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BtoB Marketing DX Conference 2022 後編 パネルディスカッション

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BtoB Marketing DX Conference 2022:前編 ~BtoBマーケ・セールスの組織力を向上させるDX~

広がるDX格差をどう解決するか

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
八田さんの今のお話の中で、The Modelのパネルの話があって、可視化まではだいぶ進んだところが多いってイメージでしょうか?
それともまだまだ可視化もできていないというイメージでしょうか?

ロケットメイカーズ 八田氏
この点については、DX格差がもろに出ている部分だと思います。
全くわかっていない会社も相当たくさんいますし、やってるところはどんどん進めているので、その差はすごいと思います。

ファシリテーター 伴氏
なるほど!
今可視化できてないところは「可視化できるようにする」というのがスタートラインということですね。

「可視化はしたが使えていない」という話が八田さんからありましたが、それだけではデジタイズで終わってしまってるので、そこからトランスフォーメーションするために、色々な方法で解決しましょうということでしょうか。

ロケットメイカーズ:八田氏
おっしゃる通りです。

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テーマ1 マーケティングーリード獲得はデジタル化でどう変わる?

ファシリテーター 伴氏
八田さんの図をベースに、自社サービスの話でも良いですし、BtoB企業なら「うちの会社はクライアント企業にこうしている」でも良いです。両面からお話ができたらなと思います。

一番初めは「リードの獲得」です。どういうターゲットリストに対してリードを獲得していくのか。育成手前ぐらいまでですね。
八田さんがコンサルなどされてる中での課題は何がありますか。

ロケットメイカーズ 八田氏
私はリードの獲得方法で一番変わったのは、実は地方なんじゃないかと思っています。
昔はデジタル化の優先順位を下げていたと思うのですが、今だとオンラインでリードを獲得するのが当たり前になっています。

ファシリテーター 伴氏
八田さんの図をベースに、自社サービスの話でも良いですし、BtoB企業なら「うちの会社はクライアント企業にこうしている」でも良いです。両面からお話ができたらなと思います。

一番初めは「リードの獲得」です。どういうターゲットリストに対してリードを獲得していくのか。育成手前ぐらいまでですね。
八田さんがコンサルなどされてる中での課題は何がありますか。

ロケットメイカーズ 八田氏
私はリードの獲得方法で一番変わったのは、実は地方なんじゃないかと思っています。
個人的に集客方法なども変わったと思うのですが、日本全国で格差がなくなるほどすごいことだったと思います。

ファシリテーター 伴氏
なるほど。
神田さん、地方のお客さんは増えてますよね。

ヤプリ 神田氏
増えています。
もっと伸ばしていきたいっていう状態ですし、僕らはコロナ前はイベントにずっと注力していたので特にそう感じています。
今のこういったウェビナーとかも含めて、地域関係なく、スピード感をもって獲得できるっていうところはやはり大きいなと思っています。

ファシリテーター 伴氏
山元さん、クラウドサーカスさんの方は、リード獲得は地方も増えてますか?

クラウドサーカス 山元氏
今、47都道府県受注しようというのを個人的に目標としており、今大体32道府県ほどになっています。

展示会の戦略という部分で弊社もブースを大きく出してるのですが、実は最近になってかなりの戦略を立てていて戦術に落としてというのを一部、スライドでご紹介したいと思っています。

トークスクリプトではないですが、商談チームに指示を出し「何分で絶対1回の商談を終わらせてください」であったり「あなたたちは320人の中から選抜された10名なんですよ」という意識を持ってもらいます。

今、コロナの状況でリアルの展示会に足を運ぶ人たちってかなりのホットリードが多いという点もあるので「うちと合わないな」と思ったら、すぐに馴染みのある企業さんを紹介することもしています。

また、自身でブースまで引き連れて行くこともあって、そういった活動に力を入れていると徐々に企業イメージも上がって、そこでのリード獲得に繋がったり、紹介がもらえるようになってきています。
その点で顧客体験を展示会で、直に提供できるのは強みかなと思います。

今、リアルの展示会は顧客が結構戻ってきていて、コロナ前以上の名刺獲得枚数になっています。
そのため、リード獲得としては今後も熱い状況なのかなと考えています。

ファシリテーター 伴氏
なるほど。
BtoCでもそうなんですが「獲得につながったデータ」は取れるけど、「獲得につながっていないデータ」は取れないので、お客さんに直接聞いたりすることが最近は増えていますが、やはり「このジャーニーの中でどこと比較してるか」や「どこの後に行ったからこの提案をしよう」といったことがとても重要度が高いですよね。

では中島さん。御社のイベントの使われ方だったり、動画の使い方だったりとかも含めて、変わってるところなどありますか。

 スプラシア:中島氏
展示会や地方に対するリーチの話が出たので、この資料をご紹介したいと思います。

僕らがやっているイベントの領域だとリアルもオンラインも一緒に提供できる体制を取っていますが「コロナ前から現状までの推移」「どうイベントが移り変わっているか」「どんな状況になっているか」を表しているのがこの図です。

やはり、コロナの前はオフラインが中心で、展示会でリードの獲得をメインにされた企業さんが非常に多かったと思います。
これが緊急事態に入ってオンライン100%になり、今現在コロナが1、2ヶ月前の落ち着きつつある中でハイブリッドなアプローチが非常に増えてきました。

直近では第7波という状況ではありますが、やはりイベントをハイブリッドで考えていくという時代に入ったなと思っています。
ちょっと面白いなと思ったのは、おそらくクラウドサーカスさんもヤプリさんも出展されていたであろうマーケティングウィークの お話です。

直近7月にあったマーケティングウィークの第6回は2万7000人という来場者数が出ています。
推移で見てみると、第3回が緊急事態発令前の頃ぐらいで、いわゆるコロナ以前の数字は2万5000人ですが、第4回は緊急事態発令された中での開となり6400名でした。
ここから徐々にコロナが収まるにつれて、人がどんどん増えてきていて、今はなんとコロナ前よりも増えていると公表されています。

一方でコロナ以前と現在で変わったこととして、
「展示会に人も戻ってきたが、オンラインのイベントにも引き続き集客ができるようになっている」というデータもあります。
つまりイベントのハイブリッド化が進んでいて、おそらく地方リードがどんどんオンラインに集まるようになっているんじゃないかと仮説が立てられると思っています。

マーケティング全体がハイブリッド化していくんじゃないかと私は思っていて、イベントもですが、顧客接点そのものが「リアルもデジタルも含めたコンセプトをどう作っていくか」がすごく大事になっているのかなと思います。

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
八田さん、今、クラウドサーカスもヤプリもSaaS企業なのでDXありきの企業じゃないですか。

八田さんのところだとまだDX以前の企業がある中で、「どれくらいの規模で、どういうところから始めたらいいか」みたいなところをお聞きしたいのですが、その辺で何か勘どころなどはありますか。

ロケットメイカーズ 八田氏
これは大いにありまして、先ほど山元さんが出されたフローチャートは人によっては恐らくドン引きすると思うんですよ。

でも、カスタマージャーニーを学んだ人だったら、検索をした後の方がホットリードであるということはわかるわけです。
だから、すべての人があの図のすべてをわからなくてもいいと思います。

ただ「どこを検索したか」とか「どこを見てきましたか」と聞けば、恐らくできると思うんです。
自分が「物を売りたい」としたら、課題に思っていることを可視化することが重要です。

「こういう経路で来るお客さんは駄目だ」とか「別の経路で来ると買う」とか、その経験値が皆さんあるはずなので、まずはそれを可視化してみる。
そのためには、まずSFAツールを徹底的に入力する。

そうすると、全員肉食型の営業パーソンは入力しなくなることもあるので「一番課題に感じるとこはどこですか?」というところから始めてみるのも良いかもしれません。

ファシリテーター 伴氏
そうですね。
やはり基本的にはヤプリもクラウドサーカスもDX後の企業なので「DXは当たり前の会社」と「これからDX導入する会社」の違いはそこですよね。

中島さん、その辺で御社に依頼する会社はどちらが多いですか?

スプラシア 中島氏
実態でいくとやはり既に経験されているお客さまや、マーケティングに対して意識が高いお客さまが多いです。
ただ一方で中には「これから初めてオンラインイベントに挑戦する」といったお客さまもいらっしゃいますが、はじめの一歩で苦労されているのは、やはり集客の部分です。

自社の単独開催でそんなに人が集められるのか、というところが一番の懸念点だと感じています。
それを「どうやって解決しに行くの?」っていうと、今日のウェビナーもそうですが、やはり自社のみで開催するより、他のパートナーさんと共催していくことによって多くのリードを獲得できたりします。

また展示会においても弊社では共同開催を多くやっていて、パートナーさんを見つけて一緒に出店していくことにより、自社だけだと一コマしか出せないものが4コマで出せたり、いい位置が獲得できて、リードも増やせるといった戦略が取れます。

はじめの一歩としてはこういったコミュニティを作っていくことが大事かなと思っています。

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
宮本さんも今日のイベントの取材も含めて、BtoBの企業は一部商品が被っていて競合のところもありますが、パートナーと組んで分担するというのが結構多いかと思います。

その辺はBLAMでやっているプロジェクトだったりだとか、カイコクで人を起用する部分なども含めて、BtoB同士のパートナーシップについてどう考えてますか?

BLAM 宮本氏
今おっしゃっていただいた通り、非常に重要だと思っています。
追加で申し上げるならば、やはり人を社内に入らせていただいて、色々なツールを使ってDX化を進めていくので「一つのツールで色々なことができます」というよりも「いろんなツールを使っていく形」になっていくと思うんですね。

それを全て一社でということも中々難しいことが多かったり、結局のところ与件化したあとも依頼企業の担当者はご自身で検索するなど競合についても調べるかと思いますので、数を集めたいセミナーにおいては必ずしも競合と一緒に行うデメリットよりもメリットの方が大きい場合もあります。

特にオンラインとかであれば、投資コストっていうところも低く開催できるので、やってみる価値はあるのかなと思います。

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テーマ2 マーケティング・セールスナーチャはデジタル化でどう変わる?

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。では次のテーマにいきましょう。
セールスとかのナーチャリング、特に継続接触リストのような育たなかったリストをどうするかは大きな課題の一つかなと思います。
八田さん、このあたりでDXしてない企業が躓くところをいくつか教えてもらっていいですか。

ロケットメイカーズ:八田氏
継続接触率といえば、さっきの展示会に来た人に「このあと電話でフォローします」と言って、反応が良かったり悪かったりすると思うんです。

これを教科書通りにいくと、「反応が悪ければ継続接触リスト」「良ければ商談化」ということだと思うんですが、ここでさきほど申し上げた「平成の知」とのコラボレーションが重要なんじゃないかと思っています。

ツールにいくら情報が綺麗に入っていたとしても、担当する営業によって、電話口の雰囲気から「商談になるかどうか」の判断は分かる人には分かるし、分からない人には分からない。

そこで、ツール上で判断していくために、昭和・平成の知を活用し、例えば、こういう断られ方をしたらその後「何をしないとか、何をする」っていうのをルール化して「できない営業、センスのない営業」を社内でどう減らしていくか、皆で決めることが大事だと思います。

ファシリテーター:伴氏
ありがとうございます。
では山元さん、今のお話も受けて、先ほどの展示会の図は本当にDXが進んでるからこそ出てくる図だなと僕は思いました。

いろいろPDCAを回して、今いろいろやっている所だと思うのですが
「リードとして育たなかった人たち」をどう再復活させるのかみたいなところで、データの作り方や、データ入力などで何かありますか?

クラウドサーカス 山元氏
ありがとうございます。
そうですね、弊社がDXに成功している企業の一部という自覚は結構あります。

というのも、元々テレアポしていて、8時前に出社して9時前までにリスト作って9時から6時までは「受話器を外すな」というような会社だったんです。

しかし「これじゃ駄目だ」ということで、マーケティングに注力し、今の会社の形態に変化してきました。
「昭和・平成の知」的な取り組み例として、コンサルティングサービスについてお話させていただきます。

比較的価格の高いサービスであるため、当然リードタイムが長くなる傾向にあります。
なので「予算を取らないといけない」というBtoBの大きな課題の一つを解決する必要があります。

そんな時に「一緒に予算を取りに行きますよ」っていう事業計画書と「我々にお金を投資したら何%のROIが生まれますよ」というのをしっかり出した上で進めていきます。

「誰を説得しないといけないのか」というのを細かく理解し、一人一人を説得していくアプローチをとっています。
そのやり方を言語化して、今チーム内で落とし込んでいる状況でもあるのですが、やはり基本的には「誰が意思決定者で、誰が決済者なのか」を把握していきます。
例えばDX化できてないお客様の場合、その意思決定者が社長の奥さんだったりすることもあります。

そういったところを嗅ぎ分けるような人材がいると一番強いのかなと感じます。

ファシリテーター 伴氏
意思決定者は、データとして登録されてる感じですか。

クラウドサーカス 山元氏
SFA上にチェックボックスがあり、意思決定者か否かみたいな確認をするんですけど、それが確実ではないことの方が多いんです。

決裁権はありますかとストレートに聞いて「あります」と言っても、見積もりを出したら「この値段だと決裁権は自分にはないです」というようなことが結構あるんです。

一応はデータとして管理していて「どのタイミングで意思決定者と繋がったのか」「その意思決定者は他のベンダーの話を聞いてるのか」というデータを取っています。

競合他社やコンペティターが、次に接触するまでに僕らは3回以上接触するようにしています。
そういうことまで可視化すると、「あの人は話聞いてくれる」っていうふうに腰を上げてくれる方の方が多いです。

ファシリテーター 伴氏
なるほど。ありがとうございます。
中島さん、最終的に4万人のリードがあり、そこから色々な動画を見てもらうというのは、やはり「クリエイティブの力ってすごい強いな」と思ったのですが、見続けてもらう仕組みで、何か参考になるものはありますか?

スプラシア 中島氏
見続けてもらう仕組みというか接点の回数を作っていくためには、コンテンツの量と接触するタイミングや頻度が問題だと思っています。

コンテンツの量では、やはり動画の尺を長く取り過ぎないことが大切です。
他にもナーチャリングプロセスを実行する中で見込み顧客との接触頻度を多く取っていくことも必要で、その為にはコンテンツをたくさん作る必要があります。

その際、フロー型のコンテンツだけでは効率が悪いと思っています。

今日のセミナーも、どちらかというとフロー型に当てはまると思っています。

頻度高くお客さんに接していく時にコンテンツをバンバン作っても賞味期限はあるので、やはり企業として「ストック型コンテンツをどれだけ増やせるか」がポイントだと思っています。

実際、先ほどのSky様のコンテンツも、全体で資料を合わせて500以上になるんですけど、ほとんどのコンテンツはこのストック型のコンテンツだったりします。

なので常に日々日頃、こういったストック型のコンテンツを短尺でわかりやすい小冊子のように多く作っていけるかどうか、というのがコンテンツの制作効率を上げていく一つの鍵かなと思っています。

ファシリテーター 伴氏
なるほど。
ホワイトペーパーとかもストックヤードとして作って使ってるといったところでしょうか。

スプラシア 中島氏
そうですね。

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
神田さん、ヤプリの場合、リード育成や商談で「駄目になった・断られた理由」というのがあって、SaaSの製品改善につながる部分もあると思いますが、その辺りをどういう風にコントロールしていますか?

ヤプリ 神田氏
僕らはSFAにて「よくある断られた理由」と「失注理由」を分けています。
インサイドセールスで断られたものと、フィールドセールスで失注になった要因とを二つに分けて考えているんですね。

それぞれ何が足りなかったのか、単純に金額や時期要因、一般的なセールスをしていく上で「大きな要因」「何が足らないのか」というところから製品の開発現場にフィードバックをします。

大体Qに1回ぐらい、全社で開発を何を優先的に進めていくかっていうところを企画会議しています。
ヤプリではリアルタイムに改修や新機能としてリリースができるので、それを改めてPRし、機能不足が原因で失注した企業に再アプローチをしています。

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
宮本さん「MAを使うとか」「分析するとか」は自社でなかなかできないところが多いかなと思うんですけど、このあたりでうまくいっている事例などはありますか?

BLAM 宮本氏
実際そういったご相談をいただく事例は多くあります。
上手くいっている事例としては上流から再設計するやり方です。

具体的な状態として「DX化のためにとりあえずツールを入れました。
ただ入れただけになっていてそこから先には進められていません。」というような導入はしたものの、社内で利用推進できていないケースが多い印象です。

この場合、いきなり導入や活用を推進することももちろんできますが、弊社では「なんのために」と「結果どのようなメリットがもたらされるのか」など、より上流部分の共通認識を社内で共通認識が持てるような取り組みから支援しています。
つまり例えば「CRM領域をどうしていくか戦略から考えていきましょう」のような戦略から支援します。

そこまで上流から整理できると導入や活用のタスクを切り出しやすくなるため、社外への依頼もしやすくなります。
弊社の支援でいうならばカイコクの複業人材を起用し、費用対効果の高い取り組みができています。

当たり前ではありますが、共通認識が持てているため、社内での活用推進もスムーズです。

ファシリテーター 伴氏
なるほど。ありがとうございました。

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テーマ3 カスタマーサクセス・クロスセル・アップセルはデジタル化でどう変わる?

ファシリテーター 伴氏
3番目、カスタマーサクセスですね。
八田さん、カスタマーサクセスの課題について、何かありますか?

ロケットメイカーズ 八田氏
そうですね。
カスタマーサクセスは、10年前これが一番なかった概念だと思います。
一番変わったのですが、やることは意外と泥臭い。

しかも、ツールでやるというより、先ほど言った昔のお客さんのことを分かっている人がいかに聞くかというのがすごく大事なのです。

売る方は意外と簡単に売れていくんでしょうけど、導入が決まった後とか、その後のオンボーディングのタイミングで「どういうヒアリングをするか」が大きな課題かなと個人的に思っています。

ファシリテーター 伴氏
ヤプリはカスタマーサクセスが強いという話が出ていますが、
カスタマーサクセスは「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」といったように
「人が対応するのか」「テクノロジーをうまく使うのか」というバランスが必要だと思いますが、うまくいくポイントなどはありますか?

ヤプリ 神田氏
うちのカスタマーサクセス部門の体制をざっくり話すと、Tierごとに対応を決定していて、それに応じてアプローチの方法を分けてます。
やはり八田さんがおっしゃったように、全社でその意識を持ってるかどうかというのはとても大事だと思っています。

やはりセールス側が売ってくればOKと考えている場合、やはりすぐ解約につながってしまいますし、それは一番避けたいところです。

全体認識を持ってカスタマーサクセスで何ができるか、というところのすり合わせを年に1回、イベントを課してみんなで考えています。

自分たちの部門でどういうところがカスタマーサクセスとして効果的なのか、お客さんのために本当に役立つものかを考える場を継続的に実施しています。

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
山元さん、チャーンを防ぐことも重要ですが、クロスセルをやっていくことも必要じゃないですか。
そのあたりのタイミングとか、何か狙いどころってあったりするんですか。

クラウドサーカス 山元氏
ありがとうございます。
先に、これはやらない方がよかったということがあります。

元々弊社はヘルススコアを徹底的につけていて、Salesforce側で全部管理していたのですが、管理コストの方がかかってしまい、やめることになりました。
シンプルにカスタマーサクセスはアップセル・クロスセルという方法に全て振り切っています。

カスタマーサクセスはコストセンターみたいなイメージを持っている企業もあると思いますが、弊社に関しては11個SaaSがあるのでクロスセルができる状況です。

月1で全顧客に訪問を入れたり、2ヶ月に1回訪問を入れてそのタイミングで状況のヒアリングをしています。

人員比率としてもクラウドサーカス全体の60パーセントがカスタマーサクセス人員です。

ファシリテーター 伴氏
なるほど。御社のようなSaaSですと継続率が重要ですもんね。

クラウドサーカス 山元氏
そうですね。
本当にこれないと売り上げ立たないみたいな状況っていうのがありますね。

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
宮本さん、全体を通して「どういうところが大事」で「どう外部に依頼したらいいか」みたいなところを最後一言いただけますか。

BLAM 宮本氏
マーケティングDXに関連するツールは多種多様であります。
先ほどの事例でも触れましたが、そうすると「とりあえずツールを入れたことがDX」という企業も多かったりするので「目的は何か」というところを明確にしていただきたいと思います。

その上で「デジタルだったらこれできる」という知見のある方が人材を入れてみて、そこから一緒にやっていきながら、やることを整理していくと良いと思います。

その前提で実際にツールを使ってみると、どんどんできることがわかり、やれることも増えていくので、運用をできる状態をまず作っていくところが重要だと思います。

ファシリテーター 伴氏
ありがとうございます。
八田さん最後の締めの言葉をお願いします。

ロケットメイカーズ 八田氏
今日お集まりいただいているのは、これからBtoBマーケティングをDXしていきたいと思っている皆さんだと思っています。

まずは、自社として「やりたいことってなんだっけ」「解決したいことはなんだっけ」「顧客の体験をどう変えたいのか」ということをまず言語化した方が良いと思っています。

その先に、どのツールで解決するかというのがあるので、この順番を間違えると、宮本さんがおっしゃっているような問題になります。
ですので、課題を社内でアジェンダ化するということが一番大事かなと思います。

司会進行 中島氏
ありがとうございました。
本日ご登壇いただいた皆様そして、ファシリテーターの伴さんもありがとうございました。

このようなイベントであったりウェビナー形式の企画というところは我々BLAMだけに限らず、今回ご登壇いただいた企業さまもされていらっしゃると思います。

ぜひ興味があるテーマがございましたら今後もご参加をしていただけますと幸いです。
本日はこちらで以上とさせていただきます。改めてありがとうございました。

アーカイブ動画はこちら
https://blam.co.jp/events/1O9ylgToZCA0GCk8iTROOe

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BtoB Marketing DX Conference 2022 前編 ~BtoBマーケ・セールスの組織力を向上させるDX~

登壇者プロフィール

伴 大二郎 :合同会社db-lab 代表/CEO
      株式会社ヤプリ エグゼクティブスペシャリスト
      株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー
      KAIKOKU SPECIAL COACH

八田 浩  :株式会社ロケットメイカーズ 代表取締役社長
中島 優太 :株式会社スプラシア 代表取締役社長
山元 ほるん:クラウドサーカス株式会社
      グロースマーケティンググループ1課
      コンサルタントマネージャー兼セールスディレクター
神田 静麻 :株式会社ヤプリ マーケティング本部
宮本 舜  :株式会社BLAM 執行役員 兼 社長室室長

セミナー概要

ビジネスを取り巻くさまざまな環境が変化し、デジタル活用や事業・組織の変革が求められ、営業活動の大きな見直しが必要な時代に突入しています。
あらゆる分野でデジタルの活用が急速に進む中、営業やマーケティングにおいてもオンライン化や働き方の変化が起こり、デジタルツールを導入する企業が増えてきています。

一方でデジタルツールを導入したものの、「上手く活用できていない」「売上貢献に繋がっているか分からない」など、苦戦されているお声を多く伺います。

本カンファレンスではマーケティング/セールスファネルの各領域において、DX支援サービスを展開している「DX最前線のプロフェッショナル」をお招きし、最新情報やトピックスについてパネルディスカッション形式で議論します。

マーケティング・セールス領域への取り組みを強化し、さらなる成長を狙う企業のご担当者さまはぜひ参考にしていただけますと幸いです。

マーケティングの課題解決ができる!

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冒頭・開催背景

司会進行 中島
本日はお忙しい中ご参加をいただきまして誠にありがとうございます。
私は普段はBtoB企業様を中心にマーケティングの戦略立案、各種施策の実行面をサポートさせていただいております。

タイトルにもあります通り「BtoBマーケティングDXカンファレンス2022〜BtoBマーケ・セールスの組織力を向上させるDX~」というテーマでマーケティングDX領域のプロフェッショナルな方々を本日お招きして、こちらのカンファレンスを進行していきたいと思っております。

今回のカンファレンスの開催背景を説明させていただきます。

BLAM 加藤
皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
現在BLAMではマーケティング領域のDX化を支援する「マーケティングDX部」の部長を務めています。

DXに関する現状の二つの調査

BLAM 加藤
さて本日のセミナーの背景を簡単にお話させていただきます。
これら、DXに関する現状の二つの調査を示しております。

左側がPwCコンサルティング合同会社が行った調査となっており、いわゆる大企業でのDXの取り組み状況を表しています。

今、DXに関する取り組み状況は、60%近くの企業が経営戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいると回答しています。
また、その中で10%近くの企業が十分な成果が出ており、55%近くの企業様は何かしらの成果が出ていると回答しています。

中小企業はDX化が進んでおらず格差が生まれている

BLAM 加藤
一方、右側の円グラフは独立行政法人中小企業基盤整備機構の行った調査であり、いわゆる中小企業を中心としたDXに関する取り組み状況を表していますが、
「既に取り組んでいる・取り組みを検討している」という企業を合わせても約2割程度で、逆に約4割の企業様が取り組む予定はないと回答しております。

ここから言えることとして「大企業と中小企業ではDX格差が生じている」ということです。
では、こういったDX格差はなぜ発生するのでしょうか?
弊としても中小企業のDXを支援することが多く、その経験からしても、その回答を一言で表すならば「本当に売り上げに繋がるのか?」が重要な要素の一つであると考えております。

デジタイデーションとデジタライゼーション

BLAM 加藤
ここで皆さん、デジタイデーションとデジタライゼーションという言葉は聞いたことありますでしょうか?
簡単にお伝えすると「DX」、右上のデジタルトランスフォーメーションに至るまでの、デジタル化のフェーズ分けというようなイメージを持っていただければと思います。

今現時点で「DX推進している、成果が出ている」としている企業の多くがデジタイゼーションで止まっており、デジタルトランスフォーメーションはもちろん、デジタライゼーションにも至れていない企業の方が多い印象です。
もちろんデジタイゼーション自体に意味はあるのですが、それだけでは真の意味でのDX推進の意義というものは、なかなか見出しにくい状況となっています。

つまり先ほどの問いにあった通り、売り上げや業績に本当に繋がるのかという問いに、なかなか回答できない部分かなと考えております。

マーケティングDXで競合優位性を

BLAM 加藤
我々はマーケティングDXという言い方で、この図の濃い青い部分について、営業でしたりとかマーケティングのデジタル化を中心に支援させていただいております。

これらの領域は他の領域と比較して、取り組みの難易度が高く、なかなか踏み出せずにいる企業が多いです。
一方、そのハードルがあるがゆえに、確立できることによる競合優位性への寄与度は高い領域でもあります。

マーケティングDXの目的としては、デジタル化をしている顧客への提供価値を高めてデジタルを活用して売り上げを向上させていくことです。

今日はそういった領域で支援されてる企業の皆様をお招きしてお話をさせていただきます。この機会を通じて何か一つでもイメージできるヒントとなりましたら幸いです。

司会進行 中島
加藤さんありがとうございました。
では次のセッションに移りまして、ここからキーノート、そしてパネルディスカッションの方に進んでいきます。

本日ファシリテーターを務めていただきますのは、カイコクスペシャルコーチにも就任をいただいております伴大二郎さまです。
それでは改めて伴さまよろしくお願いいたします。

ファシリテーター 伴氏 
カイコクスペシャルコーチという形でBLAMさんのお仕事もお手伝いさせていただいております。
また、今日登壇しているヤプリで正社員として働きながら、起業もしており、色々な形で様々な仕事をさせていただいております。

私個人として得意領域はBtoBではなくてBtoCのDX支援になります。
そのため、わたし自身もご参加いただいている方々と一緒に学びたいと思っておりますので、代弁して色々と質問していきたいと思っています。
ただし、BtoCのDXでも同じようなところ、特に考え方は近しかったり、BtoCの方が進んでいたりもしますので、その辺だけ少しお話をさせていただいて、この後のキーノートに繋げたいなと思っております。

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DXによって「働き方・人の役割が変化する」ことが大切

ファシリテーター 伴氏
DXは分解すると、デジタルとトランスフォーメーションですが、やはり大事なのは「トランスフォーメーション」の方です。

デジタルの広告、SNSも大事なのですが、それよりもKPIがどう変わるのか、人の働き方がどう変わるのか、そして役割がどう変わるのかっていうところです。

特にこの中で海外の企業は非常にDXを進めた企業が多いのですが、何が一番変わったかというのが、稟議のスピードや判断するスピードです。

デジタル云々の話もありつつ、DXという中で組織の判断スピードなどを早めていかなければいけないというのが、一つ大きなポイントかなと思います。

その上でデジタルが得意なことっていうのは「脱属人化」です。
BtoBの営業も特に属人化していて「売る営業パーソン」と「売れない営業パーソン」が出てきたりもするのですが、脱属人化のためにデジタルを使うことで、今度はやりがいがなくなって来たりします。

「人」の価値の見直しながら、やりがいがある脱属人化ができる状況を作っていかなければなりません。
この辺りはキーノートにて八田さんからご説明もあると思います。
八田さんよろしくお願いします。

ロケットメイカーズ 八田氏
ロケットメイカーズの八田と申します。よろしくお願いします。

ロケットメーカーズ 八田 浩

私は2001年に証券会社でBtoCの営業としてキャリアをスタートさせて、その後2004年からデジタルマーケティングのオプトという会社に入りました。

前半が営業パーソン、後半が営業パーソンに「何を売ってもらうか」ということがテーマとしてありました。
今回のテーマであるBtoBマーケティングに関しては、後ほどスライドでも申し上げますが、先ほど伴さんもおっしゃった通り、非常に遅れている分野だったと思います。

逆に、この10年で一気に進化した部分でもあります。ですのでそこのあたり専門家の皆さんにぜひ細かいところは聞いていただければと思っております。

DXは「平成の知」と「令和の知」の掛け算

ロケットメイカーズ 八田氏
本日のメインテーマは「BtoBマーケティング&セールスデジタル化のお悩み解決」と私の方ではテーマを解釈しております。

DXというと「デジタルなツールを入れなければならない」と一般的に考えると思いますが当然そうではありません。
どちらかというと「昭和・平成の知(アナログ)」と「令和の知(デジタル)」を掛け算をすることが、DXに向かっていくことの一つなんじゃないかなと思っています。

先ほど伴さんからのお話にもあった通り、BtoCは非常にDX化が進んでおり、BtoBは約25年遅れているという論文もあります。
また、近年では顧客の行動変化により、営業に会うまでに57%の購買プロセスが完了しているという研究結果もあります。
これは一つのデータとして顧客の行動変化が起きている証拠と言えるでしょう。

さらに、労働集約モデルからの脱却も起きています。
営業職が急減し、営業事務が急増しているというデータもあります。
この辺りを詳しくお話していきたいなと思っています。

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BtoBマーケティングの3つの転換期

1.BtoBマーケティングはBtoCよりも後回しになっていた

ロケットメイカーズ 八田氏
一つ目ですね。
2014年に出ているストラテジーandトレンドinBtoBビジネスという論文があります。
そこには「BtoBマーケティングはBtoCよりも後回しになっていた」とここに明確に書かれています。

1970年代に既に25年遅れであると研究がされています。
ただし、2014年段階ですが、マーケティング専攻の学生の半分はBtoBを今は先行しているそうです。

これはアメリカの話ですが日本では状況が異なり、BtoBマーケティングDX化が明確に遅れていることを認識する必要があります。

一方で、日本でも非常にこれから伸びていく分野だということも言えると思います。

2.営業に会うまでに57%の購買プロセスが完了している

ロケットメイカーズ 八田氏
続いて二つ目の「営業に会うまでに57%の購買プロセスが完了している」についてです。
2011年に出ている顧客の行動変化に関するリサーチ結果です。

例えばですが、営業パーソンに相談する前に、検索してツールを比較したり仕入れ先を探すとか、購買行動をする際にBtoCよりも、ウェブ上の行動の方が多くなってるという点です。

「顧客の行動が分かるようになっている」というのがこの結果からも言えるかと思います。
そして、顧客はサプライヤーとの商談を遅らせることを選択しているとも言えます。

昭和、平成の世の中で営業パーソンとして成果を上げてきた人は顧客にアポを取って
「うちの商品を説明させてください」ってのを当然のようにやっていたと思います。

しかし今は、例えばSaaSのツールであればいろんなツールを検討して「よしこれにしよう!」という段階で問い合わせをして、営業パーソンとの面談に望むということがあります。
そのため、営業に合う前に57%の購買行動が終わっているという事実があるということです。

3.労働集約モデルからの脱却

ロケットメイカーズ 八田氏
三つ目は「労働集約モデルからの脱却」についてです。
これは日本のデータです。
この15年間で130万人の営業パーソンが消滅したという記事があります。
左端の1955年(昭和)から営業パーソンの数は増えてくるのですが、2000年代を境に急激に落ちています。

生産人口が減っていることも当然あるのですが、流通構造の変化、いわゆるインターネットが進化したことが大きな要因と言えます。

アウトバウンドからインバウンドへの移行

それから、アウトバウンドからインバウンドへの移行も大きな要因と言えるでしょう。
アウトバウンドは「営業パーソンが顧客に連絡をしてアポを取りに行く」といった営業活動を行いますが、今はどちらかというと「問い合わせが来てから説明しにいく」といったインバウンドが主流となっています。

つまりお客さんの気持ちが高まってから説明しに行くことが、ウェブの発達によりできるようになってきました。

営業事務職の増加

続いて営業事務職の増加も営業パーソンが消滅した要因の一つです。
いわゆる一般的に言うインサイドセールスみたいなものを想像しているのですが、約15年で52万人から70万人に増えており、実感値としてもかなり増えていると感じます。

こういった行動の変化により、労働集約モデルからかなり変化してきているという事実があります。
ですので、BtoB営業におけるマーケと営業のDXというのは冒頭の加藤さんのお話でもありました通り「一番右上に属している」とても難しい分野の一つなんじゃないかなと思っています。

新しいやり方・ツールを取り入れる難しさ

それからもう一つ個人的に思うのは、今の経営層は「昭和・平成」のやり方で成功した人達ですから、新しいやり方を受け入れづらいということもあるでしょう。

仮に、現場から「デジタルのツールを入れてBtoBの営業を変えましょう!」と言ったところで「ふざけんな!今すぐアポ取って顧客んとこに行け!」みたいなことになってしまいがちです。それがDX格差の一つにもなってると思います。

そういった難しさはもちろんあるのですが、一つ一つ紐解いていくと、そんなに恐れるほどでもないのかなと個人的には思っています。

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BtoBのマーケティングの変化と進化

BtoBマーケの専門家の増加

ロケットメイカーズ 八田氏
アカデミックの世界でも、BtoBマーケの専門家がとても増えたと感じています。
この後お話しますが、いわゆるBtoBのマーケティングのモデルというのがある程度、確立されてきたなと思っています。

当然そこに問題点はいろいろ孕んでいるのですが、アカデミックな人たちが増えたことによって、やりやすさが増したんじゃないかなと、個人的には思っています。

顧客の行動分析

それから顧客の行動が分かるようになった。
これはもうツールの話でいいかなと思っていますが、最適なツールが昔より安く・安価に投入することができるようになっています。
それにより顧客の行動がよくわかるようになってきました。

57%の購買行動のプロセスが、手に取るようにわかるので、これは明らかに10年前よりもやりやすくなっていると思います。

人海戦術が通用しなくなった

営業パーソンの人海戦術が通用しなくなったということです。
ここは分業もありますし、組織全体として解決していけるんじゃないかなと思っております。

それから、これは先ほど申し上げた「モデル」の話です。
「リストの抽出から受注、継続取引に至る」いわゆる「The Model」と言われているようなBtoBのマーケティングモデルがあります。

「継続接触リストボックス」について

今回、最後に申し上げたいのはこの「継続接触リストボックス」についてです。
当然、左から右に、例えばリストの段階で1万社あったとします。
でも、リード獲得できたのは1000社で、そこから商談になったのが100社で、受注が10社、と当然減っていきます。

基本的には、その数がどんどん減っていったのがこの継続接触リストになっていくわけですが、ここに色々な問題があります。

例えば、「SFAやCRMツールを導入したがうまく社内で機能しない」といったことです。
ツールを入れただけでは当然そうなるのですが、これをどうやって解決させていくのかというところが非常に重要になってきます。

SFA・CRMツール導入の障害・課題

営業パーソンがツールの導入を面倒がる

営業パーソンがSFAツールの入力を面倒がる。これは「昭和・平成」型の属人営業がよく陥るパターンです。

新しいツールを導入するには少なくとも一定の学習コストが発生するので、そこを嫌がる営業パーソンは多いです。
また、単純に入力に時間も取られるので、営業パーソンとしては「そんな時間があれば1件でもアポをしたい」というのが本音でしょう。
こういった背景からSFAツールを導入しても「入力しない」といったことが起こります。

ツール導入の有効性が見えない

SFAの入力をきちんと行うが、突破力が上がらないので左から右になかなか流れていかないという問題です。

私は肉食型と草食型と分類しており、これも解決する方法は色々なところで語られてきていますが、例えば肉食型であれば「この入力をすることによって自分の成績が上がる」ということをいかに感じてもらうかだと思います。

それから草食型に関して言うと、共有と集合知と私は名付けてますが、結果を出すアイディアを貯めておくツールと伝えます。

例えば「アポ率が高まる」「商談化率が高まる」「受注率が高まる」などです。
そういったアイディアを皆で共有してアクションをルール化することで成果につながると伝えればよいのです。

取引ステージの進行と管理

これはツールの進化によって、かなりできるようになったと考えています。
それでこのリストの抽出からリードの獲得など、それぞれの取引のステージにおいて進行していくときに、この赤い点線があるのですが、ここにやはり営業やマーケのドラマがあるのです。

「ただのリストから、リードになる瞬間」「リードから商談になる瞬間」というのはSFAツールに入力するとすごく楽しい瞬間ですが、ここを突破するためにはやはりツールだけでは解決できません。

昭和・平成の集合知みたいなものが非常に重要になってくると思っていますし、これは組織で十分解決できる問題だと思っています。
これはツールの進化によって、かなりできるようになったと考えています。

それでこのリストの抽出からリードの獲得など、それぞれの取引のステージにおいて進行していくときに、この赤い点線があるのですが、ここにやはり営業やマーケのドラマがあるのです。

「ただのリストから、リードになる瞬間」「リードから商談になる瞬間」というのはSFAツールに入力するとすごく楽しい瞬間ですが、ここを突破するためにはやはりツールだけでは解決できません。

今日この後、この解決策についてはパネルディスカッションの皆さんから、おそらく素晴らしい解決策がたくさん聞けると思います。

私のキーノートのパートでは「平成の知と令和の知というのを掛け算する」これをDXのミソとしていきたいと思っております。

後編はこちらから

後編はこちらから
BtoB Marketing DX Conference 2022:後編 パネルディスカッション

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【BtoB向け】BtoB領域におけるマーケティングオートメーションの役割と導入・活用におけるポイント

マーケティングオートメーション(Marketing Antomation=以下MA)ツールとは、マーケティング活動をテクノロジーにより自動化・可視化し、ユーザーの獲得・育成に向けた適切なアプローチを実現するツールのことです。

MAについて詳しく知りたいと思った方は、こちらの記事をご覧ください。
マーケティングオートメーションとは?検討する前に知っておくべきポイントを解説


目次



それではBtoB向けのMAツールとは、どのようなものを指すのでしょうか?
提供しているサービスにもよりますが、BtoBの特徴としては一般的に以下のようなものが挙げられます。

  • ・ターゲットが限定的である
  • ・念入りに情報収集をしている
  • ・購入を決断するまでの期間やプロセスが長い
  • ・決裁に関わる人の数が多い

このような特徴から、BtoBにおけるMAツールでは特に、

  • ・セールスサイドとの連携のしやすさ
  • ・ナーチャリングのための充実した機能
  • ・スコアリングの自由度・取得できるデータの自由度

が重要となります。

BtoBにおけるMAツールの役割

BtoBにおけるMAツールの役割は、大きく分けると次の3つです。

1.行動データ取得の自動化

見込み顧客の自社との接点データを個人情報と自動で紐づけし、行動データとして取得できます。これにより商談につながった企業の情報や繋がらなかった企業の情報を把握でき、マーケティング施策を最適化できます。

2.データ管理の自動化

日々複雑化するデータの自動統合・名寄せができるようになり、見込み顧客に関する情報や仮説がさらに確かなものになります。

3.マーケティング活動の効率化と自動化

ある行動から次のアクションへと誘導するシナリオ実行そのものを自動化することができます。例えば個別の見込み顧客の興味や関心の度合いに応じ、カスタマージャーニーを設計することが可能です。

MAを自社のマーケティングに活用することにより、高い成果を上げられる可能性を秘めています。

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BtoBにおけるMAツール導入・活用のポイント

MAツールは導入したから効果が出る、ということはなく、意図を持った設計と回し続ける運用を行えないとコストばかりがかさむだけのものになってしまいます。

特にBtoBではセールスへ有効なリードを供給することがマーケティング領域の最も重要なKPIのひとつになると思いますが、それを達成するための施策の優先順位は事業フェーズや組織によって変わってきます。

これからマーケティングに取り組み始めるというフェーズであれば、MAツールの導入は比較的スムーズに進めることができると思います。

既にマーケティングの取り組みを行っている場合、それらの取り組みとこれから目指す像に対して、MAツールをどのように融合させていくと最適な状態になるかを見据えて設計する必要があります。

もう少し具体的に前章でお伝えした役割をベースに検討項目を記載します。

1.行動データ取得の自動化

  • ・どのようなアクションデータを計測するべきか
  • ・セールス側との連携はどうするか など

2.データ管理の自動化

  • ・リード情報としてのどうような項目を用意するべきか
  • ・セールス側との連携はどうするか など

3.マーケティング活動の効率化と自動化

  • ・スコアをどのように定義するか
  • ・そもそも何のマーケティング活動を効率化するか など

記載のような観点の整理に加えて、ツールそのものの学習も必要になってきます。

MAツールも進化が進み、どのツールも多くの機能を有しています。それを全て理解するだけでも一定の学習コストがかかることになると思います。

また上記の観点にも記載しましたが、BtoBの特性上セールスとマーケティングは密接に連動するため、セールス側の動きを加味した設計を行う必要があります。

現在はセールス側の管理を行うセールスフォースオートメーション(Sales Force Automation=以下SFA)ツールとの連携も重要であり、MAとSFAが一体となったツールも多く存在するため、それも含めた学習が必要なケースもあります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

MAツールは魔法の杖ではない、ということを念頭におき、しっかりと設計を行った上で導入を検討していきましょう。

あらゆるマーケティング業務を自動化できる印象を持ってしまいやすいですが、効率や生産性を高めるためのツールです。

「本当に今必要なのか」「自社に必要なのか」という観点も持ち、無料トライアルなどを活用しながら、担当者が実際に操作性を確認してから導入を検討しましょう。

導入ツールを決定した後に自社で設計、学習、導入を行うのが難しい場合もあるかと思います。

導入したツールのカスタマーサポートや導入支援会社に依頼するという選択肢もありますが、MAツールに精通した複業の方にサポートを依頼するという選択肢もあります。

保育施設の集客・採用強化のためのMAツール設計および活用支援事例

カイコクではマーケティングに精通した事務局のサポートを受けつつ、複業の方にご依頼をすることができます。挙げさせて頂いた他の選択肢よりコストパフォーマンス良くサポート頂けるケースもありますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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顧客満足度(CS)向上が企業価値を劇的に変化させる|CSを高める具体策とは?

顧客満足度(Customer Satisfaction)とは?

顧客満足度(Customer Satisfaction)とは、各企業が提供するサービスや商品によって、顧客に満足してもらうことを目的とした概念のことです。一般的には「CS」と呼ばれています。

マーケティング活動においてのCSの役割

経営学者であるピーター・ドラッカーは「顧客は、満足を買っている」という言葉を残しており、顧客が製品やサービスを購入するのは、あくまでも満足感を得るための手段にすぎないといいます。

したがって、店舗や企業が集客を目指す際には、提供側の目線ではなく何よりも顧客目線でマーケティングをする必要があります。なので、顧客満足度はマーケティングの成功を図る一つの指標ともいえます。

また、顧客のアンケートやレビューを元に商品やサービスを企画することもあることから、顧客満足度データは企業にとって欠かせないものになっています。つまり、顧客満足度は店舗や企業の売上と密接な関係を持っているデータなのです。顧客満足度の向上=売上げアップという利益を企業にもたらすといえるでしょう。

CSを向上させる3つのメリットと施策

リピーターが増えて売上に好影響も

顧客満足度が高まると、店舗や企業のリピーターが増えていきます。

皆さんもお気に入りのお店やサービスが絶対に1つはあると思いますが、いいサービスを提供する企業や店舗は、人はやはり何回も利用したくなるのです。

リピート回数が増えた結果、1人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の額が変わるので、売上向上に影響するといえるのです。ちなみに、その利益額を「生涯顧客価値」と呼びます。英語では「Life Time Value」、略して「LTV」と称されています。

リピーターの利用頻度が高まると当然、客単価が上がりますよね。特定の店舗をひいきにしてこなかった浮遊客も固定客に変わっていくため、売上に好影響が出ます。これまではライバル社の商品も購入していた顧客が、以降自社でしか買い物をしなくなることもありえます。

<施策例>

・アンケートの活用

サービスの顧客の意見を把握するためには、アンケートの実施はまず検討すべきことでしょう。提供しているサービスの改善のためのきっかけなど、アンケートによってユーザーの意見を集めるすることで、これまで不明確だったサービス改善点や評価されているところなどがわかります。
Google フォームであれば、Googleアカウントを持っていれば簡単にアンケート作成が可能です。また、送信されたアンケート結果がそのままスプレッドシートに反映されることから、集計作業も非常に楽になるでしょう。

・CSについての社員教育

従業員の顧客志向(CSマインド)を向上させるために、社員の段階に合わせて適切な教育を行うことも効果的です。 
例えば、新入社員向けには外部の講師を呼んで初級者レベルの教育を、中堅従業員向けには実際に寄せられた顧客の声から、課題とその解決方法を考える教育を実施するなど。

・顧客への継続的なアプローチ

顧客の詳細情報を可能な限り掴み、独自のアプローチを仕掛けるのはCS向上に繋がります。
顧客の誕生日にバースデーメールを送付したり、用件がなくとも電話やメールで連絡を取り合うなど行い、自社の介在余地を探ることも大切です。

②「口コミによる新規顧客獲得の増加」

McKinsey&Company社の『A new way to measure word-of-mouth marketing』(2010)によると、「口コミは購買の意思決定に影響を与える要因のうち20~50%を占めており、特に初めて商品を購入する際や、高価なものを買うときには口コミが強く影響する傾向にある」とされています。

顧客満足度が上がることで、「良いものを周りの人に知ってほしい」というシェアしたくなる人間の心理が働き口コミが誘発されるので、顧客獲得コストを抑えて新規客を獲得することが可能です。

<施策例>

・既存顧客に感動体験を与える瞬間を作る

顧客の期待を大きく上回る瞬間を作ることは、口コミの誘発に大きく貢献します。身近な例をあげるとディズニーランド(遊園地)やリッツカールトン(ホテル)がそれに該当します。顧客に感動を与えることは、他の施策に比べ難易度が高い分、効果が大きいと言われています。

・商品・サービスの質をチェックする

一時的に新規顧客が増えても、商品やサービスの質が落ちてしまってはすぐに消費者は離れていくでしょう。
顧客満足度を意識しながら経営することで商品やサービスのクオリティは保たれ、安定した売上につながります。
常に企業や店舗が成長し続けていくには、顧客の需要に応える経営が必須なのです。

③「企業の収益性向上」

顧客満足度の向上によって既存顧客のリピート率(LTV)が高まり、コストを抑えた新規顧客獲得ができる(口コミ増加)ようになります。
その結果、企業の収益性を大きく高めることにもつながるのです。

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CSの改善は企業価値の向上に繋がる

CS向上に成功した実例

1.ソニー損保

ソニー損保では、それぞれの担当部署ごとに顧客サポートを行ってきましたが、2015 年からは本格的に顧客満足度を向上させるために、部署を横断できる仕組みとして「CX デザイン部」を創設しています。これにより顧客サポートが会社全体で最適化され、顧客満足度が向上しています。

※参考:自動車保険契約者満足度、ソニー損保がダイレクト系トップ…JDパワー

2.リッツ・カールトン

ザ・リッツ・カールトン大阪では、他ホテルとの差別化を図るために、4,000 人の応募者の中から厳選した 600 人に入念なトレーニングを実施しています。従業員一人一人がそれぞれその業務で最適なサービスを行えるようになりました。

※参考:ザ・リッツ・カールトンに学ぶ「ブランド体験」とは

3.セイコーマート

北海道を主戦場にしているセイコーマートは、大手コンビニを抑えて顧客満足度アンケート4年連続1位に輝いたこともあるグループです。

セイコーマートの特徴は、北海道民の心情に寄り添う地域密着の経営を行っている点でしょう。セイコーマートは、ライバル店が撤退するような過疎地であっても出店を続けてきました。あくまでも地元に根づく姿勢を見せることで、北海道民からの信頼を得るに至ったのです。

※参考:日本版顧客満足度指数/コンビニは、4年連続「セイコーマート」1位に

CSのこれから

1.顧客満足度は「大満足」でなければいけない

下図をご覧ください。これは、顧客満足度とリピートの可能性について相関関係を調査した結果をグラフ化したものです。

引用:Albrecht, K. & Zenke, R. (1990), ʻService America in the new economyʼ, McGrawHill, NY.(カール・アルブレヒト/ロンゼン ケ著 和田正春訳、2003. サービス・マネジメント、ダイヤモンド社。)

この結果からわかることは、「リピートを得るためには、大満足あるのみ」ということです。つまり、リピートを増やすための顧客満足向上の取り組みであるならば「そこそこの満足を目指してはダメ」ということを肝に銘じる必要があるのです。

2.顧客満足度は平均値で議論するべきではない

前述したように、リピートをいただくためには、大満足(5点)あるのみです。顧客満足度の平均値が3.2点から3.7点に上がっても、微々たる変化しか期待できないでしょう。

では、どうするべきか?

それは、やや満足(4点)と答えたお客様を特定して、そのお客様に大満足(5点)になっていただくためには何をすべきかにフォーカスして議論することです。
そうすることで、平均値を見ながら議論するよりも、はるかに効果的で具体的な取り組みができるでしょう。

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まとめ

しかしながら、CS(顧客満足)という言葉があたり前になりつつある昨今、顧客の「期待水準」はますます上がり、以前ならば満足してもらえた商品やサービスでも、「こんなものだろう」と満足感が薄れることも少なくありません。

そんな中で、自社が顧客満足を最大化させるために最適な施策は何か?

その答えが見えれば、成功に一歩近づいたと言えるのではないでしょうか。

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顧客満足度向上に活かせるアンケートの作り方と注意点

顧客満足度とは、各企業が提供するサービスや商品によって、顧客に満足してもらうことを目的とした概念のことです。一般的には「CS」と呼ばれています。

今回は、顧客満足度向上施策の一つである「アンケート」の作成手順とポイントを説明したいと思います。

アンケートの作成手順

顧客満足度アンケートは、自社の商品・サービスに対する「顧客の満足度や評価」を把握できる調査です。アンケート自体が接点にも繋がることから、販売促進以外でのユーザーとの新たなコミュニケーションツールとしても有用といえるでしょう。

また、営業担当者には語られないユーザーの本音を引き出すためにも効果的で、その後の自社の対応次第では、長期的なお付き合いに発展する可能性も上がります。

それでは、実際のアンケート作成手順について見ていきましょう。

アンケートの作成手順

①アンケートの対象者を決める

まずは、「誰に」アンケートを実施するかを決めましょう。

・過去に一度でも接点を持ったことのあるユーザーなのか
・3回以上サービスを利用してくれたユーザーなのか
など、対象者は自社の課題がどこにあるかによって異なると思いますが、無作為に行うのではなく、対象者を絞って実施した方がより良い効果を得ることができます。

②仮説を立てる

アンケートの対象者が決まったら、次は仮説を立てましょう。
現場の担当者が直接ユーザーから聞いたことや、なんとなく感じていることが、本当に成果を妨げる原因なのか。それについてアンケートの設問で深掘りし、その回答を集計・分析すれば、仮説を検証することができます。 

③質問項目を設計する

いよいよアンケート作成の肝となる質問項目の設計です。


ここでは、仮説に基づいた質問項目を実施することが効果的でしょう。
・選択記入式にするのか?
・自由記述式にするのか?
・どちらも掛け合わせるのか?

など、該当の商品・サービスやターゲットのユーザーの特徴に合った質問構成を設計する必要があります。


例えば、顧客満足度アンケートでは以下のような項目を設定します。

・商品・サービスの総合的な満足度

・ほかの人・企業への推奨度 

・不満に感じている点

・他社商品・サービスの利用状況

・項目別の満足度(品質・価格・納期・営業・サポートなど)

また、仮説とのズレが生じているかどうかを見極めるためにも、作成後には一度自分で解いてみることも大切です。

④デザインを整える

忘れがちなのがデザインです。アンケートの質問と選択肢が決まったら、次に考えるべきは画面のデザインです。

特段凝ったデザインにする必要はありませんが、カラーを自社のサイトと合わせたり、ロゴを挿入したりすると公式感が伝わり、不正情報収集サイトだと間違われずに回答を得ることができます。

作成における注意点

ユーザー情報を記載する項目は、アンケートの前半部分にまとめると回答者の負担軽減に繋がります。(既存ユーザー向けの場合はIDだけを入力するなど、なるべく簡素化すると良い)

また、「情報の取り扱いについては法令を遵守します」などの宣言もお忘れのないようにしてください。

アンケート内容は良い側面が多い反面、それ自体が顧客満足度を上下させる可能性があるものです。「一方的な質問と受け取られる要素は本当にないのか」、最終チェックを怠らず複数人で確認しましょう。顧客の想いを汲み取る真摯な姿勢で、質問内容を見直しすることをおすすめします。

アンケート作成のポイント

さて、作成したアンケートは本当に欲しい情報をもらえるような項目になっていますか?

売り手目線だけの、ユーザーの印象を悪くするような要素は含まれていませんか?

ここではアンケート作成における3つのポイントを説明したいと思います。ぜひ、お手元にあるアンケートと照らし合わせて見てください。

ポイント①:少ない質問数でユーザーの真意を探る

以下2つの連続するアンケートをご覧ください。

Q1 購入の際に検討した他社商品はありますか?

・商品A ・商品B ・商品C ・特になし ・その他

Q2 弊社の商品をご購入いただいた決め手はどこでしょうか?

・価格・ 品質 ・ブランド ・サポート ・店舗の近さ

・その他

(※複数回答可)


仮にこの質問に対して

問1:C社

問2:サポート
と回答していたとしましょう。


この2つの回答からわかることは以下の4つです。

・現在のライバル企業はどこなのか

→問1のチェック箇所

・ライバル企業と比較して、自社にはどんな特徴・強みがユーザーに認められているのか

→問2のチェック箇所

・反対に、自社にはどんなところが不足しているのか

→問2のチェック箇所以外の項目

・回答したユーザー属性(職種、年齢などの個人に属する情報)は、サービス選びにおいてどこを重視する傾向にあるのか

→問2のチェック箇所(複数)


お分かりいただけたでしょうか?

このように、質問数を減らし見えない回答数をあげることができれば、ユーザーの負担が減りアンケートの回答数をあげることができるでしょう。

ポイント②:ユーザーの機微を感じ取る

例えば、質問の中に

非常に嫌い|嫌い|どちらとも言えない|好き|非常に好き

という選択肢が合った場合どうでしょうか。


私たち日本人からすると、少し表現が極端すぎる気がしませんか?

それでは 

嫌い|やや嫌い|どちらとも言えない|やや好き|好き

ではどうでしょう?

一般的に、日本人は「非常に」などの極端な項目は選びづらい人種だといわれています。

そのため、たとえば「非常に好き=5」「好き=4」「どちらとも言えない=3」のように選択肢の言葉を数値データに変換して平均点を出してしまうと、判断を誤る恐れがあります。

つまり、「非常に」という言葉が選びづらいばっかりに、微妙なユーザーの心理的変化がアンケートから読み取れなくなる、ということです。


選択肢を作るときは、以上のようにできるだけ日本人独自のニュアンスが表現できるように作成すると良いでしょう。

ポイント③:回答数を上げる努力を惜しまない

どんなに大掛かりにアンケートを作り込もうと、一定の回答数を得られなければその後の施策に繋がることはないでしょう。

要は、10人にアンケートを実施して1人しか出なかった意見が、100人にアンケートを実施した時に、90人から出るかもしれないということです。


回答数を上げる一つの手段として、「インセンティブ」という考え方があります。

簡単にいうと、アンケート回答者に向けての「ご褒美」ですね。

・回答者全員に必ず当たるクーポンプレゼント!

・回答者の中から抽選で100名様に当たる次回ご利用無料券!

などがそれに当たります。

まとめ

アンケートは、顧客満足度を改善する上で大事な情報を収集できます。

しかし取り扱いを一歩間違えると、せっかくのユーザーとの接点が台無しになってしまうケースも少なくありません。

自社の商品・サービスを世の中に出すのと同じぐらいの気持ちで丁寧に、ユーザー目線で設計していくことが何よりも大切になります。アンケートを「実施」することを目的にするのではなく、顧客満足度改善の「手段」として活用できて初めて効果を実感できるものです。

ぜひ一度これをきっかけに、ユーザーと真正面から向き合ってみてはいかがでしょうか。

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自社に合う適切なMAツールとは?|選び方と代表的なMAツール紹介

マーケティングオートメーション(Marketing Antomation=以下MA)とは、マーケティング活動をテクノロジーにより自動化・可視化し、ユーザーの獲得・育成に向けた適切なアプローチを実現することです。
(MAについて詳しく知りたいと思った方は、こちらの記事をご覧ください。「マーケティングオートメーションとは?検討する前に知っておくべきポイントを解説」)

そんな中、多くの企業が導入を進めているMAツール。現在では多機能・高性能なタイプも多数提供されています。しかし、数ある中から果たしてどんな基準で選べばいいのでしょうか?
ここでは、MAツール選定のポイントや代表的なMAツールについて説明します。

MAツールの選び方

選び方のポイント

MAツールは多数提供されており、機能やサービス内容もさまざまです。自社に適したものを比較選定する際には、以下の4つの見極めポイントをしっかり押さえておきましょう。

①BtoBかBtoCか
②総合型か特化型か
③自社開発か代理販売か
④国産ツールか外資系ツールか

①「BtoBかBtoCか」

BtoBなのかBtoCなのかによって、重要になる機能は変わってきます。

一般的にBtoBであればMAで扱うリード数は500から多くても10,000程度ですが、決裁者にアタックする必要もあることから、購入までに時間がかかる場合が多いです。そのため、長期間フォローができ、WebトラッキングやSFAなどの他システムとの連携機能などが重要になります。

一方でBtoCは、BtoB企業に比べて扱うデータ量が膨大になります。


そのため、アプローチはデジタルを介して行うことが多く、メールやウェブ、アプリ、LINE等の複数チャネルに対応したシナリオ設計やスコアリング、メール配信などの機能が重要になります。

②「一気通貫か部分特化か」

MAツールは、「統合型」と「特化型」に区分できます。

統合型の場合、一つの管理画面で幅広く利用でき、多機能なのが特徴です。

一方で分散型の場合、リードの獲得やエンゲージメントの向上など特定の領域に強みを持ちます。


一般的には統合型をお勧めいたしますが、どちらの方が優れているということは自社の状況によって変わりますので、どの領域に課題を抱えているのかという点に照らし合わせながら、ツール選びを行いましょう。

③「自社開発か代理販売か」

開発元の会社からツールを購入する場合、ユーザーの要件に合わせて柔軟にカスタマイズが可能なケースが多いです。

一方、代理販売の会社で購入する場合、不明点は開発元に問合せないと分からないことも多く、すぐにサポートが受けられない場合があるので注意が必要です。

④「国産ツールか外資系ツールか」

国産ツールの場合、日本人が使いやすいように製品開発されていることが多く、管理画面が日本語対応のほか、現場ご担当者様が使いやすいように画面設計がされています。

一方外資系ツールの場合、仕様が海外向けのため、多種多様な機能があっても担当者が使いこなせないという事象が発生することがあります。

悪い選び方

「目的の明確化」を行う前に導入してしまう

MAツールを選ぶ際に大切なのは「このツールを使ってどんな課題を解決したいのか」という目的を設定することです。

・新規のユーザーを創出したいのか?
・成約に近づけるために将来のユーザーを育成したいのか?
・自社に興味を持ってくれている人を段階別に管理したいのか?

など、目的によって選ぶべきMAツールは変わってくるはずです。

そこを深く考えずに、明確化する作業を怠ってしまうと、MAツールの成果は得られないでしょう。ツールはあくまでも道具に過ぎません。自社にとって適切なMAツールを導入し、効果を最大限に発揮したいのであれば、まずは我を振り返ることから始めましょう。

代表的なMAツールの紹介

代表的なMAツール3選

現在では、数えきれない程のMAツールが世の中に存在しています。マーケターの皆さんからすると「どの製品を選べば良いのか」を考えるだけでも、とても骨の折れる作業です。

という訳でここからは、代表的なMAツールを3つご紹介したいと思います。

①Hubspot(toB、toC)

https://www.hubspot.jp/
無料のCRMを中核として、マーケティング、セールス、カスタマーサービスを支援する3つの製品で構成されているMAツールとなっています。機能がかなり豊富なため、知識がない人の扱いは難しく、初心者にはおすすめできません。

しかし価格は比較的安く、無料トライアルもあるため、試してみやすいツールの一つとも言えるでしょう。

主な導入企業:Yahoo!、LAPRAS、SUZUKI、ANKER、など
初期費用:0円
月額:24,000円~

②Marketo(toB、toC)

https://jp.marketo.com/lp-marketo.html
全世界で6000社以上の企業に導入されている米国大手のMAツールです。

9つのアプリケーションの中から状況に応じて必要なものを選択できるなどカスタマイズ性が高く、サポートが非常に充実していると定評があります。

主な導入企業:FULIFILM、SanSan、LINE、楽天など
初期導入費用:非公開(別途個人見積もり)
サービス利用料金:非公開(別途個人見積もり)

③SATORI(toB、toC)

https://satori.marketing/
800社以上の企業が導入している国産のMAツールです。

従来のMA機能はもちろん、マーケティング活動を一気通貫しで行えます。とりわけ匿名ユーザーへとリーチできる点から、BtoBだけでなく、BtoCでも使えるマーケティングオートメーションツールとして評価されています。

また、アカウント発行後すぐに利用し始めることができるため、導入を急いでいる企業にもおすすめです。国産のMAツールということもあり、操作や画面設計がわかりやすくサポート体制も万全なのが嬉しいですね。 

主な導入企業:ジャストシステムズ、建設ビレッジ、アデランス、ログミーなど
初期導入費用:¥300,000
サービス利用料金:¥148,000/月

まとめ

世界には、およそ400種類以上ものMAツールがあると言われています。

その中で自社に最適なものを選ぶのは至難の技です。時間が足りない分をMAツールで補いたいと考えている、多忙なマーケティング担当者に、ひとつずつ丁寧にMAツールを検討する時間があるでしょうか?

検討時間を減らす近道は、自社がどんな課題を解決したいかを明確にすることです。

この大枠さえ明確になれば、あとはツールによって異なる特徴を、今回挙げた「選び方のポイント」に当てはめるだけで自社にとって最適なMAツールを効率的に選ぶことができるでしょう。

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以下の記事でおすすめのメール配信システムを紹介していますので、あわせてご確認ください。
メール配信システムおすすめ30選を徹底比較

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マーケティングオートメーションとは?検討する前に知っておくべきポイントを解説

マーケティングオートメーションとは

マーケティングオートメーション(Marketing Antomation=以下MA)とは、マーケティング活動をテクノロジーにより自動化・可視化し、ユーザーの獲得・育成に向けた適切なアプローチを実現することです。

「マーケティングオートメーション元年」と言われた2014年頃から日本においてもMAの認知や導入事例が増えていき、日本のMA市場は、今も急速な成長を遂げています。

矢野経済研究所の調査では、2024年のマーケティングオートメーションの国内市場規模は2018年比で約2.6倍の1330億円に達すると予測されており、今後もさらなる普及が見込まれている状況です。

引用:矢野研究所https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2280

なぜMAが必要なのか?

なぜ、これ程までにMAは大きな注目を集めているのでしょうか?

①インターネットの普及により、ユーザーとの接点が拡大

バブル崩壊後の2000年代以降は、インターネットが普及したことにより、人々は複数のデバイス、複数の販売経路を渡り歩きながら、膨大な量の情報と触れるようになりました。そのような時代において企業がユーザーにメッセージを確実に届けるために、ユーザーが求めるコンテンツを、ユーザーが求めるタイミングで、ユーザーの好きなチャネルで届けることを効率的に実現できるMAの重要後が高くなりました。

②高まるユーザーの期待値

営業担当が訪問した時には、すでにユーザーは一連の情報収集を終え、競合製品との細かな比較を進めている段階にいる、といったことはよくあるのではないでしょうか。
このように、ユーザーは自ら情報収集を行い、企業からのメッセージに関しては「自分だけに届く」「自分のための質の高い体験」を求めるようになりました。
ユーザーの期待値は高まり続けているのです。そういったユーザー一人ひとりの期待に合わせたソリューションの提供を可能にするのがMAです。

③検討プロセスがトップダウンからボトムアップへ

新規取引先の選定において、「有益な情報が得られたかどうか」を重視する企業が増えています。それを検討するのは、社内のキーマンではありません。現場でPDCAを回す担当者です。

ユーザーの検討プロセスが変化した背景には、無数にある類似した商品・サービスを検討段階から思考しなくてはいけない、つまり商材の複雑化が要因にあります。
これまで、キーマンが商材の検討、導入を進めるトップダウン型が一般的でした。一方で昨今は、担当者に導入を検討させるボトムアップ型へとシフトしています。
その際、業務が忙しい担当者程、役に立つ情報をメールで提供してもらいたいと考えます。MAで担当者が求める情報を適切なタイミングで発信できれば、スムーズに商談へと繋がる可能性が高まります。

MAツールで「できること」

実際にMAを活用する際には、ツールを用いる必要があり、搭載機能は各提供会社がリリースしているMAツールによって細かな違いがあります。

まずは、MAツールでできる代表的な8つの業務を紹介します。

・リードの点数化と管理

「リードの点数化」とは、未来のユーザーになりそうな人たちを数値で可視化するものです。例えば、「配信されたメールのリンクを押したら3点」「特定のページを20秒以上みたら10点」といったように点数をつけることができます。

また、そういった情報を一元管理できる機能も備わっていることから、ユーザーに対して適切なタイミングで適切なアプローチをすることが可能になります。

・ターゲティング

「ターゲティング」とは、限られた予算やリソースを無駄にせず最大限に活かすために、「成果が出やすいユーザー層」を明確にして、アプローチをしましょうという取り組みです。

・アクセス解析

「アクセス解析」とは、Webサイトで得られるユーザーのアクセス情報をもとに分析できる機能です。

どのような方が自社の製品に興味を持っているのか、そのような方はどのようにして自社のWebページに来訪するのか、など、マーケティング戦略に役立つ情報を得ることができます。

・メール配信

これは、メールの作成と配信を行う機能です。

設計されたシナリオに沿って最適なタイミングで最適な内容のメールを自動で配信したりすることができるようになります。

主な目的は、自社サイトへの誘導です。あらかじめ用意していたメールをユーザーの行動に応じて配信可能で、メールの内容は、ユーザーの行動別に分岐させて送ることが可能です。

・ランディングページ・フォーム作成・分析

これは、ランディングページやお問い合わせフォームなどの作成を行う機能です。

ランディングページは、広告などから流入してきたユーザーが見る専用のページです。MAツールの多くでは、このランディングページ及びフォームを簡単かつ魅力的に作成するためのテンプレート機能が搭載されています。

・A/Bテスト

「A/Bテスト」とは、AとBの2つの施策を用意し、どちらが優れた結果を得ることができるかを自動的に検証してくれる機能です。仮説に基づいた施策が本当に成果を出せるかを検証できるため、より多くのデータから優れた施策を選択できるようになる機能です。

自社に必要かどうかを見極める

カスタマージャーニーマップから考える

自社に必要かどうかを見極めるためには、「カスタマージャーニーマップ」から紐解いていく必要があります。

カスタマージャーニーマップとは?

ターゲットとなる見込み客が自社製品やサービスを認知する段階から発注するまでの段階のなかで、ユーザーの感情や行動を時系列に沿って可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。

ユーザーの課題を正確に把握したうえで施策を打たなければ、マーケティング活動の効果が薄くなったり、逆効果にもつながりかねません。

良くないマーケティング例として、課題があり解決策を模索しているユーザーに対し、いきなり自社製品のキャンペーンメールを送ってしまうと見てもらえる可能性が低くなったり、もしユーザーに合わない製品であれば逆効果になってしまったりする可能性が高いです。

そのような売り手の考えだけに囚われず、

⑴まずは自社がユーザーに対して、段階別にどのようなアクションを起こせているかを洗い出す

⑵それぞれのポイントで、理想と現実のギャップが起きている点を見つける

⑶MAツールによって解決できる課題、解決できない課題に分ける

⑷MAツールを用いて課題を解決

という段階を踏まえて考えるべきです。
この時に大切なのは、「自社の課題がMAツールで解決できるモノなのかどうか」です。

まとめーMAツールは万能ではないー

いかがでしたでしょうか?

MAツールには、マーケティング活動を何倍にも促進してくれる力があることが分かりましたね。しかし、すべてのマーケティング業務を自動化してくれるわけではありません。

MAツールが自動化できるのは、マーケティング・営業担当者の「アクション」のみです。

つまり、あらかじめ決められたモノを決められたタイミングで実行することは自動化されますが、そもそものストーリーを作成するのは人間だということです。

従って、「どのユーザーと、どのタイミングで、どのようにコミュニケーションをとるのが良いのか」人間が仮説を立て、それに基づいたロジックを組み立てる必要があるのです。

MAツールさえ導入すれば、すべて自動でマーケティング活動を実行してくれるというわけでなく、人間がシナリオを設計しなければうまく活用できないということを理解しておきましょう。

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サブスクリプションとは?定額制との違いについて

昨今、Netflix・Spotifyなどサブスクリプションと呼ばれるサービスが増え、更には洋服・自動車レンタルなどオフラインで利用するサブスクリプションも増えてきました。しかし「サブスクリプション」というフレーズが先行しその定義、意味についてネットでは様々な解釈がなされているように思います。本記事では今一度「サブスクリプション」の意味、その本質ついて解説します。また実際にサブスクリプションモデルを導入し、運用する際に留意するべき観点についてもお伝えできればと思います。

サブスクリプションとは

サブスクリプションとは、定期購入モデルの一種です。定期購入モデル(≒サブスクリプション)とは、サービスの利用権に対し料金を支払うことで、定期的に商品を手に入れたり、サービスを継続的に利用したりすることができるビジネスモデルを意味します。内包されるビジネスモデルとしては頒布会(はんぷかい)や会費制モデルなどがあります。

定額制との違い

従来型の定額制モデルとサブスクリプションの違いについて、「定期的に料金を支払うことで対価を得る」という意味では変わらないため違いは曖昧ですが、提供するサービス内容・品質の変動性と価格の柔軟性に違いがあります。

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サブスクリプションモデルの特徴は、顧客満足度の向上を目指しサービスを磨き続けることであり、これが従来型の定額制と異なる点

これがサブスクリプションモデルの特徴、本質であり、定額制モデルとの違いです。

従来型の定額制モデルは固定の料金テーブルを用意し、同一の商品やサービスを定期的に提供します。そして、定額商品・サービスを購入していただくまでがゴールでした。

対してサブスクリプションモデルは、一度購読した顧客に解約されないよう、顧客満足度の改善、顧客ニーズの理解に重きを置いており、ひいてはLTV(顧客生涯価値)向上を主たる目標としているという点に特徴があります。そのため、サブスクリプションサービスにおいては、MA(マーケティングオートメーション) ツール などを駆使し、購読者のデータや継続率・購読データ傾向などを元に分析し、顧客を理解し常に提供するサービスや商品を顧客が真に求めているものに進化させていくことが求められます。つまり契約がゴールの定額制と異なり、サブスクリプションモデルは顧客が購読してからが勝負なのです。

また価格も月額・年額契約などによりディスカウント率に傾斜をつける、商品もパッケージの組合わせによって料金形態を変えるなど、とにかく常に顧客満足度の改善を考え提供サービスを磨き続けることがサブスクリプションというビジネスモデルの特徴です。

なぜ今サブスクリプションなのか

サブスクリプションモデルを導入する事業が増えてきた背景として、昨今スマホ・PCとクレジットカードの連携を抵抗なく誰もがするようになり、またAmazon・楽天などの大手ECサイトに頼らず自社サイトで商品のオンライン販売(D2C – Direct to Consumerとも言います)がしやすい環境が整ってきた、という大きな潮流があります。またそれに付随してサブスクリプションモデル導入を支援するサービスが充実してきたというのもあるかと思います。

ユーザー・事業主視点でのサブスクリプション活用のバリュー

ユーザー視点、事業主視点でのサブスクリプションサービスを利用、導入する価値について簡単にまとめますと、

ユーザー視点では、毎月同じものを購入するのであれば都度販売サイトに訪れ決済するのが面倒、また定期購入であれば一商品当たりの購入価格がおトクになるという理由からサブスクリプションモデルを選択することが多いです。

事業主視点では、通常販売のみの場合トレンドや外部要因などで売上の先行きが不透明ですがサブスクリプションモデルであれば、いつ、いくらの商品を、何点決済いただけるのか試算できるため、より精密な収支計画を立てやすくなり、迷いなく攻めの投資に振り切ることが可能になります。

上述の通りサブスクリプションモデルには消費者、事業主双方メリットがあり、より多くの企業様が導入するべきモデルであろうという流れから、昨今このサブスクリプションモデルを取り入れる事業が増えているのです。

実際に導入を検討する際は、メリットとデメリットを整理しその上で運用のポイントを抑える必要があるため、以下にてサブスクリプションモデル導入のメリットとデメリット、実際に運用する際の要点をお伝えします。

利用・導入のメリット、デメリット

サブスクリプションの導入を検討する場合、事業主だけでなくユーザーのメリットデメリットも把握した上で検討を行いましょう。

ユーザーにとってのメリット,デメリットはサービスを展開する上で事業主にとってもそのままメリットデメリットに繋がる為です。ユーザーのメリットを最大化し、デメリットを小さくする仕組みを整えることが大事です。

ユーザーにとってのメリット

ユーザーがサブスクリプションモデルのサービスを利用するメリットには、

初期費用を抑えられる

利用権を得るだけなので、所有する為の購入よりも費用を抑えられます。

・利用したい時だけ利用することができる

使わなくなったら解約すればいいので、無駄な費用を抑えられます。

・利用するものの選択肢が増える

今まで一つの商品を購入していたものが、多くの場合は様々なものから選べるようになるため、今まで出会わなかった新しい商品と出会いやすくなります。

ユーザーにとってのデメリット

・利用しなくても費用が発生する

利用する権利を購入しているため、全く利用しない場合でも契約期間中は支払いが発生してしまいます。

利用しない商品や機能も含まれている

ユーザーにとっては不要だと感じる商品や機能が提供されていると、その分無駄な金額を支払っていると感じてしまいます。

事業主にとってのメリット

継続数, 解約数, 登録数などの明確な指標を持つことができる

これらの数字を元に課題の仮説と改善施策を考えることができます。

・軌道に乗せたら継続的な売り上げを確保,想像することができる

上記の明確な数字から、未来の売り上げを予想できたり、継続的な売り上げを確保することができます。

ユーザーの利用ハードルを下げることができる

ユーザーのメリットに記載した通り初期費用が少ないことや、トライアル期間などを提供することで、利用ハードルを下げることができます。

事業主にとってのデメリット

安定した収益を出せるようになるまで体力が必要

リリース後から徐々に登録者数が増え、収益もそれに伴い徐々に上がっていくというビジネスモデルになる為、利益が出るまでの体力が必要になります。
どのような推移で収益を上げていくのか事前の計画は必須です。

ブランドを傷つけてしまう可能性

今まで買い切りで提供していた高価な商品をサブスクリプションによって安価に利用できるようになることによって、「このブランドは安価に利用することができる」と思われてしまい、それまで積み上げてきたブランドを壊してしまう可能性があります。

顧客管理の工数がかかる

誰がどのプランを何ヶ月利用しているのかなどの管理や、請求・回収・入金管理・未納者へのサービス提供などといっう新たな業務工数が発生する可能性があります。

運用時のポイント

実際にサブスクリプションでサービスをリリースする場合、その後の運用の大切さは言うまでもありません。

サブスクリプションでは、ユーザーの満足度を満たさなければすぐに解約されてしまうためです。登録者数が少ない、継続率が低い、というような状況に陥らないようにポイントを抑えていきましょう。

料金設定

トライアル期間の導入

トライアル期間を導入することで最初の利用ハードルを下げることができ、新規ユーザーを獲得しやすくなります。

商品、機能によって料金プランを設定

ユーザーによって求めるサービスレベルが違うため様々なユーザーに対応できるようにすることで、ユーザーのデメリットとして書いた「利用しない商品や機能も含まれている」を軽減することができます。

期間別料金の設定

3ヶ月契約の場合は1ヶ月契約よりも割安になる、というような料金設定をすることで、長期的に利用するユーザーの数を増やすことができます。

コンテンツ量を担保するだけでなく、継続的な新コンテンツの追加を行うことで、ユーザーに飽きられず利用してもらえるようになります。そのために、どういった新コンテンツをどういうスケジュールで追加していくかという計画も事前に用意することも必要です。

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まとめ

サブスクリプションモデルとは定期購入の一種であり、定額制モデルと近しいところはありますが、従来型の定額制モデルと違い昨今のサブスクリプションモデルは顧客満足度の改善を常に目指し、提供するサービス・商品を磨き続ける必要があるという点が最大の特徴であります。それにより結果LTVの向上につながります。

ただし、サブスクリプションの導入を検討する際は、メリットの最大化と、デメリットをなるべく少なくするための仕組み作りが必要になります。

そのために、上記で記載した新規ユーザー獲得の為の料金設定や、継続ユーザー獲得のためのポイントを抑え、いつまでにどれくらいのユーザー数に利用してもらいどのような推移で収益を上げていくのかといった計画を練り実行していくことが大事です。

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失敗しないCRM戦略の武器”3つのモノサシ”教えます

そもそもCRMって?

CRMは、Customer Relationship Managementの略で、顧客戦略を意味します。顧客戦略というと広い意味ですが、主に単発の購買・利用ではなく、複数購買、リピーターやヘビーユーザーが収益性において重要である企業が、効果的・効率的な顧客育成の在り方を体系化し取り組んでいくことを意味すると言っていいでしょう。

一般的に、新規顧客の獲得コストと、既存顧客の育成コストは、5:1の割合と言われており、既存顧客から収益を増やしていく方がいかに効率的かが分かると思います。

本記事では、CRMの基本的な考え方、そもそもどうやって始めるかをご紹介します。

兎にも角にも、「目的」から。

CRMに限らず、全ての施策や取組みは、とにかく目的の設定が重要です。目的があってこそ、それを実現するために最適な手段が立てられ、その手段を導入し運用していくにあたるフィジビリティの検証を経て、現実的なプランが立てられます。

新しい取組みの議論をしていると目的がブレていくことが間々あり、目的がブレると手段もブレますので、この目的の設定が最も重要であると認識してください。

目的も、大きな目的から中~小にブレイクダウンしていくことが重要です。大きな目的を達成するには何か必要かを、「How?」を繰り返して深掘りをしていってください。

CRMで言えば、最大の目的が「収益の拡大」であれば、そのために「顧客のLTVを増加させる」、そのために「顧客の購買単価を上げる/購買頻度を上げる/購買期間を伸ばす」などにブレイクダウンされていく形です。

指標および目標を決める=KPI設定

前項の目的設定にあたり、根拠なくブレイクダウンをしていくことはロジカルではなく、指標をもって設定していくべきです。そのために、目的達成に影響する因子を分析により導き出し、それを定性的・定量的な指標としていくことが重要です。

それは言い換えれば、自社にとって「最もよいお客様」とはどういう人か?であり、「そのお客様とどういうお付き合いをしていくことが望ましいのか?」「どういう風に、最もよいお客様に育成していくか」ということを定義していくことです。

それら指標を決めながら、目標に向かってPDCAを回していくこと。その一連の活動がCRMであり、効果的・効率的な収益構造を作っていくことに繋がります。

次項からは、CRMを行っていくための3つのモノサシを紹介します。

CRM戦略のための、3つのモノサシ

其の1:買い回り分析(RFM+α)

CRM=顧客戦略を行うためには、まずは現在の顧客の買い回り分析を行う必要があります。買い回り分析の代表的な指標として、RFM分析があります。

R:Recency-直近購買/最終購買
F:Frealency-購買回数
M:Manetary-購買金額

これらを、1回/累積/任意期間で算出していき、現在の「買われ方」を分析していきます。

これらを分析していくと、現在の買われ方の問題点や、「いいお客様」と「悪いお客様」(あくまでCRMの観点として)が浮き彫りになっていきます。
また、RFMだけでは全てを判別することはできず、自社の商品や市場環境、消費者のリテラシーなどの要因を加味して、影響を与えうる因子も+αとして加える必要があります。

例えば、購買されるブランドによる傾向、購買するチャネル、家族構成やシーズンによって動向が変わるもの、広告戦略との連動…などが該当します。

其の2:顧客分類(クライテリア~ステージング)

前述のRFM+αの分析で、「いいお客様」と「悪いお客様」(あくまでCRMの観点として)が浮き彫りになった次のステップとして、戦略的な顧客のステージングを行うことです。

一般的に、パレートの法則で80:20の法則などと言われているとおり、2割の優良顧客が、8割の収益をもたらしているということは、事実とそう遠くありません。
自社にとっての優良顧客の定義を明確にし、優良顧客には維持してもらうための施策を、優良以外の顧客はどうやったら優良顧客に育成できるかを明確にしていくこと。それができれば、CRMは8割がた設計が終わっていると言って過言ではありません。

ステージングとは顧客分類であり、クライテリアとは、その顧客分類の基準のことです。それらは、RFM+αの分析から根拠をもって設定していくのがいいでしょう。

またステージングでは、ただの顧客分類だけでなく、「戦略的ターゲット」を定めることが非常に重要です。
特定の商材や購買回数などを踏まえたお客様が、優良顧客になる確率が高いといった分析が見出せた場合に、それら特定の行動をさせることをKSFとして設定することで、動的な施策設計が可能になります。

例えば、
・「優良顧客」ステージ:1年間の累計購買金額100万円以上、累計購買回数5回以上
・戦略的ターゲット「2回目購買者」:単発購買ではなく、1年間で2回目の購買に至ること
といった形で設定していく形になります。

其の3:シェアMAP(アクションシェア・マインドシェア)

RFM分析や顧客ステージングが自社内のみの絶対的な現状分析とするならば、より分析の精度を高くするために、市場内での相対的な位置づけを把握することがシェアMAPです。

1つの軸にマインドシェアとして、認知の相対的な状況をプロットします。これはどれだけ知られているかと、意識されて購買されているかを表します。ロイヤリティが高ければ高いほど意識的に買われる、継続的で安定的な購買がなされるということになります。

また別軸で、アクションシェアとして、購買行動における自社シェアをプロットします。これは特定の商材、および代替する商材を購買するにあたる自社割合となります。

このMAPを作成することで、ブランド実態・購買実態を把握し施策化することができます。
特に、嗜好品以外の消費者にとって提供元のブランドが価値ではない場合、市場が成熟している状況、自社に金額レンジが離れた複数のブランドが存在する場合などは有効な手法です。
簡単な比較をすると、高額商品をたまたま買っただけのお客様と、単価は低いけれども定期的に購買し長い付き合いのお客様がいて、累積購買金額(M)は同じだとしても、付き合い方は変わる、ということです。

ここまでで、CRM戦略のための3つのモノサシをご紹介しました。これらを分析し、設定された顧客ステージごとに、どう施策をして育成していくかを設定すれば、PDCAは始めることができます。

育成としての手段は、顧客接点ごとに様々にあります。MAツール、営業電話、メルマガ、クーポン発行、キャンペーン…など、無数にありますが、モノサシに則っていけば、自ずとどう実施していくかは分かっていき、またPDCAにより精度が上がっていきます。

最後に、分かりやすいように具体例を1つご紹介します。
あくまで例としてですが、これらのモノサシをどう使うかの参考にしていただけたら幸いです。

<事例>

総合旅行代理店での例(架空の設定です)

◆RFM分析

R:直近購買 1年以内●%/1~3年以内●/3年以前●%

F:累計購買回数(3年間)1回のみ●%/2回●%/3~5回●%/5回以上●%

M:累計購買回数(3年間)1万円以下●%/1~3万円●%/3~10万円●%/10万円以上●%

◆顧客分類

・優良顧客:累計購買額300万以上、直近購買1年以内、近3年の利用回数3回以上

・準優良顧客:累計購買額100万以上、直近購買1年以内、利用商品ジャンル2種以上

・戦略的ターゲット:初回利用から1年以内に2回利用があること。または日帰り旅行ではなく宿泊旅行へのアップセルが実現すること。

◆シェアMAP

・顧客にとって旅行会社は重要ではなく、価格・日程・行程が重要。

・顧客が2~3社から比較して最終決定する。初回検討および最終候補へのエントリーが鍵。

・顧客は、大型の旅行は年に0~1回、多くても2回。小型の旅行は年に1~3回が主。

これらを踏まえ、以下を戦略指標に設定。

・アクションシェア:近3年の旅行利用のうちの50%のシェアを獲得する。

・マインドシェア:助成認知し、かつ必ず検討する候補2~3社に入る。会員登録またはブックマークされている。