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顧客ニーズの先にある”なるほど”を作るマーケティングとは

毎週水曜日にYouTubeにて放映している「カイコクアカデミー」のインタビュー記事第二弾です!

今回は世界最大のアクセラレーター/VCであるPlug and Playの日本支社のPlug and Play Japan株式会社でマーケティング/PRを統括されている藤本あゆみさんのインタビュー記事となります。

実はマーケティングは必要ないと言われていた!

ご自身のキャリアとPlug and Playについて教えて下さい。

もともとは営業としてキャリアを積んでいたのですが、そこで培った経験をもとに、現在はPlug and Play Japan株式会社のマーケティング・PR責任者(CMO)として働いています。他にも一般社団法人atWillWorkの代表理事、マーケターキャリア協会の理事としても活動しています。

Plug and Play はシリコンバレーに本社があるベンチャーキャピタルで、主に2つのことを行っている会社です。1つ目はベンチャーキャピタルとしてスタートアップに投資すること、2つ目は大企業と連携してアクセラレータープログラムという支援プログラムを行うことですね。

ベンチャーキャピタルの中でのマーケティングというのは新鮮ですね。

はい、老舗のベンチャーキャピタルなので、当初は「マーケティングの必要はありません」と言われていました(笑)。

ただ、日本でアクセラレータープログラムという支援プログラムを開始していくにあたり、スタートアップであれ、大企業であれ知ってもらう機会が必要だよね、という話になりました。また、デモデーという成果発表会も年に2回(シリコンバレーでは年に4回)行っていて、そういった次のきっかけに繋がる素晴らしい場面をマーケターが作っていかなければいけない、ということで会社としてマーケティングも行うようになりました。

そこで藤本さんはどのようなお仕事をしているのですか?

Plug and Playは約4年前に日本法人を作ったのですが、ゼロからの立ち上げなので、基本的に会社に関わる全般の業務をしています。

どのくらいか全般かと言うと、名刺のデータを作るところからなんです(笑)。

マーケティングという定義は人によって違うと思うのですが、「何をすべきか」の定義づけから始めて、Plug and Playは日本においてどういう存在になるのか、ひいては日本から世界にどういう存在としてアピールしていくのかを決めて、それに関して必要なことを全部やっていくという感じですね。

先程の年に2回実施しているデモデーの会場のバックパネルとかも実は作ってました。

それも含めて、スタートアップ企業や大企業がいた時に「どんな発信になるのか」「どういう存在になるのか」を全部決めて作るのが今の仕事ですね。

ミッションを念頭においたマーケティング

シリコンバレーと日本で、マーケティングにおいて違う点はありますか?

まず、大きく違うのは知名度です。シリコンバレーでは会社を興して投資を受けようというときに起業家の頭に初めの方にPlug and Playが第一想起される存在ですが、日本では全然そうじゃない。国内ではアクセラレーターの競合も多くいる中で、まさに今スタートアップエコシステムを作っている段階です。そんな中でどのようにコミュニケーションを取っていくのか、メッセージを発信していくのかについてはマーケティングにおいて大きく違う点だと思います。アメリカでは(Plug and Playを)知ってもらってる前提ですが、国内ではそもそも全然知られておらず、「一緒にやっていきませんか」から始める形なのでメッセージが違います。

では今は日本の場合「Plug and Play」の認知を獲得している最中なのですね。

どうやってこの認知度を上げていくかが課題ですが、自分たちだけの認知が上がっても産業自体は大きくならないので、同じようにアクセラレータープログラムを行っている会社と共同でイベントをやったりもしています。市場が大きくなった後に「アクセラレータープログラムって、こう使っていくんだよね」と認知が行き届いた中で差別化を図っていけばいいと思って取り組んでいます。短期的(1~2年)にシェアを取りに行くのではなく、「スタートアップエコシステム自体を育てる」というミッションを念頭に置くことを意識しています。

コロナ禍で実施したマーケティング施策で印象に残っているものはありますか?

今まではデモデーをオフラインで行っていて、会社としても大きなイベントでした。大きな会場でたくさんの人に来てもらって、その中でスタートアップがピッチして、次のステージに行くという瞬間を作るのが仕事でした。

でも、オンラインになると普通にピッチしても(会場で感じるような)ダイナミックさやワクワク感が伝わらないので、そのピッチ仕方を変えたり、テレビっぽくなりすぎないようにアタック動画(ピッチが始まる前の15秒ほどの短尺動画)を入れて雰囲気を変えたり、たくさん映像の工夫をしました。見せ方や聞こえ方が少し変わるだけでも、受け取る側の印象が全然違うので、そのPDCAを回し続けた一年でした。

セールスもしているマーケターにとっては新しい必見な考え方ですね!

藤本氏にとってマーケティングとは?

藤本さんのお仕事をマーケティングという言葉を使わずに再定義すると、どのようになりますか。

“Wowモーメント”を作る仕事だと定義しています。もちろんニーズに答えるということも大事なのですが、ニーズのその先で「なるほどね、そういうことか」とちょっとした驚きを作りに行く、ということをもっと大事にしています。

例えばスマートフォンとかわかりやすいですが、当時は「これいる?」と話していたのが、驚きと新しさと楽しさを体験してもらえると「ニーズのその先」にいけるんですよね。そういう”驚き”や”新しさ”や”楽しさ”を作るのがマーケティングの仕事だと思ってます。

今の私の仕事で言うと、コロナ渦でも(デモデーのような)イベントを、映像の工夫をしたりして”驚き”や”楽しさ”を体現していくことだと思っていて、その結果、参加企業の驚いている顔を見れたらガッツポーズしちゃいますね。

貴重なお話、本日はありがとうございました!

マーケターという職種を再定義すると…

“Wowモーメント”を作る仕事