毎週水曜日にYouTubeにて放映している「カイコクアカデミー」のインタビュー記事第20弾です。
今回は、株式会社DearOneで代表取締役を務められる河野さんのインタビュー記事です。アプリマーケティングについて詳しくお話を伺いました!
100社以上のアプリを支えるDearOneの強み
ご自身のキャリアを教えてください。
学生を終えたあとは、人材系のベンチャー企業に入社し、そこで営業・事業戦略・事業開発・経営戦略を担当していまして、最終的に東証一部上場まで行くことができました。そこで「会社を育てることの楽しさ」を学び、株式会社ロケーションバリューを共同創業し、10年目を迎える今年の4月に株式会社DearOneへ社名変更を行いました。
株式会社DearOneとはどんな会社でしょうか。
弊社は、株主がNTTドコモ、博報堂の子会社です。今まで、100社以上のアプリをプロデュース、開発したり、実は今現在も100社以上のアプリを「運用まで」担当しています。
携わってわかったことなんですが、アプリは「会員全員」が利用するものではないんですよね。やはり「ロイヤルカスタマー」が使うツールでして、上位20%~40%の方々が使っておられます。つまり、ダブルファネルの中でも既存顧客のロイヤルカスタマー化を進めるボトムファネルがアプリの真骨頂だということがわかってきました。
ではそれをどう使うかというと、まさにデータドリブンマーケティングの「ためる」「整える」「分析する」「つかう」のこの4ステップでデータを取り扱うことにより 、アプリマーケティングの価値が最大化するという風に思っております。それに付帯する業務として、データ整形、イベント設計をするなどいろいろな業務が発生するのですが、そこもわれわれにお任せいただけるというのが、株式会社DearOneの強みになっております。
様々な機能を提供・活用してアプリでアハ・モーメントを生み出す
河野さんの日々の具体的なお仕事の内容について、教えていただけますか?
会社の経営全般をしております。会社としては今、カイコクアカデミーにもご出演されていたAmplitude, Inc.さまの日本総合代理店として、アプリを提供しながらデータ分析を通じ、ロイヤルカスタマーのデータを取り、いかにロイヤリティの高いユーザー層を増やしていくかを支援するということをしています。
たくさんのアプリがあってとても感動しています。基本的に、アプリを請け負いされて開発されているサービスがあると思うのですが、そこの紹介について簡単にご説明いただけますか?
はい。ModuleAppsという名前のサービスでして、名前の通り機能がそれぞれモジュールになっております。
「プッシュ通知」「クーポン」など事業会社が搭載したくなる機能が先に準備されています。お客様のほうで、どの機能を搭載するのかを選んでいただくと、ベースのアプリが完成する状態になる、ということです。 「早い」「うまい」「安い」という感じでアプリがつくれてしまうんですね。
われわれの場合、さらにカスタマイズができることや、拡張モジュールが既に用意されてるので、例えば業界に特化した機能などの搭載が可能ということで、お選びいただくくケースが多いですね。
「アプリを簡単に作れますよ」というような他社様のサービスと比べると、どのようなポイントがUSPなど違いがでてくるのでしょうか。
われわれは、業界唯一無二の特徴をもっていまして、「SaaS型で提供しながら、さらに カスタマイズができる」というミラクルを実現しています。その手法は、企業努力ということにさせていただきたいんですけども(笑)
パッケージの要素もありつつ、カスタマイズができるというサービスはなかなかないので、選んでいただくことが多いですね!
では、ModuleAppsにないようなことでも、「こういったものは追加でできますか?」とお願いすると、そこも含めて開発していただけるんでしょうか?
素晴らしい質問ありがとうございます!まさにそれでございます。
実はいま、120アプリほど運用していますが、 それぞれに特徴的なアプリオンリーの機能が搭載されていたりします。
前回のAmplitude, Inc.さんや他のツールも含めて、つくったあと、ユーザー様が集まったあとの運用といいますか、マーケティングの領域までもサポートをそのまましていくというところも強みでしょうか?
まさに実際に運用して、ユーザーの使い方を見て初めて「あ!この機能が必要だった」「例えばここはレイアウトを変えたほうがいい」などが発生します。それに柔軟に対応できるというところがわたしたちのサービスの魅力の一つです。
冒頭で100社以上つくってきたというお話がありましたが、そのなかでも面白かった事例や、ModuleAppsをつかったことによって改善した事例があれば教えてください。
「これはアプリの面白さだな」とすごく感じた事例が、ポテトチップスで有名なカルビー様ですね。
従来カルビー様の商品を売っているのは小売店様ですので、実は消費者様との接点がいままであまりなかったんですよね。
それが今回 「カルビーアプリ」という、「ポテトチップスを食べたあとの空き袋を折りたたんで、アプリで撮影するとポイントバックされる」というアプリをリリースされました。
それがすごく魅力的だなと思ったのが、メーカー様と消費者様が直接つながることです。
アプリで会員登録していただければばCRM にもなりますし、今回面白かったのが「空き袋を折りたたまないといけない」のでちゃんと食べないとポイントにならないんです。お店で別に撮影というのも発生しないので、素晴らしい取り組みになったなと思っています。
FTUXという言葉は少し前に使われていましたが、最近また使われるケースが増えてきていると思います。正直国内では浸透しているケースがあまりないですが、そのなかでFTUXとして国内で盛り上げた事例、面白かった事例などあれば教えてください。
FTUXは「First Time User Experiences」ということで、そのまま訳すと「最初の体験」になるんですが、ほぼイコールで「アハ・モーメント」に置き換えられるなと思っています。
やはり「このサービス、”面白い”、”楽しい”、”イケてる”」みたいなところを感じる瞬間ですね、これを用意することでFTUXと同様のことが満たされると思っています。アプリの世界でいうとやはり、UI/UXでそれが実現できることが多いですね。
例えば、ドトールコーヒー様でいうと、アプリのトップ画面にバーコードが表示されていて、それがそのまま店頭で決済できるんです。それって自然なんですけど「アハ体験」なんですよね。「あ、便利じゃん!一瞬で会計が終わるなら、このアプリを使い続けよう」ということでFTUXになっているわけです。
先程のカルビー様も同じで、家にいてスマホで空き袋の写真を撮ってポイントが付与されましたという瞬間はやはり「アハ・モーメント」で、「あ、スマホのカメラで撮るとポイントになるんだ!すごいな!」と。技術的にも感動がありますし、インセンティブ(ポイントが得られる点)の要素がFTUXになり、2回目が生まれるということになるんです。
Webサイトのみでサービス展開をしているときに、アプリ開発に踏み切るラインはあるのでしょうか?
具体的な数字でラインとなるとやはりのサービスごとに違うので、一概には申し上げられないのですが、踏み切った方がいい理由は必ず存在します。
UXです。いまの時代、やはりみなさんも体験されていると思いますが、Webのみですとスマホからアクセスした時にアクセスが遅い、データでいうと2秒以上はユーザーは待ってくれないなど、UX観点でのネガティブ要素が発生してしまいます。
それをネイティブアプリとして作ることで、動作のサクサク感、ヌルヌル感が提供でき、圧倒的にそのサービスへの帰属意識もだいぶ変わりますので、そこはぜひ検討した方がいいと思います。
実際にいつどこから手をつければ良いかなど、弊社へご相談いただければ回答させて頂きます(笑)。
アプリを作ったあとに関して、面白かった事例などあれば教えてください。
JALカード様という日本航空様のクレジットカード運営会社があるのですが、最初はやはり「クレジットカードの明細を見る」というような、Webでもよくある機能を搭載されていました。ただ明細や残高チェックだけに使われるので、月に数回の起動になってしまうんですね。
これを「もうちょっとユーザーとコミュニケーションしたいので、起動回数を増やすためはどうしたらいいか」ということで、あとから搭載した機能になるんですが「マイルがもらえる」というミニゲームを搭載したところ、DAUが爆発的に上昇しましたね(笑)
他にもクレジットカードアプリなのに、ユーザーが頻繁に細かいマイルを貯めてくれて、当然残高チェックもいままで通りにしてくれるということで、起動回数が大幅にアップしたケースもあります。
先ほどのカルビー様の事例も含めて、インセンティブをうまく使うことによって、ユーザーのエンゲージメントを上げていくということでしょうか。
おっしゃる通りですね。
このアプリケーション、貴社のツールを導入するならどんな企業様が一番マッチするでしょうか?
一番得意なのがOMOや、O2O領域と言われるような、いわゆるデジタルとリアルをつなぐところですね。なので小売店、飲食店がお客様では多いのですが、最近は先ほど申し上げたメーカーや、クレジットカードなどの金融系や、自治体など…、「県民、都民とコミュニケーションをとりたい」というような。要するに「C向けにコミュニケーションをとりたいよ」というような方であれば、必ずアプリはマッチするのでぜひご相談いただければと思っています。
例えば、1万人のユーザと向き合うサービス、要はスモールサイズな場合でもこのアプリを導入する必要性はありますか?
必要のない場合も実はあり、ユーザー数が少なすぎる場合がそれに該当します。
ただ購買頻度や単価などが関わってきますので、一概に人数では決められないです。
ですので、そこは具体的にどんなサービスなのかを見てご相談させていただくということが多いですね。
わたしたちは、(アプリをつくる)必要がないと判断した場合「必要ないです」と申し上げます!そこはご安心ください(笑)
困ったときに助ける存在こそがマーケター
最後に、河野さんのお仕事をマーケターという言葉を使わずに再定義すると、どのような言葉になりますか?
わたしは「あなたのヒーロー」という言葉で定義いたしました。
例えばですが、正義の味方ウルトラマンや仮面ライダーと昔からあるヒーローがいると思うのですが、市民がピンチを迎えたときに「助けてー!ウルトラマン!」と叫ぶシーンがありますよね。あれは、ウルトラマンを知っているから、叫んでるんですよ。知らなかったら呼べないですよね(笑)
知らない場合ただの「助けて」になってしまい、その声が届かない可能性があります。そういった場合に「ウルトラマンという正義のヒーローがいるんだ」とみなさんに伝えるのがマーケターですよね。たくさんの人に知っていただくことによって、ヒーローを呼べると。
ですので「あなたのヒーロー」というネーミングにさせていただきました。
困ったときに、「こういうものがあったらいいのにな」の部分の”こういうもの”を具体的に伝えていくということですよね。
そうです!いまピンチとヒーローで表現しましたが、これが何を言ってるかと言いますと、BtoBのビジネスであれば企業が持っているたくさんの課題が「ピンチ」、マーケティングツールやサービスが「ヒーロー」です。
「そんな課題をわれわれが解決しますよ」という「ヒーロー」であるべきだというふうに思っています。