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日本のDXが遅れている原因とは?日本の現状と海外との比較

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、メディアやコマーシャルなどでも多く取り上げられ、認知度が高まりました。企業が取り組むべき喫緊の課題とされるDXですが、実際の導入は他国に比べて大きく遅れているのが現状です。レガシーシステムの存在やIT人材の不足、企業文化の壁など、さまざまな要因がその背景にあります。
本記事では、DXとは何かに加え「日本のDXの現状」「DXを進めるうえで必要なこと」や活用できるサービスについてご紹介します。「自社のDXをどう始めるべきか迷っている」「現場が動かず困っている」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

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そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは、英語の「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語で、デジタル技術を使って、ビジネスや日常生活など、社会全体を良い方向に変革していく取り組みを指します。単なるデジタル化ではなく、ビジネスの在り方や生活の仕方を根本から変えるためにIT技術を用いる点が、DXの特徴です。

DXの具体事例
どんなにIT化・デジタル化を進めても、それが良い意味での変革に結びついていない場合は、DX化できたとはいえません。DXが見える形で社会に浸透している例として、エンターテインメント業界の取り組みが挙げられます。音楽や映像を楽しむ場合、これまではCDやDVDなどをレンタルしたり購入したりするのが一般的でしたが、現時点ではストリーミング配信が主流となっています。ユーザーにとって使いやすいサービスが出てきた背景には、スマートフォンやタブレットの普及が深く関係しています。
デジタル技術が身近な生活に好影響を与えている顕著な例ですが、DX化によって他の分野でも同様のことが成し遂げられるよう期待されています。

DXの定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がデジタル技術やデータを活用して、製品・サービス、業務プロセス、組織文化などを抜本的に変革し、競争力を高めていく取り組みです。経済産業省の『デジタルガバナンス・コード3.0』では、DXを「デジタル技術を活用し、企業がビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。これは単なるITツールの導入にとどまらず、企業の在り方そのものを見直す経営改革と位置づけられています。

また、同コードでは、DX経営に求められる3つの視点として以下を挙げています。

1. 経営戦略とDX戦略の連動

経営ビジョンとDX戦略を連携させ、全社的な方向性を一致させること。

2. 現状と理想のギャップの定量把握

現状と目指す姿の差を数値で把握し、戦略的に改善を進めること。

3. 企業文化への定着

DXを一過性のプロジェクトではなく、企業文化として根付かせること。

これらの視点を踏まえ、DXは経営者が主導し、組織全体で取り組むべき重要な経営課題であるとされています。

デジタル化の違い

「DX」と「デジタル化」は似ているようで、目指すゴールが大きく異なります。

デジタル化とは、紙の書類をPDFに変える、エクセルで管理していた業務をクラウドシステムに置き換えるといった、あくまで今ある業務の効率を上げる取り組みを指します。

一方で、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、単なる効率化にとどまらず、業務の流れや顧客への価値提供の仕組みそのものを見直す取り組みです。

たとえば、これまで対面や紙で行っていた業務を、デジタルの仕組みに置き換えるだけでなく、複数の拠点や部門から同時にデータを入力・共有できるような仕組みを整えることで、業務の流れ自体を見直し、生産性や売上の向上につなげるような変革がDXにあたります。


デジタル化DX(デジタルトランスフォーメーション)
主な目的業務の効率化・省力化ビジネスモデルの変革・競争力の強化
範囲一部の業務や手続き全社的・経営戦略レベルの取り組み
紙の書類をPDF化/Excelの自動化顧客対応プロセスの刷新/サービス形態の再設計

DXが求められる社会背景と企業の課題

近年、企業を取り巻く社会や経済の環境は大きく変化しており、これまでのやり方では対応しきれない局面が増えています。そうした中、DXの必要性はますます高まっています。中でも注目すべき背景として、以下のような課題が挙げられます。

技術の進化スピードが急激に高まっている

AIやIoT、クラウドサービスなど、次々と新しい技術が生まれ、ビジネスのあり方を大きく変えています。これに対応できない企業は、競争力を失うリスクを抱えています。

コロナ禍による働き方・ビジネス環境の激変

リモートワークや非対面でのサービス提供が当たり前となり、デジタル前提の業務設計が求められるようになりました。これにより、従来型の業務フローでは限界が生じています。

日本特有の構造問題:少子高齢化と労働力不足

人口減少と高齢化の進行により、労働力が慢性的に不足しています。人に依存する業務を見直し、テクノロジーで補完することが求められています。

労働生産性の低さ

日本は長時間労働が常態化している一方で、仕事の成果を上げにくい構造が続いています。紙の書類や手作業が多く残っていたり、業務が個人に依存していたりと、効率よく働くための仕組みが十分に整っていないのが現状です。その結果、1人あたりの仕事の成果がなかなか伸びず、生産性の向上が課題となっています。

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日本のDX化の現状

生活のあらゆる面でデジタル化が進む日本ですが、DXの現状は芳しくありません。
どちらかというと、遅れを取っているといわざるを得ない状況です。世界的に見て日本はどんな立ち位置にいるかに加え、DX化が進まないとどんな問題に直面する可能性があるか、考えてみましょう。

世界のデジタル競争力ランキング

DX化に関係して、IMD(国際経営開発研究所)では、毎年「デジタル競争力ランキング」を発表しています。2024年のランキングでは、1位がシンガポール、2位がスイス、3位がデンマークと、先進国やITを活用して国力を上げてきた国々が上位を占めました。
日本は、31位という結果で、隣国の韓国は6位、台湾は9位、中国は14位と、アジア諸国の中でも遅れを取っている状況です。同じくアジアでは、シンガポールが1位にランクインしており、小国であっても国を挙げての取り組みが功を奏していると理解できます。

2025年の崖とは

他国と比べてDX化が進まない日本ですが、このままデジタル化が思うようにいかないと、「2025年の崖」問題にぶつかるとされます。2025年の崖とは、多くの日本企業が使っている旧式の基幹システムをそのまま使い続けると、2025年以降、最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると予測されていることです。
この点を警告したのは、2018年に経済産業省が提出したレポートでしたが、日本政府もこの点を懸念し、2021年にデジタル国家予算として1.7兆円を計上しています。国家としてDX推進のために取り分けた予算額に比べ、損失が見込まれる額は最大12兆円と大きい数字です。スピード感をもってDXを進めていく必要性を感じるに違いありません。

日本のDX推進が遅れている理由

日本でDX化が進まない理由はいくつかありますが、主要なものとして、IT人材の不足、古いシステムを利用し続けていること、企業体質の3つが関係しています。
具体的に見てみましょう。

IT人材の不足

日本でDX化が進まない主な理由の一つが、IT人材の不足です。ITスキルを持つ人材の不足は、多くの企業が頭を悩ませていますが、それに加えDXが比較的新しい取り組みであることも人材不足に拍車をかけています。
DX化を効率よく進めるには、技術とともに経験がカギになりますが、DX化を主導できる人材は限られ、手探りで行っているか、DX人材の育成から始めなければならないのが現状のようです。いくら経営者などの上層部がDXを進めたくても、現場を支える適任の技術者が足りないため、スケジュールが後ろ倒しになっている企業は少なくありません。

さらに、経済産業省の調査によれば、2030年までに日本では最大で約80万人のIT人材が不足すると予測されています 。このような状況下で、企業はIT人材不足に対応するための具体的な戦略を練る必要があります。

古いシステムの利用

日本企業のDX化を阻む大きな要因となっているのが、古いシステムを刷新できないことです。現行のシステムの保守・運用は属人性が高いものが多く、情報システム部全体で取り組む必要があるものも少なくありません。そのため、新しいシステム導入に必要なリソースが不足することで、ますますDX化が滞る事態が生じています。
また、古いシステムは担当者の退職などでブラックボックス化したり、カスタマイズを重ねた結果、複雑化・肥大化しているケースも見られます。
新システムに移行するにあたって、どこから手を付けたらよいのかわからず、連携が難しいこともDX化の遅れの原因となっています。

変わらない企業体質

日本のDX化を遅らせる要因の3つ目が、企業体質といわれます。
経営者や人事、経理担当者などは、それぞれの分野には詳しくても、IT技術を持ち合わせていない人は少なくありません。会社の方針を決定できる立場にある人が、ITリテラシーを持っていない場合、未知のものに挑戦するよりも、守りの姿勢を強める傾向があるようです。
デジタル化にはそれなりの予算や人員配置が必要なので、無理に投資する必要はない、これまで通り人件費が安い従業員を使って人海戦術で作業すればよいと考える経営層や管理職は一定程度います。過去の成功例に囚われてデジタル化を先送りする結果、日本全体のDX化の遅れにつながっています。

https://kaikoku.blam.co.jp/client/contact

海外と比較した日本のDX推進状況

海外に比べて日本のDX化は遅れているといわれますが、実感がない方もいるかもしれません。こちらでは海外で行われているDX化の具体例を取り上げます。
日本の実情を正しく認識し、会社としてどんなことに取り組めばよいか、考えるきっかけにしていきましょう。

中国の金融インフラ

海外のDX化の代表例として挙げられるのが、中国の金融インフラです。
銀行口座を保有していない国民も多かった中国では、2002年に初めて、中国人民銀行による電子決済ネットワークが設立され、VISAに次ぐ世界2位のクレジットカードブランドを持つに至りました。これには、中国政府の強い後押しがあったことと、デジタルネイティブ世代だけでなく、高齢者などデジタルに暗いとされる世代も進取の気性を持ち、ネットショッピングなどを手軽に行うようになったことが影響しているようです。
一方、すでに金融インフラを確立していた日本では、金融サービスとテクノロジーを融合させて新たな付加価値を提供するフィンテック企業に、銀行システムへのアクセスを渋るなど、環境整備が進まなかったことがDX化を遅らせる結果になりました。現時点では、中国はDX先進国として知られており、日本は大きく水をあけられたと言わざるを得ません。

DXの遅れが招く主なデメリットとは?

DXがなかなか進まないことで、企業が直面するリスクや課題は少なくありません。以下では、代表的な2つのデメリットを取り上げて解説します。

業務の非効率が続き、コストや時間の無駄が増える

DXが進んでいない企業では、いまだに紙書類や手作業に頼った業務が多く残っています。こうした業務は人的ミスが起こりやすく、処理にかかる時間も長くなる傾向があります。

また、同じ情報を何度も入力したり、社内で確認作業に時間を取られたりと、本来は必要ない工数にコストがかかってしまうケースも多く見られます。さらに、在宅勤務やハイブリッドワークといった柔軟な働き方にも対応しづらく、社内全体の生産性や対応スピードが低下してしまうリスクがあります。

顧客ニーズに対応できず、競争力が落ちる

スマートフォンやオンラインサービスが当たり前になった今、顧客はスピーディーで柔軟な対応を期待しています。たとえば、オンラインでの問い合わせ、契約、購入が当たり前になっている中、旧来の紙ベースや電話対応に依存している企業は、利便性に欠け、選ばれにくくなる恐れがあります。さらに、顧客データの活用ができていない場合、個々のニーズに合ったサービス提案が難しくなり、結果としてリピーターやファンの獲得にもつながりにくくなります。

他社がDXを通じて新しい顧客体験を提供しているなか、自社だけが変わらないままだと、顧客離れや売上減少といった経営リスクが高まることが避けられないでしょう。

DX推進するために必要なこと

各企業で必要なDXの形は一様ではないため、推進方法も一つに絞ることはできません。
しかし、DXの進め方を押さえておくと、スピーディーに導入しつつ、成功する確率を上げるのに役立ちます。こちらで、DX推進のために必要なメインとなる3つの点を取り上げます。

経営陣がDXを理解し推進する

経営者は、経営のプロであってITの専門家ではありませんが、DX化の必要性を理解していないとDXの旗振り役になることは難しいでしょう。まずは、経営者や管理部門が率先してDXについての理解を深めることが大切です。
デジタルの力でビジネスや企業風土に変革をもたらすことをいとわない姿勢は、全社一丸となってDX化に取り組む力になります。

IT人材の育成体制を構築する

DX化の推進には、IT人材が不可欠です。
大企業であってもIT人材不足に悩んでいる現状では、IT人材の育成体制を社内で構築することが求められます。ITスキルのある人材や、学ぶ意欲がある未経験者を積極的に起用し、並行して社員全員のITリテラシー向上に取り組むとよいでしょう。社内での人材確保が難しい場合は、アウトソーシングの活用も検討できます。
政府が副業を推奨したことで、優秀な人材が社外に目を向け、他社のDX化を手助けする機会が開かれたといえます。経理や総務などの管理部門の仕事を外注する動きも活発化しています。人的リソースが少ない中小企業などでは特に、自社のDX化に集中するために、外部人材の登用を考える必要があるかもしれません。

DX推進の目的を明確にする

DX化の実現には、目的が必要です。そもそもDXは、目的そのものではなく、目標を達成する手段に過ぎないからです。まずは、DX化の目的を明確にし、そのためにどのデジタルツールを用いるべきかを考えると、最適な答えを導き出せるに違いありません。
デジタル化の目的がはっきりしていれば、必要なところに必要な投資を行えるので、会社の資産を有効活用できます。また、デジタルツールを使う目的を従業員全員に理解してもらうことも容易になります。

日本のDX化を成功させるポイント

DXを一気に全社的に推し進めようとすると、コストや人的負荷が大きくなり、途中で挫折してしまうリスクも高まります。成功している企業の多くは、段階的かつ現実的にDXに取り組み、徐々に全体へ広げていくスタイルをとっています。ここでは、実践のヒントとなる2つのポイントを紹介します。

小さな取り組みから始める

DXの第一歩は、すべてを変えることではなく、「身近な業務の課題を、デジタルの力でどう解決するか」から始めることが重要です。

たとえば、営業日報の紙記録をクラウド入力に変える、請求書発行をExcelから請求管理ツールに切り替えるといった、業務単位のミニ改善からでも十分に効果があります。こうした小さな成功体験を積み重ねることで、社内の理解や協力も得やすくなり、DXが組織に浸透しやすくなります。

また、初期の段階では、「まずやってみる」といった姿勢が大切です。試行錯誤を重ねながら柔軟に改善していくアプローチの方が、現場に根づく取り組みになりやすいでしょう。

データ活用の体制づくりとKPI設計をする

DXを形だけの導入で終わらせないためには、「効果を見える化している」ことが重要です。そのためには、日々の業務から得られるデータを収集・整理し、それを活用できる体制を整備する必要があります。

たとえば、顧客対応時間、問い合わせ件数、業務フローの滞留箇所などのデータを集めて可視化すれば、改善すべきポイントが明確になります。あわせて、DXの目的に応じたKPI(重要業績評価指標)を設定することで、進捗や効果を継続的に確認できるようになります。

KPIは、「問い合わせ対応時間を20%短縮する」「月間オンライン契約件数を30件に増やす」など、具体的かつ測定可能なものにするのが効果的です。

DX推進のサポートなら外部人材の起用も選択肢に

DX推進するにあたり、IT人材の育成や雇用に課題を感じている企業は多いのではないでしょうか?育成するにしても、DXのためのノウハウや知識を誰も持っていないと進めることは難しいでしょう。
また、採用するにしてもDXを進められる人材は貴重で、簡単に採用できるものではありません。そのような場合は副業人材を含めた外部人材の起用を選択肢に含めると良いでしょう。

採用スピードが早い

副業人材を起用するメリットは正社員採用に比べ「採用スピードが早い」ということです。
現在では多くの人が副業に取り組んでおり、流動的な人材採用が可能です。一方、正社員の起用ではどうしても失敗したくない心理が働き、企業・求職者ともに慎重に検討を重ねる傾向があります。副業であれば挑戦しやすく圧倒的なスピード感を実現できます。

DXのノウハウを持った優秀な人材が採用しやすい

副業人材は本業を持っており、常に最新の情報、知識・スキルを持っている優秀な人材ばかりです。本業でDX関連企業に勤めていたり、IT企業でスキルやノウハウを磨いている人も多くDXを進める上で最適な人材も沢山います。また、優秀な人ほど転職市場に現れることが少なく、現れたとしても大手企業や有名企業に採用されてしまう傾向にあります。
副業であれば「本業と異なる環境・業界で働きたい」という人も多いため、企業の規模に関わらず優秀な人を採用しやすいというメリットもあります。

DX推進できる外部人材の起用ならカイコク

『株式会社BLAM』は、独自のPjTO(プロジェクトチーム・オプティマイゼーション)マーケティング手法を軸に、戦略設計からWeb広告、クリエイティブ制作、CRMなどマーケティング課題を解決している会社です。予算に合わせて柔軟にエース人材を起用できるのが魅力。

特に注目すべきは、国内最大級のマーケティング領域特化型の複業マッチングサービス「カイコク(KAIKOKU)」を展開している点。10,000名以上の経験豊富なマーケターやデザイナーが登録しており、企業のDX推進を担える即戦力人材と柔軟につながれる仕組みを提供しています。

DX人材なら【カイコク】

「日本のDXが遅れている」と言われる今、自社内だけでリソースを確保するのが難しい企業にとって、こうした外部の力を活用することは、現実的かつ効果的な選択肢といえるでしょう。

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日本企業が抱えるDX化問題を解決するためにできること

日本のDXは、海外から見ると大きく後れを取っています。しかし、まだまだ挽回することは可能です。

まずは、経営陣や管理部門がDXについての理解を深め、DXを進める現場担当者の先頭に立つ姿勢が大事です。

DXには、スキルを持つIT人材が欠かせません。
社内に適当な人材がいない場合は、育成する努力とともに、外部からDXの技術や経験を持つ人を起用することを検討してみましょう。

DX人材の起用をお考えであれば「カイコク」の利用を検討してみましょう。

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