今や、企業のマーケティング活動において無くてはならない存在となったコンテンツ。それではコンテンツとは、どういったものなのでしょうか?定義は?コンテンツを用いたマーケティング方法とは?
今回は、そんなコンテンツの定義やマーケティングにおけるコンテンツの役割など、実際の事例を用いて解説していきます。
コンテンツとは?
一般的なコンテンツの定義とは?
コンテンツとは、どのように定義されているのでしょうか?日本で2004年から施行された「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」の第2条によると、コンテンツとは「人間の創造的活動により生み出されるもの」であり、「教養または娯楽の範囲に属するもの」であると定義されています。
例えば、音楽や映画、写真や漫画、アニメーション、文芸といった多くの種類が存在します。細分化すると、図形や文字、音声、色彩、動作といった要素を組み合わせたものまで含まれているため、かなり膨大なカテゴリーがあると考えて良いでしょう。
また、インターネット上にあるブログ記事や動画などもコンテンツとして扱えます。
先述した法律で定義されていた内容と照らし合わせると、「教養や娯楽につながる」必要があるわけですが、そこの線引きは曖昧になっているのが事実でしょう。
コンテンツの種類と内容
コンテンツは大きく分けてデジタルとアナログの2つに分かれます。
デジタルコンテンツとは、文章、画像、音楽などの作品をデータ状態のまま消費者に提供されているもののことをいいます。従来はCDやDVDといった「実物」を介して手元に届くのが一般的でしたが、最近では電子書籍や音楽配信システムなど、ネットワーク上で各種システムを配信するサービスも台頭してきています。
一方アナログコンテンツとは、紙媒体の書籍、雑誌、コミックなどが挙げられます。また、コンサートや演劇の公演も、アナログコンテンツといえます。
コンテンツマーケティングとは?
マーケティングにおけるコンテンツの定義とは?
コンテンツマーケティング・インスティテュートの創設者で「コンテンツマーケティング」の概念を広めてきた米国のジョー・ピューリッチ氏によると
「コンテンツマーケティングとは、適切で価値ある一貫したコンテンツを作り、それを伝達することにフォーカスした、戦略的なマーケティングの考え方である。見込客として明確に定義された読者を引き寄せ、関係性を維持し、最終的には利益に結びつく行動を促すことを目的とする。」と定義しています。
この定義の中では、特定の「あるべき形」については触れられていません。つまりコンテンツマーケティングとは、ブログや動画など特定の形に縛られた手法ではないということが分かります。また、どんなコンテンツでも良いという訳ではなく「適切で価値ある一貫したコンテンツ」であることが重要です。そんなコンテンツを作り、それを届けるための活動全体がコンテンツマーケティングなのです。
突然ユーザーに向けて、自社の商品・サービスを売り込んだりするのではなく、段階的に関係性を深め、最終的に購買してもらうことを目的としているコンテンツマーケティングは、一種のコミュニケーション戦略ともいえるでしょう。
従来のマーケティングとの違い
コンテンツマーケティングが最も重要視している点は「ユーザーと長期的な関係性を構築する」ことです。
この「長期的に」という点が、広告から商品を訴求し短期間でユーザーを刈り取る従来のマーケティング手法と大きく異なるでしょう。
言ってしまえば、コンテンツマーケティングはユーザーとの人間関係を構築するマーケティング手法といえます。
コンテンツマーケティングの役割
蓄積効果で広告宣伝コストを抑えられる
従来型のマス広告や、リスティング広告等の有料広告の場合、広告費の支払いが終われば広告の機能もそこで終わりです。一方、コンテンツマーケティングには「蓄積効果」があり、一度発信すれば、そのコンテンツの情報価値が失われないかぎり機能し続けます。
つまりコンテンツを増やせば増やすほどユーザーとの接触頻度は増えるため、費用対効果が改善していくのです。もちろん、成果が出る時期やコスト削減率は業種や商材で異なります。
ユーザーのロイヤルティ(愛着や忠誠心)を高められる
ユーザーに役立つ情報を発信し続けると、信頼関係が生まれ、自社に対するロイヤルティが高まりやすくなります。ロイヤルティはビジネスにおいて様々なメリットをもたらします。
ユーザーは、自分の知ってる会社と知らない会社が作ったほぼ同じ2つの製品があった場合、どちらを選ぶでしょうか?多くの場合、自分の知っている会社の製品を選ぶでしょう。
そのため、コンテンツを定期的に発信し続けてユーザーと関係構築をしていくだけで、他社との比較検討がされにくい、価格競争に巻き込まれにくい、継続発注をもらいやすくなるなど様々なシーンで機能していきます。
コンテンツマーケティングの種類と活用事例
コンテンツマーケティングの種類
ユーザーの購買プロセスを
- ・認知
- ・比較検討
- ・決定
の3段階に分けて考えると、それぞれ以下のようなものが挙げられます。
認知
購買プロセスの初めである「認知段階」には、ブログやSNSでの情報発信を活用する場合が多いです。「企業が発信したい情報」を自社メディアで発信したり、ユーザーの情報拡散を狙ってSNSへ投稿します。
比較検討
購買の検討に入ったユーザーは、他社商品・サービスとの比較検討へ進むため、より踏み込んだ内容のコンテンツを提供することが必要になります。
自社商品・サービスの概要や調査結果などをまとめたものである「ホワイトペーパー」や、ニュースサイトに、自社の調査データや新商品・サービスのリリース情報などを配布する「プレスリリース」などが挙げられます。他にも、音声コンテンツである「ポッドキャスト」や、導入事例・成功事例を記した「ケーススタディ」、「インタビュー」など多くの種類が存在します。
決定
ユーザーが自社商品・サービスの理解と活用イメージが明確になり、最終的な判断を行う段階です。購買に至る最後の一押しをするコンテンツを用意すると良いでしょう。
例えば、物理的な「書籍」。実際の出版には、非常に手間と時間がかかり多くのマーケターは取り組んでいないケースが多いです。一方で、非常に信頼性の高いコンテンツであることは間違いなく、決定へのきっかけとなる可能性は高いです。
もう一つは「eブック」。ホワイトペーパーとも似ているといえますが、そこに視覚的な要素を加えながら、より詳細に製品やサービスを紹介することで、決定への説得材料とします。
コンテンツマーケティングの活用事例
北欧、暮らしの道具店
株式会社クラシコムが運営しているオンラインショッピングサイトです。
このサイトの特徴は、「生活スタイルを提案する」という軸があることです。その証拠に、商品ページ以外には、商品の情報が一切記載されていません。
働いているスタッフの日常を記した日記や、オリジナル短編ドラマの中に、商品が自然な形で登場しています。そのため、ユーザーは純粋にコンテンツだけを楽しむことができるのです。結果として、コンテンツを楽しんだユーザーは、継続的にサイトに訪れ、ファンになります。そして、欲しいと思う商品があった際には、他のサイトではなく、「北欧、暮らしの道具店」から購入するようになるのです。
あしたのオフィスJOUNAL
株式会社ボルテックスが運営するメディアです。
オフィス移転のコンテンツを中心にオフィスの不動産仲介、オフィスデザインや内装、シェアオフィスなど、オフィスを探しているユーザーに向けたコンテンツを配信しています。
移転スケジュールの立て方や過ごしやすいオフィス環境など、空間のメリット・デメリットにも言及し多様な記事コンテンツが充実しています。他にも地域別の相場金額など細かいニーズに応えたコンテンツを取り揃えるなど、情報の正確さ、独自性を武器に信頼を獲得しています。
はじめてのチュ〜診断
https://www.youtube.com/watch?v=jqSK8DpACoE
こちらはジャパンネット銀行が出した、若者の「はじめて」を応援するメッセージを込めた動画コンテンツです。
ジャパンネット銀行は日本で初めてネット銀行を始めた企業で、あまり馴染みのないネット銀行という新しい形を、いかにして若年層に認知してもらうかが課題としてありました。
そこでジャパンネット銀行は、「日本ではじめてのネット銀行だからこそ、若い人たちのはじめてに寄り添う銀行でありたい」をコンセプトにした動画を発信しました。公開直後からSNSで話題となり、1ヶ月足らずで100万回再生を突破。2020年現在、630万回再生を超える大ヒット動画となりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
コンテンツの定義、コンテンツマーケティングがもたらす効果や役割などのイメージは湧きましたでしょうか?
コンテンツマーケティングに本気で取り組むには、費用・時間・人材のコストを中長期的に忍耐強く投資し続ける必要があります。失敗してしまう企業の多くは、短期的な結果に目が向いてしまい、1年足らずで投資を辞めてしまいます。
まずは、社内に眠っている資産はないか?その資産とはどのようなものなのか?を総動員で考えみることから初めてみましょう。