  • ・対話・コミュニケーションを重視する
  • ・繰り返し試す

といった3点があげられます。
「デザイン思考」では、「本当の問題は何か」「仮説は本当に正しいのか」「この現象が意味するものは何か」…というように、いくつもの自問自答をしながら、問題解決に挑戦していきます。

アート思考との違い

デザイン思考と同じような意味で用いられがちなのが、「アート思考」。
この「アート思考」は、アーティストの自己や価値観の表現を基にした考え方で、自分起点の考えかたを重視しています。
ビジネスにおいては、当人に達成したい強い意思のある目標設定や、オリジナリティあるアイデア、コンセプトの発想に向いている考え方です。

一方の「デザイン思考」は、先述した通り顧客の持つ課題の解決を目指す考え方であり、ユーザー起点で考えることが重要です。
端的にいうと、「アート思考」は自分を起点にした考え方であり、「デザイン思考」は顧客を起点とした考え方である、ということです。

システム思考との関係性

デザイン思考と切っても切り離せない関係にあるのが、「システム思考」という考え方。
この「システム思考」とは、一般的に俯瞰的にものを見ることであると解釈されています。
実はこれも、デザイン思考と同様に問題を解決に導くためのマインドセットのひとつ。
解決すべき対象や問題を「システム」として捉え、その全体像をさまざまな要素のつながりとして理解し、原因を探ります。そうして本質的な原因を見通し、問題解決を目指すのです。

デザイン思考は人間中心的な問題解決のアプローチ方法であるのに対してシステム思考は分析的な問題解決のアプローチ方法です。
対極であるようにも捉えられるこのふたつの思考法。ただし、問題解決というゴールに向かうための手段であることは共通しています。
デザイン思考の5段階(後述)を用いて具体的なゴールを定義した上で、その明確になった目標に向かいシステム思考で問題解決をはかる…など、両者を組み合わせてアプローチする手法も考えられます。

デザイン思考のプロセス

さて、ここまでデザイン思考の概要について解説してきましたが、具体的にはどのようなプロセスをたどるのでしょうか。
もちろん一言で「デザイン思考」といっても実際には定義が広く、今日使われている「デザイン思考」という言葉は人によっても多少の差異があります。
しかし、派生した考え方であっても、デザイン思考の根本的な考え方は変わりません。

ここでは、先述したようにデザイン思考を世に広めたとされているハーバード大学のデザイン研究所(The Harvard Graduate School of Design)に所属するハッソ・プラットナー教授が提唱した、『デザイン思考の5段階』というモデルをご紹介します。

それが、こちら。

「共感 (Empathize)」「定義 (Define)」「概念化 (Ideate)」「試作 (Prototype)」「テスト (Test)」

これを簡単に説明すると「まずは試しに実行してみて、PCDAを回していく」ことであるといえますが、ここではそれぞれの段階を詳しく見ていくことにしましょう。

1.共感 (Empathize)

ユーザーの目線に立ちながら物事を考え、その行動を理解し、心理に寄り添って共感することで、彼らが抱える問題やニーズを見つけることができます。
具体的な施策としては、製品をユーザーに使ってもらうユーザーテストや、仮説検証型のユーザーインタビューなどが挙げられます。
また、対象を狭い範囲に絞ったインタビューやテストの実施も推奨されます。
なお、テストやインタビューの際には、事前に決めた調査項目だけにとらわれず、インタビューや観察のなかで登場したキーワードや疑問点を掘り下げていくことも大切です。

2.定義 (Define)

ここでは、「共感(Empathize)」のプロセスで見つかったニーズや問題をさらに掘り下げ、潜在的な不満や課題を明確に定義します。
ユーザーの声をそのままの意味で受け取るのではなく、その内容から根本的な不満や課題を見つけ出し、定義していくことが重要です。

3.概念化 (Ideate)

この「概念化(Ideate)」はしばしば「創造」とも訳されます。
ユーザーの抱える課題へアプローチできるアイデアを多角的に考えていく段階です。
アイデア出しの際には実現の可能性や固定概念にとらわれず、自由に意見交換を行いましょう。集まったアイデアをまとめるのには、マインドマップという手法もおすすめです。
ある程度のアイデアが出揃ったら、「定義(Define)」で確定した課題を見直しながら、その選定を行います。

4.試作 (Prototype)

アイデアがまとまったら、次に「試作(Prototype)」を行います。これはプロトタイプ(試作品や原型)を作成する段階です。
具現化されたプロトタイプがあれば、チームメンバー内でイメージの共有ができ、認識のズレをすり合わせることができます。
また、試作をもとに、機能性や実現性についての話し合いを行うこともできます。
そして何より、具現化したアイデアが定義された問題の解決につながるのかどうか、試行錯誤を繰り返しながら検証することが大切です。
なお、プロトタイプは、はじめに紙で簡単な製品を作る、デザインのみを模型として作るなど、段階にそって進めていきます。

5.検証 (Test)

最後のプロセスは「検証(Test)」です。実際のユーザーに試作品を利用してもらい、フィードバックをもらったり、使用中の様子を観察したりします。そして、その情報を基に、課題解決や目的達成がなされているかを検証します。
もしも検証結果で新たな課題が発見できた場合は、再び前の段階に戻り、試行錯誤を繰り返します。

ここで重要なことは、これらの5段階のサイクルを何度も繰り返すこと。
1度で完成品を作り上げるのではなく、あくまで試作品の段階のものを用いて何度も何度も繰り返すことで最適解を得ることを目指すことが大切です。

まとめ

現代において多くの人々が可能性を見出しているデザイン思考。
プロジェクトに取り入れるのにはハードルが高いかもしれませんが、「まずは試しに実行してみて、PCDAを回していく」という考え方は日常生活にも応用することができます。
まずは身近なところから試してみてはいかがでしょうか。

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ユーザーと物語を作る。ナラティブマーケティングとは?

ナラティブとは?

ナラティブの意味

ナラティブ(narrative)とは、直訳すると「物語」を意味します。
ただし、物語といっても、いわゆる起承転結があるストーリーとは少し異なった意味を持っています。
両方とも「物語」という意味は含んでいますが、

  • ・どちらが「主人公」か
  • ・「終わり」があるかないか

によって、ストーリーか、ナラティブかを分類することができます。
ストーリーの場合、当然登場する人物やキャラクターが主人公になりますし、始まりと中間部、終わりなどといった決められた区切りがありますよね。
一方ナラティブの場合、主人公はユーザー自身なのです。従って、ユーザーの行動次第で物語は変化し、決まった終わりは存在しません。ナラティブは、一人ひとりが主体となって語ることで生み出されるものだと言えるでしょう。

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ナラティブ・アプローチとは?

それでは、ナラティブを用いたアプローチとはどういったものなのでしょうか?
ナラティブは先述した通り、一人ひとりが主体となり「語る」ことで生み出されるものです。つまり、言い換えると「あなたの常識が作り上げる物語」なのです。「物語」は、同じ人種であっても立場や育った環境、職業などによって異なるものですよね。そういった一人ひとりがもつ物語の「語り」を促して、より良い方向へ向かせる手法がナラティブ・アプローチです。

ちなみに、このアプローチを使ったコミュニケーション法を「ナラティブコミュニケーション」と呼び、相手を変えるのではなく、自身の物語を相手と共に変えていきながら会話を進めるため、衝突機会を減らすことができます。そのため、会社組織の上下関係構築においては、非常に重要な役割を果たしています。

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ナラティブマーケティング

ナラティブマーケティングとは?

ユーザーそれぞれがもつ物語の「語り」を促し、それに対して適切なアプローチを図るのがナラティブマーケティングです。
一般的に、企業はユーザーよりも自分が売りたい商品・サービスに対しての情報を豊富に持っています。しかし一方で、ユーザーの声を聴き、新たな商品を開発するとなった場合は、ユーザーよりも明らかに情報が少ない立場になってしまいます。

ナラティブマーケティングにおいては、ユーザー自らの「語り」を見聞きし、それにフィットするようなコミュニケーションを取ったり、商品・サービス開発することが可能になります。そして、ユーザーがその商品と共に、新たな「物語」を展開することができるようになれば、ナラティブマーケティングが上手く機能していると言えるでしょう。

これまでのマーケティングと異なる点

ナラティブマーケティングは、「物語」という点で「ストーリーマーケティング」と比較される場合が多いです。
ストーリーマーケティングでは、企業は創業者や商品・サービスについてのストーリーをユーザーに読ませることで、ブランドに付加価値を付け売上をあげることを目的としています。従って、コミュニケーションは企業からユーザーへの一方通行になりがちです。

対して、ナラティブマーケティングは、それぞれの「語り」を対象にしています。
企業だけが語れる物語もあれば、個人だけが語れる物語もある。ユーザーそれぞれを主人公として、ユーザ自身ではなく、ユーザーの語る物語に対して適切にアプローチします。

活用事例

SUBARUのテレビCM「Your story with」

https://www.subaru.jp/yourstorywith/

このCMのキャッチコピーは「あなたとクルマの物語」です。ユーザーが主体的な考えを促すような「あなたとクルマ、どんな物語がありますか?」というナレーションからスタートします。

そして、様々な年代、家そして、庭状況を鮮明に描き、車と絡めた結末で締めくくる。思わず自分が初めて買った車の思い出を振り返ってしまうような、「ユーザーだけが持つ物語の語り」を促す細かい仕掛けがたくさん施されています。

SUBARUの企業理念や創業物語などが出てくるようなストーリマーケティングとは異なり、限りなくユーザーに近い人物が主人公として設定することで、ユーザーは主人公に自分を投影しながら見ることができます。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?
ナラティブマーケティングは、「未来は自分自身で決められる」ということをユーザーに理解させることから始まります。
最終的なゴールとしては「自社を選んでもらう」ことですが、それを判断するのはあくまでユーザーであり、ユーザー自身がその選択をした後の「物語」を歩んでくことが大切になります。
ナラティブマーケティングは、そういったユーザーとの新しいコミュニケーションとして今後重要視されていくのではないのでしょうか。

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KPI・KGI・KSFとは?考え方から運用方法まで徹底解説

KPI・KGI・KSFという単語はご存知でしょうか?聞いたことはあるけど分からない。具体的にどう運用していけばいいかわからない。そんな方に単語の意味から運用方法までご解説いたします!

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KPI・KGI・KSFを解説

KPIとは

KPI(Key Performance Indicator)の頭文字を取った言葉で、 日本語では「重要業績評価指標」と訳されています。企業の各部署(営業、マーケティング、人事、経営など)がその評価指標を目指して行動する事を意味します。

KGIとは

KGI(Key Goal Indicator)の頭文字を取った言葉で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されています。最終目標(Goal)を意味するため、KPIよりも上位の位置づけでビジネスの方向を決める大切な指標です。

KSFとは

KSF(Key Success Factor)の頭文字を取った言葉で、日本語では「重要成功要因」と訳されています。KGIを達成するための要因を内部と外部から分析することで、成功に向かうための評価を可能としています。

KPIで管理するとどんな効果があるのか

①最終目標までの業務が明確に

KPIで管理すると最終的な目標(Goal)までの業務内容が明確になるため、今行っていることの意味が明確になります。目標を明確にすることは社員の業務への疑問や不満、やる気の管理のために重要です。また最終目標が見えると視点が変わり新しい成果への発想が生まれやすくなることも利点です。

②行動の意味が分かる

KPIがあるとメンバー全員になんのために行っている業務なのかを把握させる事が出来ます。業務の意味が分かると道を最適化する為に工夫することも可能となっていきます。目指すもの、なりたい姿、なるべき状態を明確にしていることが成長するためには重要です。

③PDCAが回しやすくなる

KPIを設定することで、目標に対してのPDCAを回しやすくなります。PDCAはPlan,Do,Check,Actionの頭文字を取ったもので、計画を立て実行し評価を行い次に向けて改善する一連の流れを表します。目標があればPDCAを回しやすくなり早く成果に繋げることが出来ます。

活用方法と各所の注意点

①KGIを明確化しよう!

ゴールを明確にして組織全員で目指すものを統一化させましょう。

前述でも記載した通り、何のために行うのかが無いと行動するための方向が定まらない事になります。

・KGI:半年間で携帯端末の売り上げを1憶円を目指す。

注意点

曖昧な内容は避けましょう。

例えば、「売り上げを伸ばす」よりも「2年間で売り上げを3憶円伸ばす」というゴールの方が明確で進むべき経路を作りやすくなります。

ですがあくまでゴールですので中長期的に目指すべきボリュームのある指標に設定しましょう。

②KSFを落とし込もう!

KGIの次はKSFを落とし込みましょう。成功するために必要な要素を落とし込む事で達成するための要因をもとに行動に起す事が出来ます。成功要因は事業の特性から考えて落とし込む方法が使用されます。

・KGI:半年間で携帯端末の売り上げを1憶円を目指す。

・KSF:古い端末を使ってるユーザーを中心に営業を掛ける

注意点

成功に向かう為の指標なので、要素を分析しきる事が重要です。何が必要なのか、どうすることで成功に近づくのか、何が弊害となるのか。 分析が重要なので5W1Hに合わせて分析していきましょう。

③KPIを設定して運用開始!

KGIとKSFを設定したらそれに合わせてKPIを設定していきます。具体的で達成できる数値感や目標に設定する事が重要です。ですが、行動に移していく事が重要な為、KPIを設定したらすぐに運用開始していきましょう。

・KGI:半年間で携帯端末の売り上げを1憶円を目指す。

・KSF:古い端末を使ってるユーザーを中心に営業を掛ける

・KPI:各店舗1カ月での売り上げを500万に設定。1人当たり50万。

注意点

ゴールとの乖離は起こさないようにKPIを設定しましょう。何の為に行動しているのかが不明確になってしまう為、KGIに沿ったKPIを設定しましょう。

④結果に合わせて各項目の設定を見直そう

KPIの評価を都度見直しKGIに向けて目標値を設定し続けていきます。細かいペースで見直しを行いPDCAのサイクルを回していきましょう。

・KGI:半年間で携帯端末の売り上げを1憶円を目指す。

・KSF:古い端末を使ってるユーザーを中心に営業を掛ける

・KPI:各店舗1カ月での売り上げを500万に設定。1人当たり50万。

・見直し:1カ月目は1人当たり40万の売り上げ。差分が1店舗100万発生。来月度から目標を下方修正すると共に、店舗来店を狙ったネット広告での集客を開始。

注意点

結果の見直し期間を広げすぎてしまうとKGIに向けた施策が行えなくなる為、月一などコンスタントに行っていきましょう。

知っているとお得~OKR~

OKR(Objectives and Key Results)の頭文字を取った言葉で、日本語では「会社全体の目標と主要な成果」と訳されています。まず会社全体の目標を設定してそれに合わせて部署や個人の目標と成果成果までを設定するものです。個人の成果に対する行動まで設定するためKPIより成果への行動に直結させられます。ですが、OKRは企業規模が大きくなるほど、1人1人の管理が難しくなっていきます。なので、KPI管理と比較してどちらが良いかは、企業規模に応じて検討していくことを推奨します。

まとめ

今後の方針を決めることは、ビジネスのどのフェーズにおいても重要です。なので、KPI,KGI,KSFで管理して目標に向けての行動の最大化を行いましょう。今後も新しい手法は増えていくと思います。都度知識を更新して目標管理に生かしていきましょう。

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SWOT分析から考える戦略設計|3つのステップ

企業がビジネスで成功するための戦略立案方法の1つに、SWOT分析があります。「聞いたことがある」といった方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、SWOT分析の概要やメリット・デメリット、実際の分析における手順をご紹介したいと思います。

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SWOT分析とは

SWOT分析とは、自社の内部環境とそれを取り巻く外部環境を正しく分析し、経営戦略を導き出す分析方法です。
自社の内部環境に当たるのが、Strength(強み)、Weakness(弱み)。
外部環境に当たるのが、Opportunity(機会)、Threat(脅威) になり、これら4つの頭文字をとって、SWOT分析と呼ばれます。

例えば、とあるカフェでSWOT分析を行った場合は以下のようになります。

▼Strength(強み)
・コーヒーが人気
・デザートが人気
・駅前の角地で立地が良い

▼Weakness(弱み)
・フードメニューが不調
・ランチメニューが美味しくないと言われる
・リピーターが少ない

▼Opportunity(機会)
・近くに新しく駅ができ、来客が見込める
・若年層の間でデザートブームが起っている
・大学生のアルバイト募集数が増えてきている

▼Threat(脅威)
・近辺にカフェが増えてきた
・新型ウイルスの影響で営業時間が短縮/休業になった
・消費税が上がった

メリットとデメリット

メリット

SWOT分析のメリットは、自社の状況を客観的に捉えることができる点です。また、内部環境だけでなく外部環境も含めた分析であることから、広い視野をもった戦略立案が可能になるのも大きなメリットと言えるでしょう。

機会(Opportunity)として挙げられる項目が多いのであれば、そこにフォーカスしたマーケティング活動を行うことで実績を得ることができます。また、弱み(Weakness)が分かったのであれば、脅威(Threat)になる点と合わせて改善することも可能でしょう。

SWOT分析において大切なのは、SWOTそれぞれを連動させて考えることです。

例えば、自社の強み(Strength)を生かして、外部の機会(Opportunity)にどう参入することができるか。外部の脅威(Threat)に対して、内部の強み(Strength)でどう乗り切るか。など、全ての要素を掛け合わせて戦略を立案することが可能になります。

デメリット

SWOT分析では、物事を二極化して考えます。

例えば、内部環境である強みと弱み。この2つの分類は、状況によっては強みだったものが弱みになったり、弱みだったものが強みになったりします。しかし、SWOT分析ではそれらも二極化して分類してしまいます。

例えば、「商品単価が低い」という弱みは、別の角度から見ると「ライバル企業よりも安く商品を提供できている」という強みとも言えるでしょう。さらに言うと薄利多売が可能であるため、企業にとっては大きな武器となる可能性もあります。

これらの現象を回避し、SWOT分析の精度を上げるためには強みと弱みに対する定義づけが必要になります。

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SWOT分析3つのステップ

ここでは、自社の状況を正確に認識し、実現可能性の高い戦略を練るためのSWOT分析3つのステップについて解説していきます。

Step1.SWOT分析の主語を明確化させる

企業規模が大きければ大きいほど、商品の種類が多ければ多いほど、SWOT分析の主語を明確化する必要があります。なぜなら、商品ごとによって外部環境は大きく変動するからです。1つの会社が洗濯機を出す時と、ゲーム機を出す時とで、SWOT分析の対象は商品単位でやるべきです。そうすることで、より精度が高く実現性も高い戦略を立案することができるでしょう。

要は、カフェという「お店」の総合的な分析ではなく、コーヒーやフードといった商品「個別」の分析をしましょうということです。

Step2.外部環境を洗い出す

まずは、外部環境である機会(Opportunity)と、脅威(Threat) を洗い出しましょう。

先に内部環境の強み(Strength)と弱み(Weakness)を考えてしまっても、外部環境によっていくらでも変動してしまう可能性があるからです。
この時に大切なのが、外部環境の知識を要するメンバーで話し合うこと。場合によっては専門家の話を聞いたり、新しく市場の調査をする必要があります。
また、自社・顧客・ライバルの三角関係で考察することで、広い視野での分析が可能になります。

例えば、新メニューで「オーガニックにこだわったサラダを出したい」と考えた場合、機会(Opportunity)として「日本人の健康意識の拡大」、脅威(Threat)としてオーガニックにこだわったフードを展開する周辺の飲食店が挙げられますよね。

Step3.内部環境の強みを洗い出す。

次に、外部環境を前提に内部環境である強み(Strength)を洗い出します。

ここでは弱みを考えずに、強みだけにフォーカスして意見を出し合います。「具体的な強みが見つからない」と簡単に諦めず、まずは自社が提供しているものは何かということから考え始めることで自ずと見えてくることでしょう。

前述したように「オーガニックにこだわったサラダを出したい」と考えた場合、
・機会(Opportunity)=「日本人の健康意識の拡大」
・脅威(Threat)=「オーガニックにこだわったフードを展開する周辺の飲食店」
となり、この2つの外部環境から言えることは、市場にニーズはあるが自分のお店周辺の飲食店にお客さんが取られているということ。
この前提で、内部環境の強みを見つけ出すのです。

それでは、「オーガニックにこだわったサラダ」を好んで食べる人はどんな人でしょうか?
仮にそれを「健康意識が高い20代〜40代の女性」だとしましょう。
その女性たちはどうやって「オーガニックにこだわったサラダ」を提供しているお店を探すでしょうか?きっと大半の人は、SNSやウェブでお店を検索し、レビューや口コミをみたりしますよね。

その時に、
・A店:ほとんどが良い口コミ+評価が5.0点
・B店:半分が悪い口コミ+評価が3.3点
・C点:ほとんどが悪い口コミ+評価が1.0点
と検索結果に出た場合、どのお店に行きますか?

自分のお店がA店、周辺のお店がB店・C店だとしたら、口コミの良さと評価の高さは、他のお店にない強みになりますよね。きっと既に「オーガニックにこだわったフード」を出しているB店・C店にも退けを取らない結果になると予想できます。

弱み(Weakness)は戦略にどう絡んでくる?

一般的に、弱みは改善対象だと言われています。したがって、企業を前進させるような戦略立案の際には考えず、企業を後退させないための改善策立案時に用いられるケースが多いです。

もちろん、弱みを出すことは自社をより客観視することに繋がるので、定期的に洗い出す必要があります。洗い出す方法としては、強みと同じで、ライバル企業に備わっていて、自社にないものを考えることから始めると良いでしょう。
端的に言うと、ライバル店の強みが自分のお店の弱みになります。

例えば、B店には有名な料理人がランチメニューを作っている一方、自分のお店であるA店はアルバイトの大学生が作っている場合などがそれに当たります。
しかし、アルバイトを使っている理由として「誰が作っても一定の味を再現できるように料理をマニュアル化し、コストを抑えて他の部分にお金を使っている」といった場合は、見方を変えれば強みでもありますよね。こういったどっちつかずの状態をなくすためには、前述した通り事前に強みと弱みに対する定義づけが必要になります。

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まとめ

自社は一体どんな状況なのか、それを取り巻く環境はどうなっているのか。

それを把握した上で、どのような最適な戦略を立案するのか。
SWOT分析は戦略立案に用いられる基礎的なフレームワークですが、手順を誤ると正確な分析はできません。まずは手順を正確に理解し、メリットとデメリットを把握した上で、分析の主語を明確化させることから始めましょう。

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「ペルソナ」がマーケティングを変える!ペルソナの効果的な活用方法

「ペルソナ設定が重要」「ペルソナを明確に」…。

マーケティング業界を中心に、近年はSNS運用などの場面でも使われる機会の増えた「ペルソナ」ですが、一体何を指しているのでしょう?
今回はそんな「ペルソナ」の意味や活用方法について書いていきます。

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ペルソナとは 

そもそも「ペルソナ」(persona)とはラテン語で「人格」や「位格」をあらわす言葉で、古典演劇では「仮面」という意味もあらわしていました。

そこからコンピュータのソフトウェア開発現場において、そのソフトウェアを利用するユーザー像を明確にする、という意味が生まれ、そしてそのサービスや商品の典型的かつ象徴的なユーザー像のそのものを指す言葉としても使われるようになりました。

そしてそのひとりの架空の人物を想定し、実際にその人物が存在しているかのように年齢や性別、価値観、ライフスタイル、氏名までもを詳細に設定していくことを「ペルソナ設定」と呼びます。

似たような言葉として「ターゲット」があげられますが、こちらは年齢や性別などで分類した、幅のあるユーザー層です。

商品やサービスの対象について考えるという点ではペルソナもターゲットも同じですが、ペルソナは一人のユーザー像を、ターゲットは複数人のユーザー層を設定するものであり、人物像の設定をどれだけ深くするのかという点で違いが生まれます。

ペルソナを設定するメリットと注意点

ペルソナを設定するメリット

・担当者間やチーム間での共通認識を持つことができる

年齢や性別、収入が同じでも、価値観やライフスタイルは様々です。
数字であらわすことのできない定性的な部分まで設定したペルソナを作成することで、関係者間において共通した人物像を思い描くことができるようになります。

・方針が立てやすくなり、コストの削減ができる

詳細な項目まで設定されたペルソナがあると、そのひとりの人物にむけた製品を考えることができるようになります。あえて対象を絞り込むことで、実際には似たような層に属する他のユーザーのニーズも満たした最適な選択を行いやすくなる上、対象が明確であることから工数やコストの削減にも繋がります。

いまや当たり前の商品となったカルビーの「Jagabee(じゃがビー)」
実はこれも、ペルソナマーケティングを取り入れた成功事例なのです。
https://xtech.nikkei.com/it/article/JIREI/20070914/282071/

ペルソナを設定・活用する上の注意点

ペルソナを設定することには多くのメリットがありますが、その効果を最大限に発揮するためには注意すべきポイントもあります。

・実際のデータ収集を行うこと

正確かつ納得感のあるペルソナ設定には、実際のデータ収集が不可欠です。SNSでの検索やインタビューを通して、ターゲットとしたい層の情報を収集しましょう。

・客観的な設定を行うこと

自社に都合の良い設定ばかりを盛り込むと、サービス設計や商品開発を行う際に実際のターゲット像からかけ離れてしまうこともあります。担当者の追い込みや恣意的な意図を排除した、客観的な分析・設定を行いましょう。

・定期的に更新すること

ユーザーの行動は、時代や環境によって常に移り変わるものです。一旦設定したペルソナであっても、定期的に見直すことで実際のニーズを反映することができ、効果の発揮につながります。

ペルソナの作成手順

ペルソナの作成手順には、大きく分けて3つの作業があります。

1.データ収集

まずは、ターゲットとしたい層のデータ収集を行います。

割合など、具体的な数値であらわすことのできる定量データの収集には既存のデータを活用したり、アクセス解析を行ったりします。
考え方や価値観のような数値で表すことのできない定性データの収集には、SNSでの検索やアンケート調査も有効な手段です。収集するデータは最低50件、より高い精度を求めるのであれば400件程度を目安とするのが良いとされています。  

2.情報の整理

①基本情報

年齢・性別・居住地

②職業

学歴・職歴・現在の役職

③人間関係

友人関係・家族構成

④ライフスタイル

起床時間・就寝時間・休日の過ごし方・趣味

⑤性格

価値観・目標・物の考え方

⑥金銭感覚

収入・貯蓄性向・お金の使い道

⑦インターネットの利用状況

所持しているデバイス・利用時間

上記は、ペルソナ設定項目の一例です。

このような項目に沿って、収集したデータを分類していきましょう。

3.組み立て

収集し、分類した情報をもとにペルソナを組み立てていきます。箇条書きでも構いませんが、エピソードも盛り込んだストーリー仕立ての文章にするのも説得力を高めるのにおすすめです。

まとめ

漠然とした「ユーザー像」を具体化し、ニーズの理解につなげる「ペルソナ」。
また、ここで設定したペルソナの行動や心理を全体的に俯瞰し、理解しやすくするためのツールとして「カスタマージャーニーマップ」があります。これらの設定や作成には手間がかかるものの、正しく活用すれば戦略をすすめる上で大きな助けとなります。実際にこれを設定することで、今まで見えなかった事実が見えてくるかもしれません。
ユーザーへの理解を深め、マーケティングをより効果的に行っていくために、ペルソナ の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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これでわかる!USP|間違えやすいポイントと作り方を解説

USP(Unique Selling Proposition)とは?

USPとは、顧客から見た自社独自の「売り・強み」という意味で知られる、マーケティングにおいての差別化戦略の土台を支える考え方の一つです。

—-

Uninque……..独特な、唯一の

Selling……….販売手段

Proposition….提案、計画

—-

あなたの会社や商品が、競合相手より一歩上に行くためには、USPとは何かを正しく理解して、それに連動した適切なマーケティング戦略を実行することが大切になります。

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間違いやすいコンセプトとUSPの違いとは?

コンセプトとUSPの大きな違いは「どちらの目線に立っているか」です。

コンセプトは、自社として何を打ち出したいかを見つけるもの
USPは、顧客にとっての自社の独自性を見つけるもの

例えばあなたがバーのオーナーだとすると、以下のことがコンセプトと言えます。
『おいしいお酒と、ひとときのやすらぎを与える空間を提供するお店』

これだけを見たときに、お客さんは自分のお店に強く惹かれるでしょうか?

そこで、顧客から見た「自社独自の売り」とは何か?を明確にするUSPの出番です。
世界中のお酒ワンコインテイスティングできる、あなただけの個室BAR
というのを見かけたら、気になってきませんか?

これがまさに差別化におけるUSPの効力であり、独自性が強ければ強いほど良い結果が生まれます。

なぜ重要なのか?

USPを考えることで、企業はどのように変化するのでしょうか?

①セールスのリソースを削減できる

USPを意識し、独自性の高い訴求ポイントを伝えることができるようになると、商品の魅力が伝わり、商品を買う理由ができる。だからセールスをしなくてもモノは売れるようになります。ユーザーの心理に沿った、秀逸なUSPはセールスを不要にする力を持っているんです。

②記憶に残りやすく、ブランド性を確立できる

独自性を強化することはブランド性の確立にも繋がり、「○○といえば、あの会社!」と覚えてもらうことができます。結果的に、顧客が自社を連想する機会が増えるので、リピートにも繋がります。

口コミで拡散され、認知度の拡大に繋がる

独自性の高いUSPは人々の心を動かすことができます。

そうすると、「買って得したもの、良いものを周りの人に知ってほしい」という人間の心理に働きかけることができ、自然発生的に情報が拡散されるようになります。

したがって、SNSで情報収拾を日常的に行う現代では、口コミ効果の重要性は高まってきているといえるでしょう。

実例から見るUSPの作り方と抑えておきたいポイント

USP訴求が成功した事例

①ライザップ

パーソナルトレーニングジム業界においては、
・短期間で大きく痩せることができる
・優秀なトレーナーやアドバイザーがいる
・完全オーダーメイドのプログラムがある
・無理な食事制限は一切ない
・全額返金保証がある
という訴求が当たり前になり、コモディティ化(※)が起きていました。

悪くいうと、この特徴やメリットだけの販売提案は簡単に真似することができるのです。

※コモディティ化:市場に流通している商品・サービスが個性を失い、消費者にとってはどこの企業の商品・サービスを購入しても大差のない状態のこと。

そうなると結果的に、顧客は価格で選ぶしかなくなるわけです。
しかし、ライザップの価格は普通のパーソナル・トレーニングジムに比べると高めの料金設定になっているのですが、集客に成功しています。
これは「結果にコミットする」という独自の販売提案があったからです。
この部分はどれだけサイトを見ようが真似することはできません。

このように、顧客のニーズに沿った独自性の高いUSPがあれば、人は自然と集まってきます。そこでしか受けられない商品・サービスがあるからです。

参考:https://nakaeshogo.com/usp/

②ダイソン

“吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機”

Unique(独自性)…..「吸引力が変わらない」
吸引力の強さばかりを訴求していた業界に対して、吸引力が「変わらない」と独自の販売提案をとったダイソン。高価格で圧倒的に支持される理由には、こうした明確なUSPの表現が顧客に伝わったからでしょう。

③アップル

“ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを”

Unique(独自性)…..「ポケットに1,000曲」
「小型」などの単語を使わず、「ポケット」という言葉から連想される大きさで独自性を強調しています。
このように表現に工夫を施すことも大切です。

独自性のあるUSPを作る3つのステップ

1.対象者を特定する

消費者のニーズや要望は多種多様です。

万人受けするUSPを考えるのはそう簡単なことではありません。しかし、ニッチな市場や特定のセグメント(※)の顧客にアピールする場合はメッセージが伝わりやすく、効果が期待できます。

※セグメント:マーケットの中で、同じ価値観や、購買傾向、製品に対する認識など、購買に至る行動が似通っている集団に分けること。

2.ベネフィット

その商品・サービスを手に入れることで得られるメリットを明確にします。

ライザップの場合は、痩せさえすればいいだけのパーソナルジムだけでは不満、ダイソンの場合は、いくら吸引力が強くても長続きしないから嫌という不満が消費にあることに目をつけて、USPを作成しています。

3.独自性

ライバルとの違いを明確にします。

他社の製品ではなくあなたの製品を買う理由を考え、なければ新たに作ります。また、自社の製品を買って満足した顧客が、どんな言葉を使って友人に勧めたいかを考えるのもいいでしょう。

まとめ

USPは言うなれば、あなたのビジネスのアイデンティティーとも言えるものです。
上記で紹介した例でも、どれも強い個性やメッセージ性があることを感じられるでしょう。

USPを決めることに足踏みする必要はありません。ビジネスを進めながら、じっくりと磨きをかけていけばよいのです。他社に真似することができない、自社独自の提供価値は何なのか?その答えが見えれば、成功に一歩近づいたと言えるのではないでしょうか。