毎週水曜日にYouTubeにて放映している「カイコクアカデミー」のインタビュー記事第15弾です。
今回は、株式会社リチカでCEO & Founderを務められる松尾幸治さんのインタビュー記事です。動画マーケティングについて伺いました!
ブラック企業に飛び込んで始まったベンチャーキャリア!?
ご自身のキャリアを教えてください。
実はわたし、特殊なキャリアでして…
自分のキャリアに自信もなかったので、最初はあえて「ブラック企業」みたいなところに入社しました(笑)
「ブラック企業」で検索して一番上に出てきたところに入社して、新卒キャリアが始まりましたね。
そこから飛び込み営業をずっと続けてたのですが、飛び込んだ会社の1社がマンションの1室にある5名ほどの会社だったんですよね。その会社の方から「お前面白そうだから、ベンチャーこい」と声をかけていただいて、そこからベンチャーキャリアがスタートしました(笑)
その会社が実は現在のベルフェイス株式会社の社長が前社長として経営していた会社でした。入社して営業からキャリアをスタートして、最終的に取締役まで務めさせていただき、プロダクト周り、マーケティング周りなど一通りやらせていただきました。会社の規模も120名ほどまで成長しました!そこから独立して今に至ります。
株式会社リチカとはどんな会社でしょうか。
弊社は、7年目の会社になります。
事業内容としては、クリエイティブとテクノロジーをかけ算しながら、動画広告やSNSで活用していくような「マーケティング用のクリエイティブ」を自動で作れるプロダクトやシステムを開発しています。それが「リチカ クラウドスタジオ」というサービスです。
現在400社以上の企業様に導入いただいております。マーケティングの中でクリエイティブを作っていくことは必須になってきています。いかにそこ(クリエイティブ制作)をPDCAを早く回していくかってすごく重要なことになってきているので、”できるだけ簡単”にPDCAを回しやすいクリエイティブを制作できるようなプロダクト開発をしております。
大手企業様の内製化支援を中心に導入いただいております。作れるものとしては結構リッチなクオリティなクリエイティブまで制作が可能です。元々わたしたちは制作会社としてスタートしているので、CMを作っていたようなプロのクリエイターがフォーマットと呼ばれるようなコンテンツの型のようなものを作って、そこにパズルのようにテキストや素材を入れていただくだけで動画ができる、というようなプロダクトを作っております。
最新の動画マーケティングフレームワーク「AIBAC」とは
松尾さんの日々の具体的なお仕事の内容について、教えていただけますか?
わたし自身、元々クリエイティブとプロダクト畑というところにいたので、クリエイティブディレクターの要素をサポートしたり、今はプロダクト全体の管掌をすることが多いです。
ステージが変わってきているので、ステージに合わせてより不確実性の高いところは何なのかなぁなどの社長のお仕事みたいなこともやらせてもらっています。
toBマーケティングにおいて現在はどのような指標を大事にされていますか?
そうですね。
一般的なデジタルマーケティングの主要要素は大事にしていますが、わたしたちはそれ以上に「月額で使い続けていただくようなプロダクト」を意識しています。
極端な話、「すごく安価にご契約をいただいたので、効率が良かった」という話では決してないんですよね。
その点に関して考えると、いかに「中長期でプロダクトを活用いただいて、導入後に成果を最大化していただけるクライアント様に使っていただけるか」、逆にデジタルマーケティングみたいなところにこだわらずに「全体のファネルで見たときに成果最大化されるような施策とは何か」というところを指標に置きながらマーケティングをしています。
「AIBAC(アイバック:以下、AIBAC)」について簡単に教えてください。
はい!このサービスはまだめちゃくちゃ知らない方も多いと思うので紹介させてください(笑)「AIBAC」は、わたしたちが作った動画広告のクリエイティブの作成のフレームワークですね。
今、わたしたちのプロダクトを通してユーザーの方々が、累計で30万本程のクリエイティブを作られていて、色々なところ(Webだけでなくオフラインも)で配信されているので、集合知的に「何がよりパフォーマンスがいい広告クリエイティブか」というのが、ある程度パターン化されて分解、分析できるようになってきました。
それをフレームワーク化して「(動画クリエイティブの)構成ってこうあったほうがいいよね」を実現できるようにしました。動画って簡単に作ると意味がないものが多いと言いますか、「テレビで流しているものと、SNSのなかでもTikTokとInstagramで出ているものって全然違うよね。じゃあそれってどうするの?」みたいなところは、わたしたちのプロダクトを使っていただかなくても大丈夫なのですが、「動画広告ってどう始めるの?」となったときに、何か指標のようなものをいろいろ探したのですがなかったので、「自社で開発してしまおう!」と思って作ったフレームワークですね!
おそらくですが、クリエイティブに関しては国内トップクラスで作っている自負があるので、参考になると思います。
導入企業様からはどういう声が集まっているのか教えてください。
そもそも動画制作ソフトは、Adobeのようなプロ向けの製品があって自分たちも元々クリエイティブを制作していたときから今も使わせていただいています。
今は簡単に制作できるような無料のアプリもたくさんありますよね。
極端な話、「ゼロから何かを作る」みたいなところであれば、リチカのようなツールって必要ないんじゃないかなぁと思っているのですが、一方で企業の中で使うには、ある程度その企業の中での「ブランドのイメージやトーン&マナーを、どういう風に見せていきたいかを蓄積してシェアしていくような仕組みが社内の中であったらいいよね」というところで開発しているので、そういう部分が企業内部でできることは非常に喜んでいただいています。
今まではノウハウなどクリエーターさんにしか溜まっていなかったクローズな部分をみんなで共有することによって「PDCAがより早く回せるようになったよね!」などの活用をしていただいて喜びの声をいただいてるケースが多いですね。
文字通りプロじゃなくても扱えるようになっている、ということですよね?
そうですね。プロじゃなくても、プロが作っている動画…そこはずっとわたしたちがやってきていたのでその動画のクオリティ、今実はテレビCMで使われていたり、渋谷のスクランブル交差点のサイネージでもたまに出していただいたりしています。
そのくらい「パッと見て分からないようなクオリティ」の動画クリエイティブが作れる、且つPDCAが回せるというところが強みなんじゃないかなと思います。
ツール活用と動画広告による導入企業様からのユーザーボイスがあれば教えてください。
サイトの中に導入企業様の声をそれこそ動画付きで上げさせていただいているのですが、いろいろあります。
前提として、そもそもクリエーターさんに頼むにしても1本あたり20万円、50万円、100万円の15秒、30秒のクリエイティブで1ヵ月くらいかかっていたものが、自分(自社)で数分~数時間でできるみたいなところがまずシンプルに「いいよね」ということで評価をいただいております。
早い場合は、1本あたり数分で動画ができるということですか?
そうですね!慣れてくると1本10分以内でサクッと作って、さらにはそれをコピーして最初の訴求だけ変えて、めちゃくちゃ回していくみたいなこともされていますね。
直近の動画業界の動きでいうと、YouTuberやTik Tokerの台頭について意識されていますか?それに付随して、事業に影響されていたりしていますか?
いや、わたしたちに関してはないですね。他社様は分からないですが、YouTuberやTik Tokerの方々ってむしろわたしたちも一緒にさせていただくことが多いのです。
どちらかというと「広告側」「企業側」なので彼らが増えれば増えるほど「広告面」「広告枠」は増えていきますので、どちらかというとポジティブに捉えていますね。
では同じような動画クリエイティブを作って活用していくかというと、アフィリエイト系でごりごり回していくクリエイティブやYouTuberの方は需要やニーズがあるかもしれないのですが、わたしたちがクライアント様のお手伝いをさせていただいてるのは、一定の規模のブランドやクオリティを大事にされる方々が多いので、そうすると一定の企業内のレギュレーションやお約束などそういうものが大事になってくるので、またクリエイティブの捉え方も大きく変わると思っています。
その辺ではきれいに分かれている感じがしていますね。
動画業界のところでいうと、広告も増えてくるので「追い風」で良い影響ということですね。且つインフルエンサーの方たちの動画の作り方が参考になるケースもなかにはある、という感じでしょうか?
いやいやいや、もうめちゃくちゃ参考になっていますね!わたしも仲の良いTik Tokerの方がいるんですけど、むしろ勉強させてもらっています。で、ご一緒することがあるくらい学ばせてもらっています。
「マーケター」の概念が変わりつつある
最後に、松尾さんのお仕事をマーケティングという言葉を使わずに再定義すると、どのようになりますか?
これ、めっちゃ難しいですよね(笑)
「お仕事する人」かなと。
わたし自身が完全にマーケター上がりではないので尚更なんですが、今ってマーケティングひとつとっても、デザインひとつとっても、クリエイティブひとつとっても、いろんなものが専門職として縦に存在していたものが、今はかなり曖昧な領域になってきているなぁと。
どのスキルもあらゆる人たちが一定に身に付けておかないといけない。特にマーケティングに関しては、誰かに対して誰かの困っていることや、やりたいことを理解してそれに何かを届けるみたいな作業のあらゆる手だと思います。
具体論ではなく全体で考えたときに、逆に「マーケター」という言葉がなくなって広くもいろんな人たちが身に付けるのがベースで、さらにこう専門性の高いところまででいくとそれに専門職のお仕事の名前がつくんじゃないかなぁとわたしは思っています。
今のお話を聞いて確かにそうだなと。「マーケター」という概念はなくなるのかなと思いました。
こういうこと言うとすごく怒られるのかもしれないのですけどね(笑)
たぶん誰でもマーケティングが必要になってくる、まぁ本当に個人でやっているインフルエンサーの方やYouTuberの方って、やってることマーケターそのものの活動をされているので。いろんなものをやることにマーケティングの要素は必要になってくる、そこは不可逆なんじゃないかなと思います。