毎週水曜日にYouTubeにて放映している「カイコクアカデミー」のインタビュー記事第14弾です。
今回は、アライドアーキテクツ株式会社で取締役CPOを務められる村岡弥真人さんのインタビュー記事です。プロダクト運営からUGCの活用方法まで幅広くお話を伺いました!
テクノロジーとマーケティングの相関性
アライドアーキテクツ株式会社とはどんな会社なのでしょうか。
弊社は創業が2005年で、今年で丸16年の会社になります。東証マザーズ上場、創業以来マーケティングの支援もしています。基本的には国内事業がメインですが、今海外にも7拠点ありまして、グループ全体で250名ほど在籍しています。
「世界中の人と企業をつなぐ」という、1対1で繋がっていくような世界観であったり、今の流行りと言いますか…ソーシャル的な価値観に近いようなマーケティング支援をずっとしております。
色々なマーケティング支援をするなかで、2つのアプローチからやっているのが弊社の特徴で、1つが「SaaS」と言われる領域です。SaaSだけですと、マーケティングは移り変わりが早いので、それにプラスして「人材提供」という軸でソリューションも提供しています。
細かい話になるのですが、わたしたちが取り組んでいるチャレンジの背景に「デジタルマーケティングが、相当やりづらくなっているよね。メディアもチャネルもやることが増える一方、マーケターが急激に増えるわけでもない世の中でどうやって効率化して成果を出していこうか」というのがありまして。
これはやはり、人を増やす・優秀な人を雇う以外に、「テクノロジーの余地があるのではないか」ということを考えて事業を展開しています。
いわゆるPDCAにおける、「実行(Do)」以降の部分です。
この部分は、テクノロジーで大幅に効率化できるので、ここを我々が支援をさせていただいています。これまで4000社ほどの支援をしてきているので、ベストプラクティスを企業様に還元していくという感じで展開しています。
貴社の特徴についても教えて下さい。
SaaSプロダクトの事業は、1プロダクトで行かれる企業様がとても多いですが、弊社の特徴は、「EC」「販促」「動画制作」の3つのドメインで展開をしていることです。
EC系ですと、BOTANISTさん、ETVOSさん・エーザイさん。販促系ですと、ブランド系の会社カルビーさん、ミツカンさん。
そして半年前に出したのが「LetroStudio」という動画制作ツールなんですが、コクヨさん、グリコさん、ロハコさんなど、現在、常時800社ほどの企業様とお取引しながら、4000社の支援実績をプロダクトとしてやらせてもらっています。
先程背景で「デジタルマーケティングがやりづらくなっている」とのことですが、カイコクを運営しているBLAMもデキる人の人数を増やすことと、デジマの人材を1人1社にせず、いろんな企業を抱えてもらうというところで方向性は似ているのかなと共感しました。
そうですね。やはり、スキルが高い方たちは有限だなとすごく思います。そういう人たちを育てるにしても時間がかかりますし、1社で占有というより、横軸で広がっていく世界観がもっと広がっていくべきだと思います。
今はとても優秀な企業様にデジタル人材が限られていると感じています。それをもっと多くの企業様が享受できるようにならないと、日本経済や日本のマーケティングが進化しないのではないかとわたしは感じますね。
具体的に村岡さんが担当されている領域や役割に関しても教えてください。
基本的には大きく2つの役割があります。
一つはプロダクト作りなどの「プロダクトオーナー」という、プロダクトの意思決定をしています。
もう一つは、マーケティングとPR領域です。PR投資やマーケティング投資、プロダクトをどう作っていくかというエンジニアの部分をわたしの方で担当しております。
プログラミングなどのエンジニア領域もご経験があるということでしょうか?
実はまったくないんです(笑)エンジニアの管掌役員もしているんですけどね。
元々弊社は、SNS広告に特化した広告代理事業をしていて、そこの事業の立ち上げにも携わっていたので、わたし自身も根っからの広告営業マンなんです。広告営業担当としてずっとビジネスサイドにいて、ウェットな営業が得意でした。
そこで広告代理店の闇と言いますか「このまま人に依存しているとなかなか難しいな」と感じたんです。今Letroというサービスがありますが、それを作り始めた段階であったのと、当時のCTOが退職することになりまして、「村岡プロダクトやっているんだから、一旦ちょっとエンジニア見てよ」というフリを当時受けまして(笑)そこから4年ほど、エンジニアも管掌していますね(笑)
なので、エンジニア領域はかなり勉強しました。はじめはすごく対立もしました。。。でも今はプロダクト「も」見ていないと、マーケティング「も」できないなと思っています。逆も然りで、プロダクトしか見ていなければ、ビジネスもうまくいかないと思うので、B2BのSaaSをやる上では、わたしのようなマーケティングやビジネスサイドのトップがプロダクトやものづくりを見るのは、結構ハマるんじゃないかなと思います。
マーケティングを知った方がプロダクトオーナーをすることケースは増えていくんだろうなと思っています。
そうですね。B2BのSaaSでいくと、どれだけ優秀な設計でいくか、どれだけ綺麗にものを作るかよりも、どういう顧客体験を大切にしていくか、どういうバリューを提供し続けるかがとても大切だと思います。
仮に開発の難易度が低くてもお客様に与える価値が高いのであれば、それは優れたプロダクトだと思うんです。これがプログラムやソフトウェアづくりしか見ていなかったら、この世界観は分からないですよね。
なので、わたしは市場を見る立場として、ビジネスサイドにしても開発サイドにしても、同じメッセージを出すようにしています。未来はこうなる、今こういう動きをしているので、お客様に対してこういう変化を提供しなければならない、だからこうやろう、そして実現するためには一緒に考えましょうというような感じですね。それを提示する役割でもあるのかなと考えています。
UGCの重要性や活用方法
サービスについても教えて下さい。「Letro」 とはどんなサービスなのでしょうか?
EC企業様向けのマーケティングツールです。
InstagramのUGCや消費者のレビューをECサイトやLPに活用して、CVRやリピート率、LTVを引き上げるツールになっています。
だいたい今300社弱の企業様と取引させていただいてます。
基本的には大手EC、美容コスメ、飲料食品ですね。最近ですと、D2C向けの企業様もとても増えています。やはりECのパフォーマンスを上げていく上では選んでいただけるツールにはなっています。
先程出てきましたが簡単に「UGC」についても教えてください。
「UGC」は、User Generated Contentsの略になります。
今で言うと、ユーザーさんが自発的にSNS上に投稿したものや動画を指しています。
Instagramなどに投稿したものをクリエイティブとして活用するというイメージです。
サイト上にInstagramを動的に表示させていく感じです。「動的に表示させるのみ」となるとわざわざツールを入れる必要がないですが、弊社ですとどのUGCやどういう表示パターンが一番CVR改善するのかを裏側でデータを取っています。継続的に売上改善につながるのが弊社ツール(Letro)の特徴となっています。
「UGC」は、どういう業種やサービスを提供している企業様に合うと思いますか?
基本的には、物販ECの企業様との相性が良いですね。
弊社ですと、コスメ・美容・食品・飲料あたりがボリュームゾーンになっています。
なぜ、その業種(コスメ・美容・食品・飲料)ですと効果が最大化されるのでしょうか?
他者の推奨を参考に購入する領域だからだと思っています。
例えばですが、コスメ系は一発LPを見ただけで購入する方ってほとんどいないですよね。InstagramやYouTube、Twitterで見ていますよね。
特にサプリとか気になりますよね。自分の体に入れるものなので、他者の推奨も必要だと思うのですが、今の時代はこれまでのような「満足の声、たくさんあります!」という企業側がつくったクリエイティブは、なかなかハマりづらい側面もあるのかなと。よりリアルで、より信じやすいようなコンテンツを求める領域がその業種だからですかね。
「UGC」活用のメリットとデメリットを教えていただければと思います。
メリットで間違いなくあるのが、広告施策の成果が圧倒的に向上する点だと思います。特にECやデジタルの広告領域の課題って、大きく2つありまして…。
CPMって言われる広告の出稿単価が高騰を続けているという点で、そこに対しての改善施策が全然増えてないんですよね。今もクリエイティブを改善する、LPOをやる、EFOやるなど昔から全然やり方が変わっていないんですよ。
入口の単価が上がっているのに対し、施策がジリ貧になることはとても不幸なことなんです。一方でお客様の声をちゃんと使っている会社は本当に無いんですよね。。。
なぜかレビューは多く出されていたりとか。Instagramにたくさん投稿された、やったーで終わっているのですが、これの接続が無かったので、ジリ貧問題、CPM高騰しすぎる問題を新しい施策で、CPM上がるんだったら、CVR上がればいいと思うので、そこをちゃんとUGCで接続して、広告施策が圧倒的に改善するっていうのがメリットかなと思っています。
デメリットは、工数だと思います。
やはり「1個1個レビュー集めるの大変だよね」「薬機法をいちいちレビューするの大変だよね」とかがあります。
なので、自社のマーケチームでやるか、代理店に工数のお金払ってやるか、それはさすがにそこまでじゃないだろう、みたいな意思決定を兼ねてしまうので、ベースになっている工数がデメリットになると思います。
補足ですが工数を課題解決して、CVRを上げやすくするのが弊社のプロダクトになります!
市場と顧客を一番理解して方向性を示す
最後に、村岡さんのお仕事をマーケティングという言葉を使わずに再定義すると、どのようになりますか?
「船頭」です。我々マーケターの仕事は、未来や変化を予測して、そこに向けて何かを定義していくことだと思います。わたしの場合は、一番遠くを見て何かを判断しなければならないですし、一番ブレない軸を提示していかなければなりません。それはやはり、お客様や市場、社員に対しても常に方向性を示す「船頭」みたいな意識が強いですね。
未来を予測するために、普段の行動などで心がけていることなどありますか?
大きく2つあります。
誰よりも流動的な情報を取り入れる環境づくりはすごくしています。
(立場上)いろんな方と繋がって信頼して会話をしていかなければならないので、周りのマーケターや経営者の方と繋がってとにかく最新の感覚を持ち続けるようにしています。Webメディアは二次情報が入ってくるイメージがあるので。
あともう一つは、わたしはお客様に会い続けて市場と顧客を理解するということですね。これは当たり前の話ですが、やはり現場に出る意識を持ち続ける、この2つを鳥の目・虫の目のようにやり続けています。